「キャシアン・アンドー」シーズン1を総括...「スター・ウォーズ」サーガの概念が変わる!?「シリーズのなかで圧倒的におもしろい!」

「キャシアン・アンドー」シーズン1を総括...「スター・ウォーズ」サーガの概念が変わる!?「シリーズのなかで圧倒的におもしろい!」

  • MOVIE WALKER PRESS
  • 更新日:2022/11/25
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ついにシーズン1完結!死してなお、人々に勇気を与えるマーヴァのスピーチに胸打たれる… [c]2022 Lucasfilm Ltd.

ディズニープラスで好評配信中の「スター・ウォーズ」最新ドラマシリーズ「キャシアン・アンドー」のシーズン1がついに完結。ドラマの全体像が見えてきたことで、興奮を隠せないファンも多いのではないだろうか。MOVIE WALKER PRESSでは全12話のレビュー企画を行ってきたが、今回はその最終回。「月刊シネコンウォーカー」編集長の佐藤英樹、「DVD&動画配信でーた」編集長の西川亮、「MOVIE WALKER PRESS」編集長の下田桃子が、全話を完走した感慨について語り合った。

【写真を見る】のちにキャシアンの相棒となるドロイド、K-2SOが「キャシアン・アンドー」シーズン2に登場するらしい!?

ここで、「キャシアン・アンドー」の内容を軽くおさらいしておこう。本作は銀河帝国支配の暗黒時代、惑星フェリックスでくすぶっていた青年キャシアン・アンドー(ディエゴ・ルナ)が反帝国派のゲリラ活動に身を投じていく物語。最初は金や身の安全のためだったが、波乱の道のりを歩んでいくことで、彼に変化の兆しが現れる。ご存知のとおり、キャシアンはこのあと、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)で反乱軍のスパイとして活躍するのだが、そこに至る経緯がシーズン1で半分ほど明らかになった。残りは、2024年に配信が予定されているシーズン2で語られる。

※以降、ストーリーの核心に触れる記述を含みます。未見の方はご注意ください。

「『スター・ウォーズ』の世界観の幅を押し広げた作品」(佐藤)

西川亮(以下、西川)「シーズン1を観終わりましたが、個人的にはディズニープラスの『スター・ウォーズ』関連シリーズのなかでは、圧倒的におもしろかったですね。1番好きかもしれません。最終回は物語が進むにつれて静かに盛り上がっていく感じがとても渋かった。映画版を含めて、こんなにもしっかりしたドラマを『スター・ウォーズ』で観たことはなかったかも。以前の座談会でも言いましたが、『スター・ウォーズ』を知らなくても、物語に入りやすいという点も強みですね」

下田桃子(以下、下田)「後半にきて本当に盛り上がりましたね!私も手放しで絶賛派になりました。メッセージ性の強いスピーチも多かったけれど、この物語のなかではうっとうしくならないし、かなりハマりました」

佐藤英樹(以下、佐藤)「個人的には、最終話で派手なドンパチを期待していたので、そこには少し物足りなさもあったんだけど、振り返ってみると、そういう期待というか予測を延々といい意味で裏切られ続けてきて、ここにたどり着いたという達成感はありました。『スター・ウォーズ』のイメージとはまったく違うし、むしろ『スター・ウォーズ』の世界観の幅を押し広げた作品ですね。これまでのファミリー向けのイメージは捨てて作っていいんだ、という域に達した感じ。そういう意味では、『スター・ウォーズ』のクエンティン・タランティーノ版とか、新海誠版とか、出てきてもいいんじゃない?」

西川「僕は『スター・ウォーズ』自体すべての年齢層に向けた作品だと思うんですけれど、『キャシアン・アンドー』は、仮にちびっこが観て、現時点はおもしろくなかったとしても、それでいいという作り手の自信や覚悟がはっきり出た作品ですよね。子どもにはまだ理解できないところも多いかもしれないけど、大人のファンは盛り上がっている。そして、(その子どもたちが)10年後くらいに改めて観直した時に、『傑作じゃん!』と思えるんじゃないかな」

佐藤「言われてみると、小学生の時に観た『スター・ウォーズ/ジェダイの復讐』は、ドンパチの部分は覚えているけれど、ドラマは理解できていなかった気がする。その後、2度3度と観直してドラマのおもしろさに気づいたようなところはありましたね。そういう意味では、『キャシアン・アンドー』にも通じるかもしれない」

下田「群像劇だけれど、みんなが共通のところに向かっているし、複雑に見えるけれど一本筋が通っていますよね。かつて『スター・ウォーズ』に夢中になったいまの大人たちを、かなりの引力で引き戻す、そういうパワーがありましたね」

「刑務所のエピソードは、完成度が高いと感じた」(西川)

西川「特に第8~10話の刑務所のエピソードは、完成度が高いと感じました。あそこで囚人たちはなにかの部品を組み立てる作業を強いられている。でも、彼らも、観ている僕らも、なんの部品なのかがまったくわからない。わかるのは、何班かに分けられ、競い合うように急ピッチで組み立てていくということだけで。おそらく、デス・スターのなにかだろうということはファンなら想像がつくけれど、ああいう大きなものを作るうえで、数人がかりでそのパーツを何個も何個も作らされる。この頑張りはなんのためのものなのかもわからない、あの空虚なリアリティがすばらしいと思いました」

下田「刑務所を舞台にした一連のエピソードはそれまでとトーンが変わって、特異でおもしろかったですね。ガジェットの裏に労働あり、という現実が見えます。刑務所だけでなく、ほかでも部品作りに追われている人が、要所要所に出てくるじゃないですか。SF映画のガジェットって、『わあ、かっこいい!』で終わるものだけれど、でもそれは誰かの手で作られているもので、それがデス・スターのスーパーレーザー砲のパーツだったことがわかると、ゾッとしますよね…」

佐藤「刑務所では囚人たちのリーダー、キノ・ロイ役で登場したアンディ・サーキスが印象的でしたね。キャシアンたちと脱獄に成功したものの、刑務所の周囲が海に囲まれていて、キノ・ロイが『泳げないんだ』と言って立ちつくす場面、あそこは笑っていいんだよね?(笑)」

西川「いいと思いますよ(笑)。でも、笑えると同時にせつないというか…。脱獄したのに戻るわけにもいかないですからね」

「マーヴァの葬儀で、彼女のスピーチが人々を勇気づけるシーンがよかった」(下田)

佐藤「キノが最後まで脱獄を渋っていたのも、これが原因だったのかな?って思いました。フォレスト・ウィテカー演じるソウ・ゲレラも、ようやく後半になって出てきたけれど、『ローグ・ワン』に比べると強い信念を持っていなさそうなキャラクターだったな…。日和見主義というか、(ゲリラ活動を)やるって言ったり、やっぱりやめようと言ったり、揺れているところが優柔不断に感じました。シーズン2で変わってくるのかもしれないね」

西川「『ローグ・ワン』では反乱軍のなかでも、とりわけ武闘派というか過激なキャラクターでした。どうしてそうなったのかもシーズン2で描かれるかもしれませんね。それと、ステラン・スカルスガルドが演じているルーセン・レイエルは反乱分子の支柱となる存在でしたが、『ローグ・ワン』に彼が登場しないということは、シーズン2のどこかで死ぬ可能性が高いわけで、それが周囲にどんな影響を与えるのかも気になりますね」

下田「今後、反乱軍の中核を担っていくキャシアンが、シーズン1の段階では動揺してオロオロすることも多い。一方で、帝国から資産口座の監査を受けることになるモン・モスマ(ジェネヴィーヴ・オーライリー)や惑星フェリックスの人々のほうが覚悟を持っていて、それが彼らのマニフェストになって表れているのがおもしろかったですね。特に、キャシアンの育ての母であるマーヴァ(フィオナ・ショウ)の葬儀で、ホログラムで映しだされた彼女のスピーチが人々を勇気づけるシーンがよかったです。最初はそんなに重要なキャラだとは思いませんでしたが、反骨の人であることがわかってきて、キャシアンにもその血が受け継がれていることを思わせますね」

「最初の印象だけで判断してはいけない作品だった」(佐藤)

西川「最終話はマーヴァの葬儀で物語の舞台がフェリックスに戻ってきますが、フェリックスを飛び立つまでのキャシアンのドラマを最初の3話を費やして、ゆっくり描いていったことが、ここにきて効いていましたね。シリーズの構成としては、すごく贅沢な作り。この3話があったからこそ、最終話ではちょっとウルっときましたよ」

佐藤「正直に言うと、僕は仕事じゃなかったら2話目くらいで観るのを止めていたかもしれない…(苦笑)。でも、これは最初の印象だけで判断してはいけない作品ですね。アクションなど僕が期待している『スター・ウォーズ』の要素がまったくないから、前半はその異質さに戸惑ってしまった。でも、全12話を通して観ると、リアリティがあるし、どんどんスリリングになっていくから、これから観る人には最初でくじけてほしくないですね」

下田「海外での評価もそんな感じでしたね。第1~3話は、ほかの『スター・ウォーズ』ドラマに比べると視聴回数が少なかったようで、“野心的なことをやることに意味がある”というような、やや控えめな評価が多かったのですが、エピソードが進むほど評価も高まっていきました」

西川「座談会の初回から気になるキャラクターとして人気だったシリル・カーン(カイル・ソラー)も、保安局をクビになってからは意外に活躍しないなと思っていたら、最後の最後に見せ場がありましたね!高圧的だった保安局の中尉デドラ(デニース・ゴフ)を暴動から助けたことで彼らの力関係は変わり、カーンは優位に立ったわけで、彼もシーズン2をおもしろくする存在になりそう。まだまだ注目する必要がありそうです」

「マッツ・ミケルセンのような『ローグ・ワン』の出演者が登場する可能性も…?」(下田)

佐藤「活躍が持ち越されたキャラクターはほかにもいたよね。保安局に捕まって拷問を受けていたビックス(アドリア・アナ)や、モン・モスマの従妹でアルダーニ襲撃事件のリーダーだったヴェル(フェイ・マーセイ)、その恋人のシンタ(ヴァラダ・セィスー)とか。彼女たちもシーズン2では、もうひと波乱あるでしょう。モン・モスマや、政略結婚を迫られるその娘も」

西川「さっき下田さんが指摘していたマーヴァもですが、思ってもいなかった人物が、のちに大きな存在となったりするのは、このドラマに関してはありますからね。シーズン2でもそれはあるかもしれない。最終話で爆弾を作っていた男の子も生き残りましたから、爆破担当として今後活躍するかもしれません。あと、第11話でキャシアンと一緒に脱獄して途中で別れたメルシ(ダンカン・パウ)は、反乱軍の一員として『ローグ・ワン』にも出ていたんですよね。だからシーズン2でキャシアンと再会する可能性は大いにあると思います」

下田「製作を手掛けたトニー・ギルロイはインタビューで、『シーズン2はシーズン1とはトーンが違うものになる』と言っているようです。そこで『ローグ・ワン』とつなげていく。ひょっとしたら、フェリシティ・ジョーンズ(ジン・アーソ役)やマッツ・ミケルセン(ゲイレン・アーソ役)のような『ローグ・ワン』の出演者が登場する可能性も…?」

佐藤「『ローグ・ワン』でのキャシアンの肩書は情報将校だから、諜報部署の長ってことですよね?反乱分子のヴェルやシンタなど、活躍が持ち越されたキャラクターが、そこに組み込まれる可能性もあるんじゃないかな?それとルーセンはカリスマ性だけでなく、スペースシップを操縦する腕もすごいことがわかったし、シーズン2では、パイロットとしてもっと宇宙で活躍してほしいなあ」

西川「シーズン1は1年間の話だけれど、2は『ローグ・ワン』につながる4年分の物語を描くそうですよね。それを思うと、1よりも展開は駆け足になるのかな。キャシアンが1で見せたおもしろい資質は、ヒロイックというより、周りを焚きつけるのがうまいということだと思うんです。アルダーニの反乱分子たちと合流した時も、キノ・ロイと共に脱獄を指揮した時も、言葉巧みというワケではないですが、素のままで語ると周囲が燃え立つような。そんな彼がシーズン2で、反乱軍の仲間をどう統率していくのか、気になりますね」

取材・文/有馬楽

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