独学成功のカギは「毎日1分でも学ぶ」「学んだらすぐ記録」 『独学大全』著者が指南

独学成功のカギは「毎日1分でも学ぶ」「学んだらすぐ記録」 『独学大全』著者が指南

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  • 更新日:2021/05/02
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写真はイメージ(Gettyimages)

独学しようと志して、挫折した経験がある人は少なくないだろう。自主学習のための技法を紹介した著書『独学大全』(ダイヤモンド社)が17万部を突破したブロガー・読書猿さんに、英語の自主学習を成功させる秘訣を聞いた。現在発売中の『AERA English 2021 Spring & Summer』(朝日新聞出版)からお届けする。

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■人間は挫折する生き物 まずそれを認めること

――読書猿さんは、幼い頃から読書が苦手で、克服するためにあらゆる分野の独学を続けられたそうですが、英語学習者の多くが途中で挫折してしまう理由とは何でしょうか?

読書猿さん:日本で普通に暮らしながら、英語力をある程度身につけるためには、英語に集中的に触れる時間を人工的に作り出し、長期間維持する必要があります。挫折というよりも「続かない」「途中でやめてしまう」最大の原因は、「意志や気持ちの力に頼る」からだと思います。

人は体温を保つ機能は持っていても、意志を保つ能力はもとから持っていない。英語学習を始めるときにどれだけ強い気持ち、高い意識を持っていても、何日か経てば、そうした高揚した気分は消えてしまいます。働いている方であれば、「やるぞ」と思ったらその時はすべてを懸けて勉強に集中しますが、感情が落ち着いてくると、やがて「今日は眠たい」「仕事が忙しい」「電話がかかってきた」などと、意識が散らばっていく。それはそもそも人間の仕様なのだと思います。

生物学的には人が「いまここ」の状況に対応するのは当然です。でないとアフリカのサバンナにいたぼくらの遠い祖先は、過酷な生存競争を生き残れなかったので。外敵から身を守ったり、未知の危険に気づいたりできるように、もともと気が散るようになっている。同じことを考え続ける能力は備わっていないのです。

こうしたことを知っておくだけでも、勉強は楽になるでしょう。失敗しても自尊心を痛めつけずに済みます。「自分だけ英語が苦手で、他の人はもっとうまくやっている」と嘆きがちですが、今英語ができる人たちも何度も挫折した人たちなのです。

人間とは挫折する生き物。だからこそ、学習を続けるには、こうした生物としての人の特性を認めて、意志や気分に左右されない環境と仕組みを「自分の外」につくることが大切です。

■毎日少しだけ学ぶこと、学習したらすぐ記録を

――英語力向上には、「毎日続けること」が最も効果的といわれます。英語学習を習慣化するコツはありますか?

読書猿さん:まず学習の最小単位をできるだけ小さく設定することです。「今日はまとまった時間が取れなかったから勉強できなかった」という言い訳を先に潰します。どれだけ忙しい人でも、1日1分間を捻出できないことはありません。1分間だけでも取りかかれば、短い時間なので「もっとやりたかった」という気持ちが残ります。念が残ると書いて「残念」といいますが、これが強力なモチベーションの源になる。発見者の名をとって「オヴシアンキーナー効果」と呼ばれます。お金などのリターンがあるより、途中でやめたほうがまた続けたくなる力は強い。途中でやめる方法は、「少しでもやること」なんです。

さらに言えば、死ぬほど忙しかったにもかかわらず、細々とであれ学び続けられたという事実は、自信になります。この自信のカケラを可視化し、積み増ししていく技法が、『独学大全』で紹介している「ラーニングログ」です。「学習したら記録する」というシンプルですが、有効な方法です。一日一日はわずかでも、その蓄積は強力な援軍となる。逆に1分間のスキマ時間を捨ててしまえば、何も残らない。何も学ばず、念もログも残らず、自信は育たず、時間ばかりが空しく過ぎていきます。英語を1分間で学習できるものを用意するなら、人の記憶のサイクルに合わせて出題してくれる単語帳アプリ「Anki」を使うのがベストでしょう。

次に「毎日必ず行う自分の都合で動かせない行動」と学習時間を結びつけること。勤め人なら、通勤中か通勤前に学習時間を設ければ、ほぼ毎日繰り返せます。時間の区切りがつきにくい在宅勤務の方は、あえて毎日繰り返す儀礼的行動を導入するとよいでしょう。同じ時間に同じ椅子に座りコーヒーを飲む、といったことでいいので、できれば厳密に同じことができるように、儀式として作り込むと効果があります。

<プロフィール>

読書猿さん/2008年からブログ「読書猿 Classic: between/beyond readers」を主宰。ギリシア時代の古典から最新の論文まで、先人たちのあらゆる知を「独学者の道具箱」としてまとめ、独自の視点で紹介する『独学大全』(ダイヤモンド社)が、17万部突破。昼間は普通の勤め人として働く傍ら、朝夕の通勤時間と土日に独学に励んでいる。

(構成/曽根牧子)

※「AERA English 2021 Spring & Summer」より

曽根牧子

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