20人の「かぞく」とシェアハウスで過ごす、日常で非日常な休日

20人の「かぞく」とシェアハウスで過ごす、日常で非日常な休日

  • かがみよかがみ
  • 更新日:2021/06/10
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カーテンの隙間から、やわらかいお日さまの光が差し込んできて目が覚める。目を閉じたまま、空気を胸いっぱいに吸い込んで、伸びをする。

目を開けると、自分の部屋の壁紙がこんな色だったらいいのになあ、とずっと夢に見ていたような、スモーキーグリーンの壁が目に入って、ああ、そうだった、私は引っ越してきたんだった、と、思わず、もう何回目かわからない笑みをこぼしてしまう。

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20人の“かぞく”と一緒に暮らす、シェアハウスに住み始めた

約1ヶ月前に、私は実家のある横浜から都内に引っ越してきた。学部生時代と院生時代に寮暮らしや一人暮らしは経験したけれど、いわゆる経済的に本当の意味で自立してから初めてする一人暮らしだ。

いや、正確には一人暮らしではない。私は20人の“かぞく”と一緒に暮らしている。なぜなら、今私はシェアハウスで暮らしているから。

シェアハウスで過ごす休日は、いつもと同じで、でも、いつもとはちょっと違う、特別な休日だ。

朝起きたら、まずカーテンを全開にしてお日様の光を部屋いっぱいに入れる。壁一面が窓になっているところは、私の部屋のお気に入りポイントの一つである。

いつもは電車の時間を気にしてバタバタ出て行くところを、のんびり過ごせることをありがたく思いながら、洗面所に向かう。

シェアハウスだから、洗面所には時々先客がいることもある。おはよう、と言うとおはよう、と言ってくれる人がいる。仕事から帰ってきたらおかえり、おつかれさま。夜ならおやすみ、と言ってくれる人がいる。シェアハウスの素敵なところだ。

休日の朝は、いつもより時間をかけて、丁寧に洗顔をする。スキンケアも、いつもより時間をかけてじっくりやる。気分を上げるために、100円ショップで500円で買ったLEDライト付きの女優ミラーを使いながら。この鏡はなかなかいい仕事をしてくれている、私の部屋のお気に入りアイテムの一つだ。

好きな柔軟剤で洗濯して、朝食後にはヨガ。なんてステキな休日だろう

今日は天気がいいから、洗濯をしちゃおう。そう思い立ち、朝ごはんを食べる前に、洗濯物までしてしまう。休日なのに、なんて自分って働き者なんだろう。といっても、洗濯物を洗濯機に入れてスタートボタンを押すだけなのだけれど。

それでも自分を誇らしく思いながら、ネットで調べて、口コミのよかったクラシックフローラルの香りの柔軟剤を使って洗濯をする。自分のお気に入りの香りの柔軟剤を使うなんて、実家にいるときには考えもしなかったことだ。もちろんやろうと思えばできたのだけれど。これぞ一人暮らしの特権というやつだ。

洗濯機を回してしまったら、豆乳と一緒にフルグラを食べる。Netflixで、好きな韓国ドラマを5週目くらいに観ながら、いつもより味わって、食べる。平日はなかなか余裕がないけれど、休日は、バナナやりんごも切って食べる。ハーブティーなんかも淹れて飲んでしまう。もちろん、アメリカのシカゴに行ったときに買った、お気に入りのマグカップで。なんてステキな休日だろう。

そんな気分でのんびりしていると、シェアメイトからLINEが届く。

「よかったら10時から居間でヨガやろう!」

もともとヨガには興味があって、スタジオに何度か行ったこともあるけれど、一人では続いた試しがなかった。でも、ここでは一緒にやろうと声をかけてくれる人たちがいる。それもあって、最近、ダークスティールブルーのヨガマットを購入してしまった。最近私の部屋の仲間入りを果たした、もう一つのお気に入りアイテムだ。そのマットを持って、いそいそと居間へ降りる。

テレビ画面にYouTubeのヨガのチャンネルを映して、みんなで見よう見まねでヨガをする。正しくポーズができているのかはイマイチ確かではないけれど、いいのだ。不可能に思えるポーズにゲラゲラ笑いながら挑戦して、真剣にやる時はそれぞれ自分の呼吸に集中してやっていたら、ほら、体がポカポカしてくる。なんてステキな休日だろう。

シェアメイトと話せば、悩んでいた恋愛も人生の楽しみの一つに変わる

たっぷり水分補給をしたら、そのまま居間のテレビでアマゾンプライムで見つけたいい感じの恋愛ドラマシリーズをみんなで観る。Modern Loveというニューヨークタイムズのコラムをもとにしたドラマで、観た後はほっこりする。こんな恋愛できたらいいよねえ、なんて言い合いながら観ていたら、本気の恋愛相談が始まることもある。恋愛で不安になるのはみんな同じなのだ。そうやってシェアメイトの話を聞いていると、悩んでいた恋愛も、あっという間に人生の楽しみの要素の一つに変わってしまう。

そんな話をしていると、居間に隣接している防音室から、誰かの弾くピアノが漏れ聞こえてくる。

そう、何を隠そう私のシェアハウスは、音楽好きの人たちが集う、防音室付きのシェアハウスなのである。

私もサックスを練習しようっと。自分の部屋からアルトサックスを取ってきて、ロングトーン、スケール、練習曲……と、いつもよりじっくり、自分の音に耳を澄ませて、練習する。サックスを吹き終わったら、ピアノも少し弾く。なんてステキな休日だろう。

一日一日を丁寧に。私の日常で非日常な休日は、まだ始まったばかり

夜になると、シェアメイトが企画してくれたバーベキューが始まる。お肉と野菜がこれでもかというくらいテーブルの上に並び、それもあっという間にみんなで平らげてしまう。

シェアメイトの誰かが実家に行ったときに買ってきてくれた静岡土産の黒ハンペンを肴に、日本酒もどんどん進む。

デザートには、アイスクリームにかけて飲む専用のマンゴーのお酒を飲もう、と誰かがいい、コンビニにアイスを買いに行って、まるで新鮮な卵の黄身みたいに濃厚で鮮やかな黄色いお酒をみんなで飲む。1週間がんばったご褒美に買っておいたハーゲンダッツのラムレーズンは、また今度の時に食べよう、と思いながら。

ああ、私は今、一日一日を丁寧に暮らしている。

暮らすことは生きることだ。丁寧に暮らすことは、すなわち丁寧に生きること。

少しずつ、私も、自分に優しい生き方をできるようになりつつあるのかもしれないな。そんな満ち足りた気持ちでベッドに入る。

それに、何が最高って、今日はまだ土曜日。私の日常で非日常な休日は、まだ始まったばかり。

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こじなな

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