同じ家に帰っても、別々に寝る男女。ふたりが距離を縮めるために、男が計画したコト

同じ家に帰っても、別々に寝る男女。ふたりが距離を縮めるために、男が計画したコト

  • 東京カレンダー
  • 更新日:2020/05/28

童顔で可愛いルックスと、明るく物怖じしないキャラクター。男を振り回す天性のあざとさから、寄ってくる男はよりどりみどり。

ただし、それも交際前までー。

付き合う前はモテるのに、交際期間は最長3ヶ月。恋愛が全く続かない女。31歳の絵麻も、そんなうちの一人だ。

なぜなら彼女は、いわゆる「恋愛依存症」の女。重すぎて、いつも男に逃げられてしまう彼女が、幸せを掴む方法とは?

◆これまでのあらすじ

2019年6月。二階堂 空(あお)と付き合うことになった絵麻。順調に交際が進んでいたが、浮気未遂現場を目撃してしまい…

No image

ーパタン

深夜1時。玄関のドアが閉まるに音に、体がビクッと反応する。と同時に、私は胸を撫でおろした。

彼氏の空(あお)が他の女性とデートしている現場に遭遇した後、彼の家で帰りを待っていたのだ。

だが、その時間は永遠のように感じられた。

もし帰ってこなかったら、きっと私は自分の感情をコントロールできずに、グラスのひとつでも割っていたかもしれない。

ベッドで寝たフリをしていると、シャワーの音が聞こえ、それがやがてドライヤーの音に変わる。そして数分もしないうちに、ソファに体を沈める音が聞こえ、部屋の灯りも消えた。

私がいる寝室に来ないことは予想できていたものの、現実になった途端に寂しさで胸が苦しくなった。

抱かれる回数が減ったことと、あの女性は関係があるのだろうか。考えるだけでも目眩がする。

リラックスできるハーブティーが飲みたくなり、キッチンへ行くとリビングからいびきが聞こえてきた。

自分の浮気未遂現場を彼女に抑えられ、別れるかもしれない危機的状況なのに、なんと呑気なのだろうか。

-明日の朝、始発の電車で実家へ帰ろう。

そう心に決めて目を閉じたが、店での出来事が脳裏に焼きついて朝まで一睡もできなかった。

「そっか、そんなことがあったんだ」

「うん...」

代官山のカフェでアイスラテを飲みながら、私は弱々しく頷いた。あの数日後、レイナに電話で相談したら、心配してくれてランチに誘ってくれたのだ。

「連絡は取ってないの?」

「取ってるというか、昨日長文のLINEがきたけど」

レイナに画面を見せると、予想外の反応をされた。

絵麻が驚いた、空が仲直りのために起こした行動とは…

「なーんだ、絵麻のこと好きだってダダ漏れじゃん。たぶん浮気じゃないと思うよ。それに、ちゃんと家に帰ってきたんでしょ?」

確かにLINEには、相談事があってあの女性と会っていたことや、彼女がいるのをあの人も知っていたことなどが綴られていた。

「そうだけど、あんな場面見たら誰でもカッとなるし疑うでしょ。他の女性と楽しそうにお酒なんか飲んじゃってさ」

せっかくランチメニューを頼んだのに、食欲がわかなくて、さっきから全く手をつけられていない。ラザニアが乗ったお皿をぼんやりと見つめる。

「まぁ、実際に見たらムカつくか。でも、それを浮気と決めつけるのもかわいそうな気もする」

「んー。確かにそうかも...」

-もしかして、わたしが過剰にヒートアップしちゃっただけ?

ぐるぐると思考を巡らせ、その思いと共に、氷が溶けて薄まったカフェラテをストローでかき混ぜた。

「ランチタイムのラストオーダーなのですが、デザートなど追加注文はよろしいですか?」

店員さんに聞かれて、はっと我に返る。

「いえ、大丈夫です…。あっ」

そう答えたのと同時にスマホが鳴った。画面に視線を移すと、新着メッセージは空からだった。

『絵麻。いま僕、宮古島に来てるんだけど、このタイミングで祖母がうちに要冷蔵の食べ物を送ったみたいなんだ。今日の夕方届くみたいで、どうしよう』

ツッコミどころ満載の内容に思わず笑みがこぼれ、手で口元をおさえる。美容院の予約があるからと、レイナが先に店を出ていてよかった。

『わかった』

宮古島に貸別荘を経営している友人がいることや、マイルがかなり貯まっていることなどは以前から聞いていたため、あえて触れずに一言だけ送信した。

すると、返事の代わりに綺麗な海の写真が送られてきた。

No image

喧嘩の真っ最中だというのに、何も言わず旅に出て、さらに何事もなかったかのように連絡してくるなんて。

私も人のことは言えないが、やはり彼もだいぶ変わっている。

私は、かわりに荷物を受け取ってあげるため、空のマンションまでやってきた。

手を洗おうと向かったバスルームには、お気に入りのスキンケアや、青とピンクの歯ブラシが仲良く並んでいる。

日常だった風景が懐かしく、そして切なかった。

私だって、会社の同僚や男友達とお酒を飲みに行くことくらいたまにある。空はたまたまそれを私に見られてしまっただけだ。

まだやり直せるなら、私から謝らなくては。そう気づいた瞬間、チャイムが鳴って宅配業者がやってきた。

やたらと高さのある箱を受け取って、リビングにその箱を置き、一息つく。ちょうどそのとき、空からLINEがきた。

『箱、開けてみて』

『そっかクール便だ!冷蔵庫入れとくね』

急いでダンボールを開ける。すると、冷んやりとした空気の中から幸せな香りがして、艶やかな花びらが顔を出した。

「え!?」

思わず声が出た。箱の中身は、真っ赤なバラのブーケだったのだ。

空が、他の女性と内緒で会っていた本当の理由とは…

No image

-絵麻、不安にさせてごめん。

そう書かれたメッセージカードもついていた。思わずじわっと目に涙が溜まる。

今までも似たような間違いを何度も繰り返し、その度に愛想尽かされ、逃げられてきた。だけど、それでも抱きしめてくれる人をずっと探していたのだと思う。

こんな私でも好きでいてくれる、たったひとりを。

私は、声をあげて泣いた。空の気持ちが優しくて嬉しくて、胸の中にあった刺がようやく抜けたような気がした。

羽田空港 第一ターミナルの到着ロビー。サプライズで勝手に迎えに来たのではない。

彼に空港まで来てほしいと言われてから、高速バスに乗ったのだ。もう前みたいに、自分の気持ちだけで勝手に先走って行動を起こすことは、しなくなった。少しずつだけど、確実に成長していると我ながら思う。

だけど、待ちきれなくて到着予定の30分前に着いてしまった。

「あーー!絵麻ちゃんだ〜!」

私の姿を見つけるなり、駆け寄ってくる空の様子はまるで子どものようだ。両手には、お土産がぎっしり入った紙袋を下げている。

空は、家へと向かうタクシーの中でお土産をひとつずつ説明し始めた。

「お揃いでTシャツとか着たいって言ってたでしょ?ほらこれ、可愛くない?」

広げたTシャツの胸元には、『beach』というロゴがプリントされている。

「わぁ嬉しい。これ着て週末出かけようよ!」

「うん。でもまずは今日のパジャマだな」

空は笑顔でそう言った後で私の手を握り、自分の膝の上に持っていった。

窓を開けると、生温い風が頬を撫でる。東京の夜景がキラキラと輝いていて心が優しくなった。

「宮古島にいる間、ずっと絵麻のこと考えてた。毎日酒飲んで、海行って、昼間は仕事して、の繰り返しだったけど、絵麻がいないとつまんないなーって」

「私もだよ」

私は手を握り返して、空の顔を見つめる。その表情は、何かを覚悟したように美しく凛々しかった。

「あの女の人は、行きつけの店の常連さんでね、絵麻との結婚のことを相談してたんだ」

-結婚!?

「そうだったの...何も聞かず、誤解してごめんなさい。私、ひどいことしちゃった。彼女にも謝らないと…」

「うん、連絡しておくから、一緒に謝りに行こう」

結婚というワードが今の段階で出るのは予想外だったが、私の頭を撫でる仕草から愛を感じる。

「でも、人に相談しなくても、僕は絵麻がいないとだめだってことは離れてみてちゃんとわかったよ」

空は、思っていることをきちんと言葉にして伝えてくれた。

「ありがとう。それから、お花も...」

「なかなかキザでしょ。本数にもちゃんと意味があったんだよ、気づいた?」

21本のバラが示すもの。彼が伝えようとしてくれたのは「真実の愛」だった。それを信じたら、きっと未来はもっと明るい。

今までは、相手の気持ちよりも自分の感情を優先してきた。

きっと私は、”恋人”よりも”恋に夢中な自分”が好きだったんだと思う。

空が私を許してくれたのは、単にめんどくさい女が好きだからなのかもしれない。最初は、それでもいい。

でも、ふたりの絆を本物にしていくためには、今のままではいけない。

ーこれからは、もっと空のことを信じる。

そう心に誓ったのだ。

「うん。だから嬉しかったよ」

「絵麻は手がかかるから、僕がずっとそばにいてあげないとね」

そう言い終わる前に、ぐいっと抱き寄せられた。そこは間違いなく、私だけの居場所だった。

Fin.

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

恋愛カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
「愛されたい」と思うのなら、まず「自分で自分を好きになること」から始めよう
彼と一緒に暮らしても大丈夫?おうちデートでチェックする方法
男性が「デートしてよかった」と思う女性の行動
コロナ渦で「デートができない」と焦る人に伝えたいこと
彼に約束を破られた。恋愛上手な女性の「トラブル対処法」とは?
  • このエントリーをはてなブックマークに追加