【南生田ウイングス】「強い」と「育成」を両立させる“ウイングスメソッド”

【南生田ウイングス】「強い」と「育成」を両立させる“ウイングスメソッド”

  • ベースボールキング
  • 更新日:2021/01/12
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2009年には高円宮賜杯全日本学童大会に出場し、2015、16年には多摩区年度チャンピオンにも輝くなど神奈川県下で強豪として知られる南生田ウイングス。強いだけではなく、昨年は「エニタイムフィットネス プレゼンツ ベストコーチングアワード2019」で三つ星を獲得するなど、その指導法、育成方針も高く評価されています。「強い」と「育成」の両立の秘訣に迫るべく、総監督にお話を伺いました。

指定された時間にグラウンドに伺うと、そこにいたのはユニフォーム姿の可愛い未就学児たち。楽しそうに走ったりボールを追ったりしていました。

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ウイングスは年齢に合わせて5、6年生のAチーム、3、4年生のBチーム、1、2年生のOチーム、未就学児のRチームの4チームに分かれています。この日はお兄さんチームたちが別会場で練習試合などがあったため、Rチームが練習(野球遊び?)をしていたわけです。ちなみに4チームそれぞれに監督がいて部費もそれぞれで異なっているそうです(Rチームは無料)。

「年齢別にチームを分けることで、その年齢にあわせて技術、体力、精神面を正しくレベルアップさせる”ウィングスメソッド”を計画的かつ一貫して行うことができるんです」

そう話してくれたのは総監督の山内渉さん。
「ウイングスメソッド」とは、ウイングス独自の以下の4つからなるメソッドです。

① 年齢に合わせた一貫指導:すべての技術をレベル分けして、習得する学年ごとに実施する② 成長にあわせた計画的指導:途中からの入部や転部でも個別メニューを組み、適切な学年レベルにあわせる③ A(5、6年)B(3、4年)O(1、2年)R(年中、年長):おおむね4つのチームに分かれて指導する④ 褒めることと叱ること:素晴らしプレーや前向きなプレーはエラーしても褒める。危険な行為や仲間を中傷するような発言・言動には厳しく対処することを全指導者が周知徹底する。やるべきことをやった上での技術的エラーは非難せず、指導力不足と認識する。

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お話を伺った総監督の山内渉さん

ウイングスメソッドでは、例えば6年生がやっていることも低学年がやっていることも、段階が違うだけでやっていることの基本は同じです。

バッティング練習を例にするとこういうことになります。

・低学年の子(Oチーム)には「バットをブンブンと腰をまわしてごらん」と指導する。

・中学年(Bチーム)には「体重移動をしながら腰をブン!だよ」と初めて体重移動という言葉を使って指導する。

・高学年(Aチーム)には「体重移動しながら腰回転だよ」と指導する。

このメソッドのベースになっているのが2011年に発売されたある少年野球の指導書。部員は全員この本を購入し、特にコーチは熟読しているそうです。本をめくると打つ、投げる、走るの技術指導方法が初心者、中級者向けに書かれてあるだけでなく、子どもたちの安全管理、チームの年間計画からメンタルトレーングまで、学童野球の指導に必要と思われることが網羅されていました。

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野球未経験者もいれば甲子園出場歴もいるなど、お父さんコーチの背景も様々です。それぞれが自分の経験や理論を指導に持ち込めばチームも子どもも混乱します。また、学童野球では子どもの卒団と共にお父さんコーチもチームを離れることが多いですが、優秀なコーチが抜けた途端にチームが急激に変わってしまった、弱くなったという話もよく耳にします。しかし、チームとしての指導方針が明確でコーチ全員が共通のテキストを持っていれば、代替わりしても指導方針にブレがなく、コーチによって言うことが違うなどの指導のブレもなくすことができます。

「ティーチング」と「コーチング」の使い分け

一般的にティーチングは、指導者が選手に答えを教えるスタイル。そのため選手は受け身になり、指導者と選手の間に上下関係を築きやすという弊害が指摘されることも多いものです。しかし、トーナメント文化が根強い日本のスポーツシーンではティーチングの方が短期間で結果を出しやすいという利点もあります。

一方でコーチングは、指導者が答えを教えるのではなく選手から引き出すものであるため、選手が受け身にならずに自発的になり、指導者と選手の関係も対等、選手の自立に繋がりやすいというメリットがあります。しかし、ティーチングに比べれば短期間で結果を出しにくいという難点もあります。

ウイングスではまず「ティーチング」と「コーチング」の違いを、コーチ会議で全員で理解するところから始めているそうです。その上で、試合後の反省練習の時などは自分で考えさせる「コーチング」、試合や大会の直前は「ティーチング」を行うなど、状況、場面に応じて上手く使い分けているそうです。

欠かせない保護者の協力

「強い」と「育成」の両面で評価されるウイングスですがセレクションや人数制限はなく、基本的には「来る者拒まず」の方針で誰でも入部できます。ただし入部の際には保護者も交えて面談を実施しているそうです。なぜ面談が必要なのでしょうか?

「チームの指導方針を話すのはもちろんですが、出来る限りのことは協力してほしい旨の話をします。そこを承諾してもらってから入部してもらうようにお願いしています。大人数の子どもを見なければいけないので、どうしても大人の手が必要になりますから。指導する側もボランティアでやっていますので、そこは出来る限り協力をお願いします、ということですね。でもお茶当番などは当然ありません」。

過剰な親の負担が理由で少年野球を敬遠する保護者も多い今の時代。それが少年野球人口の原因の一つという声もあります。そんな中で「出来る限りのことは協力してほしい」と話せば、それを負担に感じる親もいるかもしれません。
しかし、ウイングスの場合はあくまでもお願いであって強制ではないとのこと。例えば、本当にこのチームで野球がやりたいけど共働きで土日には来られない。でも出来ることであれば協力しますということであればOKなのだそうです。ちなみに他のスポーツとの掛け持ちもOKで実際にサッカーと掛け持ちしている子もいるようです。このあたりの柔軟さが親から敬遠されるようなチームとの大きな違いなのかもしれません。(取材・構成・写真:永松欣也)

後編の「南生田ウイングス|独自のチームマネジメントと『勝つこと』を目指す理由」に続きます。

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