5月の花といえばバラが真っ先に思い浮かびます。
今年は天候にも恵まれ、思いのほか花付きが良く、先ごろ開かれた横浜ローズウイークでは、山下公園や港の見える丘公園などで見事に咲いたバラを愛でようと大勢の人が詰めかけました。
横浜では2027年に「花博」と称する国際園芸博覧会が開催される予定です。バラは横浜市の花に制定されているのですが、市内各地を花と緑で彩る「ガーデンネックレス」という催しでも、花博を盛り上げるかのようにバラが咲き誇っています。
横浜ではないのですが、同じ神奈川県の厚木市にある工場でもバラが見頃を迎え、5月14日は「ばら鑑賞会」が開かれました。知る人ぞ知る「フルハーフのばら」です。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/フルロード編集部・日本フルハーフ
コロナ禍一過、4年ぶりの「ばら観賞会」
日本フルハーフといえば、ウイングやバンボディなどカーゴ系架装メーカーの最大手として知られていますが、厚木市上依知野原にある本社工場はバラの工場としても知られています。
これは1984年、「味気ない工場に潤いを……」と当時役員であった佐藤三樹三市と有志が集まり、55本のバラの苗木を工場の片隅に植えたのが始まりです。以来40年間にわたって、工場の有志によって少しずつバラを増やしていき、今では400種類1000本のさまざまなバラが咲いています。
バラは病害虫に弱く、育てるには細やかな気配りが必要です。逆にいえば、愛情を注げば注ぐほどたくさんの蕾をつけ、きれいな花を咲かせます。
日本フルハーフのバラは、一切専門家の手を借りず、2人の専従社員が管理しているそう。バラを巻きつけるポール等も手づくりしているというから、ふだんから愛情がたっぷり注がれ育てられているのでしょう。
日本フルハーフはバラを植栽してから4年後の1988年、創立25周年を記念して「きれいに咲いたバラを地域の方に見てもらおう」と「ばら祭り」(現在のばら観賞会)を開催。
以降「ばら鑑賞会」の日は、日本フルハーフの関係者はもとより近隣の住民にも工場を開放。来場した人たちはさまざまな色彩のバラを楽しむとともに、苗木や切り花の販売を目当てに遠方から駆けつけるバラ愛好家も増えてきたといいます。
さまざまなバラが紡ぐさまざまな縁
今年の「ばら鑑賞会」は36回目。コロナ禍で4年ぶりの開催となりましたが、好天にも恵まれ、朝からたくさんの人で賑わいました。
会場のメモリアルガーデンには10周年ごとに記念のバラが植えられていますが、日本フルハーフは今年10月には創立60周年を迎えます。60周年にふさわしいメモリアルローズはどれにしたらいいか、6つの候補の中から選んでもらうコンテストも行なわれていました。
また、コーナーポールに国旗をはためかせて黒塗りのリムジンが来場。聞けば、ドミニカ共和国の全権特命大使の高田ロバート氏がご家族と一緒に来援されたそう。実はロバートさんは若い時にフルハーフの工場の現場で働いていたとのことで、その縁なんだとか。
バラの縁は、「ばら鑑賞会」が中止となったコロナ禍の最中にも結ばれていました。近隣の病院で働くエッセンシャルワーカーのお医者さんや看護師さんを励まそうと、工場で咲いたバラをたくさんの花束にして一人一人に贈ったそうです。
また、ワクチン集団接種会場にバラのアレンジメントを寄贈したり、特別養護老人ホームにもフラワーBOXを贈ったそうです。
ところで当サイトはトラックのWebサイトです。あまり関係のないバラの話を長々と書いてしまいましたので、最後は謎掛けで締めたいと思います。
「フルハーフのばら」と掛けて「フルハーフのトラック」と解きます。その心は「どちらも工場の皆さんが丹精込めてつくっています」。
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