シリーズBで驚異の80億円調達。キャディが目指す「製造業の可能性」解放

シリーズBで驚異の80億円調達。キャディが目指す「製造業の可能性」解放

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2021/12/01
No image

発売中のForbes JAPAN2022年1月号の特集「日本の起業家ランキング2022」で2位に輝いたのは、キャディの加藤勇志郎だ。

シリーズBラウンドで驚異の大型調達、大幅な受注拡大、社員数の急増と勢いづく同社が描く「製造業の可能性」の解放とは何か。

国内スタートアップによる資金調達の大型化が進むなか、2021年に業界を沸かせたのが加藤勇志郎が率いるキャディだ。同社は8月、国内外の投資家から総額80.3億円の資金調達を実施。設立4年、シリーズBとしては異例の大型案件となった。

見逃せないポイントは、海外の著名VCであるDST Globalのパートナー陣が出資していることだ。ロシア生まれの「ビリオネア製造機」ことユーリ・ミルナーが創業した同VCは、リーマン・ショック直後の09年にFacebook(現・Meta)に出資しIPOに導いた功績で知られ、そのほかにもTwitter、Airbnb、Spotify、Alibabaなど世界の名だたるメガベンチャーへの投資実績をもつ。

ここ1〜2年で、国内のスタートアップに投資する海外投資家は徐々に増えているが、そのほとんどはIPOを射程圏内に入れたレイターステージ。今回のキャディはシリーズBラウンドでそれだけ大きなポテンシャルを感じていることになる。

海外投資家からの評価について、「デジタル化が進んでいない大きな市場があることと、これまでの実績、そして経営陣を含むメンバーに魅力を感じてくれています」と加藤は話す。「ただ、大規模な調達をしたからといって、何か大きな変化があるわけではないですね。もともと考えていたことを、いかにより早くブーストしていくか、より強固にしていくかがとにかく課題。そのためには、それができる人を採用していくことです」。

キャディが掲げるミッションは、「製造業のポテンシャル解放」だ。国内に約120兆円の市場規模がある調達領域にフォーカスし、受発注プラットフォーム「CADDi」を展開。板金・機械加工や加工部品の一括受注サービスを手がける。

無から事業を立ち上げる「0→1」から、種を芽にして育てる「1→10」へと4年の短期間でフェーズを移行してきた。21年4〜6月期は受注高が前年同期比で約6倍に急拡大。設備面でも、加工部品を検査・梱包して発送までを担う品質管理センターの面積を関東で約3倍にするなど、アップテンポで成長している。

ただ、華麗な成長ぶりとは裏腹に、「まだまだ、常に課題だらけ。順調だと思ったことは一度もない」と加藤は屈託なく、淡々と話す。特に意識しているのが、採用と組織体制の強化だ。キャディの社員数は230人と、過去1年で3倍近くに急拡大。今後もエンジニアを現在の4倍に増やすことを計画している。

踏ん張りどころの多い拡大局面だけに、”指示待ち”の受け身人材では対応が難しいだろう。「社員全員がマルチタスクをこなしている状態です」と、加藤はメンバーの活躍を頼もしく見ている。会社の体幹となる「カルチャーづくり」を重視して投資を行ってきた。

「人材は、自社のカルチャーにフィットしているかが本当に大事だと痛感しています。会社のミッションに共感し、『至誠を貫く』などのバリュー(行動指針)を重んじ、当事者意識をもって仕事を楽しめる人。そういう人でないと、半年くらいたってうまくいかないことが多い」。

「敵対的」はチャンスの裏返し
「至誠を貫く」というバリューは、創業前の自身の経験をもとに打ち出したものだ。加藤は、大学を卒業してマッキンゼー・アンド・カンパニーに新卒で入社。コンサルタントとして巡りあったのが調達の世界だった。「最初はものすごく嫌われました。大学を出たばかりの若造が、30年以上も調達をしてきた人たちにコスト削減を提案する。おこがましいと思われるわけです」。

各社の調達部門には業界でも名を知られる「ドン」と呼ばれるような大御所がいて、部下を守ろうと外部のコンサルタントには厳しくあたるという。怒鳴られたこともしばしばで理不尽な目にも遭ってきた。だが加藤は、「毎日クライアント先に夜中まで残り、翌朝も早く訪問する。そのたびに設計の段階にも踏み込むような提案を繰り返して、正しいことを主張し続けると、認めてもらえることも増えていきました」と振り返る。これが原点となった。

エモーショナルな側面がある世界だからこそ、胸襟を一度開いた相手は親身になって世話をしようとする。家族ぐるみで食事をすることも増えた。創業しても味方になり、面倒を見てくれたのは、こうしたベテランたちだった。

「営業で訪問した相手が、最初は敵対的だとわかると、『これはチャンスが大きい』といまは思いますね。認めてもらえば、長い付き合いができるとわかっていますから」。こうした姿勢が共通の価値観としてメンバーに広がっていることが、プロダクトというテクノロジーを超えたキャディの強みになっている。

「毎日のように何か失敗し、その対応に追われながら会社を回しているような状況ですよ」と謙遜する加藤。しかし、その瞳に迷いはみじんも感じられない。「僕は悲観的なことをちゃんと考えられる楽観主義者なんです」と冗談げに話しながら最後にこう言い放った。

「巨大で魅力的な市場があって、時間はかかるかもしれないけれど、50年先には絶対に変わることがわかっている。そして、そこに志をもった優秀なメンバーが集まっている。この3つがかけ合わさっていれば、中長期的には絶対に波を起こすことができる。それが僕の人生最大のベット(賭け)であり、正しい方向に向かっていると確信しています。だから、小さな失敗なんて気にしない」。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加