スコップ1つでハエや蚊も激減! 誰でもできる「環境再生」の方法

スコップ1つでハエや蚊も激減! 誰でもできる「環境再生」の方法

  • ハーバー・ビジネス・オンライン
  • 更新日:2017/11/12
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松原さんの家のまわりにスコップで掘った2つの溝には、炭と枝と葉が敷き詰められ、微生物が働きやすい環境になっている(写真/Shunsuke)

◆殺虫剤を使わずに蚊もハエも例年の3分の1以下に

東京から千葉県匝瑳市の古い家に移住した松原万里子さんは今年の夏、“ある手作業”をしたら蚊やハエの発生が例年の3分の1以下に減ったという。

「これまでは、天井から吊るしたハエ取り紙がくっついたハエで真っ黒になっていました。『夏に蚊とハエが多いのは仕方がない』と諦めていたんです。虫だけでなく空気感も変わって、家で過ごすのが気持ちよくなりました。信じられませんよね」と松原さんは笑顔で語る。

“ある手作業”とは、家の周りの土をスコップで掘って溝を張り巡らせ、場所によっては溝よりも深い穴を掘るという作業だ。

松原さんの家の敷地全体の中で、家の床下の地面が一番低くなっている。ゆえに雨水は床下に集まってきてしまう。加えて、窪地は風や空気の流れが滞りがちになり、湿気が溜まってくる。家の土台が腐りやすくなるうえ、虫が集まりやすいという環境になってしまうのだ。

だが、これは地上で見た上っ面だけのこと。実は、同じことが地中でも起こっている。窪地の下の地中にも水が溜まり、出口を見出せず流れが滞っていれば、地表に溜まってくる雨水を吸い込む余力がなくなってしまう。そのためますます湿気が溜まり、腐敗への環境が進んでしまう。蚊やハエだけでない。ゴキブリやムカデなども増えてくる。

◆地中に張り巡らされた水と空気の流れが、土を健全化する

では、どうしたらいいのだろうか。家の下の地中の水の流れを外へ、外へ、と向けてあげればよい。それが、冒頭に書いた溝掘りや穴掘りなのだ。

家の軒下に30cmくらいの溝を掘り巡らす。その外側(家から離れる方向)に、さらに深い40~50cmくらいの溝を掘る。その溝が、家下へ流れ込もうとする地表の水を遮る役目を果たすのに加え、地中の水がその掘を目指して水脈を作りながらゆっくり動き始めるのだ。

30cmの溝からさらに深い40~50cmの溝へ、外へ外へと地中の水を誘導していく。城のお堀を思い浮かべれば、何となくご理解していただけるだろう(実は城のお堀も同じ役割を担っている。敵の攻撃を防ぐことだけが目的ではない)。

その溝は水が地中深くへと吸収される入り口になり、地表と地中との水の循環の動きが始まる。すると家の湿気が減り、蚊やハエの発生源も少なくなるというわけだ。溝を掘る同じ原理で、適所適所に穴も掘る。家から外へと向かうほど深い穴にして、水脈を横へ下へと誘導していく。

実は、溝と穴だけが水の誘導を行うのではない。自然界に溢れる微生物に有効に働いてもらって、水とともに空気の流れも地中に張り巡らす。水脈と気脈が土を健全化し、空間全体の良好な循環を創造するのだ。

◆「スコップ1つでできる変化」が社会を少しずつ変えていく

「土に呼吸させる」と表現してこのことを教えてくれたのは、千葉県千葉市で造園設計を生業としている高田宏臣さん。彼が手掛けるのは庭や家だけではない。里山や森の再生、環境の再生まで手がけ、そのシンプルでわかりやすい手法と環境の劇的な再生が、今さまざまな分野で注目を集めている。

「森の再生」や「里山の再生」などというと、普通の人には手に負えないように思える。しかし高田さんが教えてくれる手法は、スコップ一つから変化につなげられるものなのだ。高田さんいわく、「私たちのおじいちゃんの代までは、土に携わる人だったら、誰でも知っていて、どこでも行われていることだった」とのことだ。

高田さんが手掛ける案件の中に、新潟市の海岸の松林の再生がある。今まであらゆる手段を講じ、多くの予算を投入しても、松枯れによる林の荒廃が止められなかった。そこを高田さんが手掛けるようになってわずか1年ほどで、見事なまでに松林が健全な姿に再生された。

農薬や除草剤や、「危険」と言われるネオニコチノイド系の化学薬品も使わないし、大型機械も必要ない。だから低コストで済むのだ。

高田さんが伝える環境再生の実践は、エコロジー分野のみならず、土建国家の歩みに付随した腐敗政治、腐敗行政、腐敗経済、そして地域自治のあり方を少しずつ、しかし大きなインパクトで変えていくに違いない。あなたの家の蚊やハエの問題から、変えがたいと思わされてきた現代社会の大きな問題まで、良質な方向に変えうる可能性を持っている。

同時に、私たちが本来培ってきた懐かしくも素晴らしい叡智を取り戻して、次の時代に引き継いで行くことにもなるだろう。そしてそれは、スコップ1つでできる変化と同じく、一人一人の小さな存在でも、身近なところでできることなのだ。

<文・写真/髙坂勝>
1970年生まれ。30歳で大手企業を退社、1人で営む小さなオーガニックバーを12年前に開店。著書に『次の時代を、先に生きる~まだ成長しなければ、ダメだと思っている君へ』(ワニブックス)など。

※高田宏臣さんによる松林再生などの取り組みについて、BS朝日『アーシストカフェ~緑のコトノハ』(11月13~17日20:54~21:00)で放送される予定。

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