「隣の家族は青く見える」4話「心のやさしいゲイカップルの家です」『泣いた赤鬼』オマージュが訴えたもの

「隣の家族は青く見える」4話「心のやさしいゲイカップルの家です」『泣いた赤鬼』オマージュが訴えたもの

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  • 更新日:2018/02/15

奈々「そんなのおかしいです。みんな同じ人間なのに、堂々と暮らせる人とそうじゃない人がいるなんておかしいです。人は誰だって、自分が望む幸せを手に入れようとする権利があるはずです」

2月8日(木)放送のドラマ『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系列)、第4話。
ゲイであることを隠しながら恋人の青木朔(北村匠海(DISH//))と暮らしていた広瀬渉(眞島秀和)。渉がゲイであることが誰かに知られ、4組の家族が住むコーポラティブハウスに「同性愛者」「ゲイカップル」と張り紙をされてしまう。
一方、夫の大器(松山ケンイチ)と暮らす五十嵐奈々(深田恭子)は、家族の反対を押し切ってまで不妊治療、人工授精に取り組むべきか悩んでいた。

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ゲイカップルと『泣いた赤鬼』の差別

こどもがほしい五十嵐家。
こどもはいらない川村・岩崎家。
ゲイカップルの広瀬・青木家。
2人のこどもがいる小宮山家。

これまでは、バラバラの価値観を持った家族が、それぞれに抱えた問題を解決していくドラマのように見えていた。
しかし第4話、この4家族に1本の軸が突き刺さる。それは、「偏見」という軸だった。

偏見に晒される対象として特に顕著だったのは、自分のセクシャリティを隠して生きてきた渉だ。
家の前に「同性愛者」「ゲイカップル」と悪意の張り紙が貼られる。セクシャリティを隠していたために、小宮山深雪(真飛聖)には「詐欺」と言われる。
理不尽だが、渉は他の誰かに対して怒らない。自分を責めたり、恋人の朔に対してイライラして見せたりするだけだ。

朔は、張り紙に対抗してこんな言葉を書いた紙を掲示する。

心のやさしいゲイカップルの家です。
どなたでもおいでください。
おいしいつまみがございます。
ワインも冷えてございます。

これは児童文学の『泣いた赤鬼』(浜田廣介・作)に出てくる立て看板の言葉をオマージュしている。
「心のやさしい鬼のうちです。どなたでもおいでください。おいしいお菓子がございます。お茶もわかしてございます」というものだ。

『泣いた赤鬼』には、2人の鬼が登場する。
赤鬼は人間と仲良くなりたかったが、人間は赤鬼を疑い、怖がり、誰も近寄らなかった。
そこで、青鬼が「自分が人間の村へ出かけて大暴れする。そこに赤鬼が来て、青鬼をこらしめれば、人間たちに赤鬼が優しい鬼だとわかってもらえる」と提案。
作戦は成功するが、青鬼は人間に嫌われ、赤鬼と一緒にはいられなくなってしまう。

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朔「じゃあなんでこんな家で暮らしてんの? 誰にも知られたくないなら、山にこもってひっそり暮らせばいいじゃん。なんでわざわざ近所づきあいしなきゃいけない家を買ったんだよ」
渉「そんなことしたら、本当に自分だけの世界に閉じこもってしまうような気がしてさあ! 会社から独立しなかったのも同じだよ。世間にバレたくないからこそ、世間と繋がってなきゃと思ってた。矛盾しているけど、それが俺なりのバランスの取り方だったんだよ!」

渉が受けている偏見や悪意は、『泣いた赤鬼』で赤鬼が受けている差別と同じ。
人間が、赤鬼のことを知ろうともせず疑い、怖がっていたように、周囲の人は渉のことを知ろうとしない。渉がどんな思いで隠し事をしてきたか、知ろうとしたのは奈々だけだった。

夕日が差し込む部屋で向かい合う渉と朔。
渉の着ているコートは赤く、朔のトレーナーは緑がかった薄いブルー。
『泣いた赤鬼』の青鬼は「もし、ぼくが、このまま君と付き合っていると、君も悪い鬼だと思われるかもしれません」と書き残し、赤鬼の前からいなくなる。

「でも、おれが押しかけて来たせいで、そのバランスが崩れ始めたわけだ。おれたち、出会わなければ良かったね」と言って、ベッドに横になる朔。
渉が朔を背中から抱く。童話のように離れ離れにはならない、という、渉の意思表示であるように感じられた。

偏見のある世の中は間違っている?

ゲイカップルでなくとも、コーポラティブハウスに住む人々は「偏見」に悩まされていた。
奈々は、実の母親・春枝(原日出子)からの不妊治療に対する偏見を突き付けられる。

奈々「どうして? 不妊治療のなにがそんなにダメなの?」
春枝「こどもは自然に任せるのが良いに決まっているからよ。それに、人工授精がダメだったら次は体外受精でしょう? うちの子は体外受精で産まれましたって人に言える?」
奈々「言えるよ。なんで? なにがそんなにいけないの?」

混乱する奈々に、春枝は「体外受精のこどもがいじめられたら後悔しないか」と問いただす。

奈々「そんなのいじめるほうがどうかしてるよ。ただの偏見じゃない」
春枝「偏見があるのが世の中ってもんなの!」

偏見がある世の中は間違っている、と奈々は言う。でも、世の中から偏見はなくならないというのも事実だろう。
朔は、その偏見(差別)の目は誰でも持つものだと考えていた。

朔「誰だって小さい頃は、自分と違うものは排除しようとするでしょう。それって当たり前なんだよ。まだ、自分と他人が違うって認識ができてないんだから」

自分と他人は違う人間だと認識することは、自分は相手のことを知らないという無知を認めることでもある。そのため、ときには自分が無知であることを認めたくないがために、偏見や差別意識を指摘されても素直に訂正できない場合もあるかもしれない。

見習うべきは、大器の素直さだ。自分は人工授精について知らないと無知を認めると、すぐに調べたり、人に知識を広めたりしていた。
第5話は、2月15日(木)よる10時から放送予定。深雪をはじめ、大器のようには素直になれない人とたちが、何をきっかけに変わっていくのか見届けたい。

(むらたえりか)

フジテレビオンデマンド
TVer

脚本:中谷まゆみ
音楽:木村秀彬、堤博明
主題歌:Mr.Children「here comes my love」(TOY’S FACTORY)
不妊治療監修:桜井明弘(医療法人産婦人科クリニックさくら 一般社団法人美人化計画)、石川勇介(株式会社ファミワン)
LGBT監修:森永貴彦(LGBT総合研究所
コーポラティブハウス、建築事務所監修:牛田大介(株式会社タウン・クリエイション)
プロデューサー:中野利幸(CP)
演出:品田俊介、相沢秀幸、高野舞
制作:フジテレビ第一制作室
制作著作:フジテレビ

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