駅構内、それは鉄道愛にあふれた電車絵の美術館である

駅構内、それは鉄道愛にあふれた電車絵の美術館である

  • さんたつ by 散歩の達人
  • 更新日:2022/11/25

ひとは誰もが、自分の好きな分野の仕事に就いている訳ではない。しかし、鉄道会社に勤めている人は、みんな電車好きなのではないかというイメージがある。そんな思いで駅構内を見渡してみれば、たまに掲示板やホワイトボードに、電車のイラストが描かれていることがある。恐らく駅員さんの手によって描かれたであろうその電車イラストを見ていると、「あぁ、この人はきっと電車が大好きなんだろうなあ」と思わざるを得ない。今回はこうした電車絵をじっくり鑑賞してみたい。

愛と熱のこもった駅構内の鉄道絵たちを紹介しよう

まずは親しみやすい絵柄から。長野駅構内のスタンプ台に添えられたイラストは、かわいらしいタッチで駅員さんと電車が描かれている。

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シンプルな電車のイラスト。電車の色はもしかすると、しなの鉄道と信越本線なのかも知れない(長野駅)。

下にあるライチョウの貼り絵のリアルさとのギャップが大きく、もしかすると作者は電車好きにも増して鳥好きなのかも知れない。

最初に電車のイラストと描いたが、場所に余裕のある駅などは立体作品が飾られていることもある。太田駅で見かけた立体電車は、市内のかかし祭りに出展されたものらしく、駅構内で大変目立っていた。

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東武鉄道の特急りょうもう号。さりげなくドラえもんが乗っている(太田駅)。

都電荒川線の各駅に貼られているマナーポスターも、また力作である。

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人物中心ではあるが、さりげなく右下に8900形の電車が描かれている(飛鳥山駅)。

東京都交通局のFacebookによれば、この絵は荒川電車営業所の職員さんの手によるもので、これまでに200枚以上が制作されたという。マナー向上を訴えるイラストとあって、人物が主体の絵が多いが、そこに盛り込まれている電車も丁寧に描かれている。

熱海駅では、伊豆急3000系「アロハ電車」のJR伊東線区間(熱海~伊東間)運行開始を記念した黒板アートが飾られていた。

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「アロハ電車」の特徴である、側面の模様が細かく描かれている(熱海駅)。

虹や海も綺麗に描き込まれているものの、やはり注目すべきは「アロハ電車」のウミガメやハイビスカスを配した装飾部分が細かく描かれていることではないだろうか。やはりこれは、電車好きの人の描いた絵なのである。

同じく熱海駅に設置されていたホワイトボードは、ICカード利用客に向けて改札を案内する内容なのだが、その内容とは直接に関係のない車両が4両描かれている。

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「全静岡民が感動した」313系8000番台、「静岡では今も現役!!」国鉄211系など、それぞれの車両の特徴が熱く語られる(熱海駅)。

それぞれの車両には解説が付けられており、「電車が描きたくて描いた」という思いにあふれている。

電車絵は東武鉄道と京成電鉄に多い?

私が知る限り、首都圏の駅で多く電車絵が見られるのが、東武鉄道と京成電鉄である。沿線の紅葉を案内する黒板に、

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「6050型(のつもりです)」(原文ママ)と作者は謙遜するが、かなり上手い(浅草駅)

クリスマスツリーの横に、

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電車の顔部分を顔ハメパネルにしているものは割とよく見られるが、これはたぶん手描きだと思う(京成船橋駅)。

あるいはただひたすらに電車絵のみを、というように、各駅で力作の電車絵を鑑賞することができる。

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2022、Autumn、京成電車。これ以上シンプルな絵があろうか(京成八幡駅)。

その中でも押上(スカイツリー前)駅の電車絵は圧巻だ。巨大ホワイトボードには初代~現在までのスカイライナーや京成電鉄のキャラクター・京成パンダの絵が、横長のホワイトボードには路線の説明の横に車両が描かれている。

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必要な情報を盛り込みながら、電車の絵も欠かさない。画面をフルに利用した大作である(押上駅)。

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電車の絵に目が行きがちだが、東武線、半蔵門線の文字もそれぞれのカラーで書かれていて奥深い(押上駅)

特に後者はこの改札から乗ることができる京成線・都営浅草線の車両が全て描かれており、「これ以外の電車には乗れませんよ」ということがひと目でわかるようになっているのである。

いずれにしても各車両はとても緻密に描かれていて、何が描き手をこのように駆り立てるのかと考えてみれば、やはり「電車が好き」というその一点に集約されるのではないか。自分もそのような熱のこもった絵を描いてみたい、と改めて思わされるのであった。

イラスト・文・写真=オギリマサホ

オギリマサホ
イラストレータ―
1976年東京生まれ。シュールな人物画を中心に雑誌や書籍で活動する。趣味は特に目的を定めない街歩き。著書『斜め下からカープ論』(文春文庫)。

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