五輪談合、広告業界「なれ合い」露呈 電通が主導的役割か

五輪談合、広告業界「なれ合い」露呈 電通が主導的役割か

  • 産経ニュース
  • 更新日:2022/11/25
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五輪を巡る入札談合疑惑で家宅捜索が入った電通本社=25日午後、東京都港区(飯田英男撮影)

東京五輪・パラリンピックを巡る疑惑は、大会スポンサー企業選定などを巡る汚職から、テスト大会関連事業を舞台とした談合にまで広がった。25日に強制捜査に乗り出した東京地検特捜部や公正取引委員会が疑惑の目を向けるのは、発注側の大会組織委員会に多くの社員を出向させていた広告大手「電通」をはじめとする広告会社など。スポンサー集めであらわになった広告業界の「なれ合い体質」が、大会運営でも露呈した形だ。(吉原実、桑波田仰太、石原颯)

究極の無駄遣い

「入札を手伝ってもらえませんか」。平成30年末ごろ、テスト大会運営の計画・立案業務の入札に関し、ある競技団体関係者の元を旧知の広告会社関係者が相談に訪れた。

これまでこの競技団体のスポンサー集めを担ってきた広告会社だったが、競技の大会自体を運営した経験はない。入札に必要な資料すら、そろっていなかった。資料作成を手伝い、広告会社は無事落札したものの、仕切りや段取りの悪さが目立った。

それでも、この広告会社はテスト大会や本番の大会運営業務を随意契約で受注。実際の運営は組織委に出向中だった競技団体の職員が仕切り、広告会社は下働きに終始した。

大会運営を担ったこの広告会社側には、組織委から1人当たり10万円以上の日当が支払われる契約だったという。「なぜ落札できたのか」。後日、問い詰めると、広告会社側はこう打ち明けたという。「談合、やっています」

「広告会社が入る必要は全くなかった。究極の無駄遣いだ」。競技団体関係者は憤りを隠さない。

リスクが大きく

特捜部が入手した入札に関する「意向リスト」には、五輪・パラのテスト大会の計画立案業務に絡み、電通をはじめとする広告業界のトップ企業が並んでいた。五輪汚職事件で幹部が起訴された旧アサツーディ・ケイ(ADK)の名前もあった。

今回、入札談合の疑いが持たれているのは五輪・パラのテスト大会の運営関連業務26件。受注したのは9社1団体で、落札総額5億円超だ。このうち電通は5件を計約8千万円で落札。捜索を受けたイベント会社「セレスポ」は5件を計約1億1600万円で、制作会社との共同事業体で1件を約1300万円でそれぞれ落札した。

この9社1団体はその後、本大会なども受注しており、五輪関連事業で得た総額は計数百億円に跳ね上がる。

その中心にいたのは、電通だ。汚職事件ではOBである組織委元理事に利用される立場だったが、今回は談合に主導的な役割を果たしたとみられている。

「うちは電通さんのおこぼれにあずかったようなもの」。入札談合に関わった疑惑のある広告会社の関係者は、そう振り返る。

関係者によると、五輪の東京招致が決まった後、広告業界の会合で、電通の上層部は広告会社幹部に対し、「オールジャパンでやるしかない」と水を向けたという。

この広告会社幹部は「ディール(取引)として成立するならありだと思った。五輪では電通が了解しなければ、案件にかめない。それが業界の常識」と話す。

関係者によると、五輪の大会運営は人手がかかる上、下請けへの発注なども必要で、予算内で採算が合うかは分からないという。

ある電通関係者は「電通がすべてを受注して『独占した』と批判されることこそ避けるべきこと。談合とは違う」と反論。一方、「五輪イベントは電通1社だけで運営するには、リスクが大き過ぎたのだろう」と打ち明けた。

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