巨人・中田翔が「ファン投票1位」の信憑性 SNSでは投票呼びかける動きも

巨人・中田翔が「ファン投票1位」の信憑性 SNSでは投票呼びかける動きも

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  • 更新日:2022/06/23
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巨人の中田翔

巨人の中田翔に関して、ちょっとした騒動が起こっている。オールスターゲーム(以下、球宴)のファン投票、セ・リーグの一塁手部門で最多得票を得ているからだ(6月22日発表時点)。球界きっての知名度を誇る選手であるため票が集まりやすいのは当然かもしれない。しかし今季はここまで打率がギリギリ2割台で、一軍と二軍を行ったり来たりの状態が続いている。とてもじゃないが、活躍しているとは言い難い。

【写真】イチローが「本当の天才」と言った男とは中田の他に一塁手部門で名を連ねているのが、マクブルーム(広島)、ビシエド(中日)、ソト(DeNA)、オスナ(ヤクルト)らの助っ人。どの選手も大活躍とは言えないが、それでも2位につけているマクブルームを含め、中田よりも成績は上だ。投票は今月27日に受付が締め切りとなるが、仮に1位となっても中田は7月のオールスター開催時に二軍でプレーしている可能性すらある。

かつても球宴のファン投票では成績を度外視した投票行動が問題となった。有名なのが2003年の川崎憲次郎の一件だ。川崎は2000年オフにヤクルトから中日にFAで移籍するも故障のため中日入団後は1度も一軍での登板がなかった。だが、ファン投票で「川崎を選出しよう」という“嫌がらせ”のような呼びかけが広まり、最多得票を獲得する事態となった(川崎は出場を辞退)。

「(川崎の騒動は)悪ふざけ、イジメとも言え、翌年からファン投票選出の基準に出場成績が設けられるようになった。しかし抑止力になっていないから、同じようなことが起こる。タチが悪いのは『純粋に中田を見たいから投票した』と言われてしまえば否定できない。加えて当時より飛躍的にネットが普及していて投票しやすくなった。今後も同様のことは起こるはず」(在京テレビ局スポーツ担当者)

川崎の騒動の結果、ファン投票で対象となる選手の基準が設けられ、野手は「10試合以上出場または20打席以上」というものとなった。ハードルの低さは明白で一軍である程度プレーしていれば誰でも満たせる。中田もこの基準はクリアしているものの、今の成績では真剣にファンが投票しているとは考えにくい部分もある。

「巨人ファンの中でも(昨シーズン途中の)中田獲得には賛否両論があった。巨人ファンでも中田に投票している人は多くないはず。そうなると、ただ選ばれることを面白いと考えるファンが動いている可能性もある」(在京テレビ局スポーツ担当者)

ツイッター上には「#中田翔をオールスターへ」というハッシュタグもあり、川崎のケースと同じようにネットで投票を呼びかける動きは今回も存在する。そこには中田を純粋に応援したいという気持ちもあるのだろうが、一方でそれに対して疑問の声を上げているファンも少なくない。

しかし、野球の本場メジャーリーグではこういったことが起きるのは稀。米国では球宴は毎年1試合しか開催されず、ファンも結果を残した“選ばれしプレイヤー”のみが出場できる非常に格式が高いものだと認識して投票しているからだ。

「米国ではこのような行為はほとんど起こらない。スポーツ本来の意義、魅力を考えれば考えられないこと。NPBとしても現在は性善説に基づいて資格やルールを作るしかないのだろう。今後も似たようなことが頻繁に起こるとなれば厳格な基準を設けるしかなくなる。例えば、選挙同様に1人1票の投票権を与えるなどです。スポーツやエンタメの根幹に関わる問題でもある」(在米スポーツライター)

日本のプロ野球では以前から球宴の意義が“薄れている”と議論されてきた。ファンのこういった行動が起きる一つの要因となっているのは間違いないだろう。

「選手側には以前のような真剣味は薄れている。テレビ中継の少ない時代はパ・リーグの選手などが自らを売り込むために必死だった。しかし、今ではCS、ネット中継などを含め全球団の試合が手軽に見られる時代になった。そもそも、タイトな日程内で開催される球宴で怪我などしたら話にならない。一生懸命にやる必然性がない。少しでも調子が悪い選手には球宴出場辞退を勧める球団すらあるという」(在京球団編成担当)

NPBは球宴、日本シリーズなどが数少ない収益源でどうしても話題になることを望む。そうすることで観客も増え、視聴率も上がりスポンサーも集まる。“人気先行”となりがちな現行のファン投票のルールもある程度は許容し、スター選手が多く出場することが重要になってくる。一方で球団側にとって大事なのは公式戦。優勝争いをする中で自軍の選手が活躍することで観客動員やグッズ売り上げなどが増える。両者にとって思惑が違うことも、球宴がいまいち盛り上がらず、ファンもついてこない一つの要因となっている。

「NPBはかつて球宴3試合制を採用するなど、あの手この手で収益増を目指している。最近は全国的知名度の高い選手には何としても出てもらうよう各球団への根回しも行っているらしい。結果、グラウンド上での真剣勝負など生まれず、ベンチ内でうちわをパタパタしながらの談笑になる」(某パ・リーグ球団の営業担当者)

「今やファンは本気の夢の対決が見られるとは思っていない。球宴に実際に足を運ぶファンが求めているのは普段できない他球団選手の応援歌を歌うこと。名曲と言われる応援歌の選手が出場すると異常な盛り上がりを見せる。侍ジャパンの試合も同様ですが、応援できる外野席のチケットから売れていくのはそのため」(在京テレビ局スポーツ担当者)

このように日本では球宴の意味合いが昔とは大きく変わってきている。しかし、これまで真剣勝負の中で様々な名場面も生まれてきた。中田に投票が集まるのは川崎のケースと同じなのか、純粋に中田に魅力を感じているファンが多いのかは分からない部分ではある。だが、今回の中田の件をキッカケに今一度球宴の存在意義を考える時が来ているのではないか。

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