
"インドネシアのリアウ諸島で2023年9月19日、東南アジア諸国連合(ASEAN)による共同軍事演習の開幕式であいさつをするインドネシア国軍のマルゴノ司令官(中央)ら=同国軍提供"
南シナ海の領有権をめぐって中国と沿岸国の対立が続くなか、東南アジア諸国連合(ASEAN)は19日から、南シナ海南部にあるインドネシア領のリアウ諸島などで初の共同軍事演習を始めた。軍事的な連携を深めるのが狙いで、23日まで海上パトロールや捜索・救助活動などを実施する。
【写真】インドネシアのナトゥナ諸島で、日本の支援で機能が拡大される予定の漁港
演習を主催したインドネシア国軍によると、加盟国の全10カ国が参加。軍政下のミャンマーからも高官が出席したという。
南シナ海に面し、領有権を主張しているフィリピンやベトナム、マレーシアといったASEANの国々は、中国による海域内での岩礁の埋め立てなどに反発している。中国が8月に南シナ海のほぼ全域の管轄権を主張する「標準地図」を公表した際にも、批判する声明を出していた。
ただ、インドネシア国軍のマルゴノ司令官は19日、「今回の演習は『標準地図』に対応するためのものか」と報道陣から聞かれると、「そうではない」と強調した。同国軍は演習範囲を南シナ海ではなく、「ナトゥナ海」と表現して配慮を見せる一方、「(海域での)全ての活動は、国連海洋法条約に従わなければならない」とも訴えている。(ニューデリー=石原孝)