もう遅れは許されない 民意得て治水実行を ダム白紙撤回から12年

もう遅れは許されない 民意得て治水実行を ダム白紙撤回から12年

  • 西日本新聞
  • 更新日:2020/11/20
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【解説】12年前に川辺川ダム計画の白紙撤回を表明し、「ダムによらない治水」を極限まで考え抜くと宣言した蒲島郁夫知事が、その時と同じ熊本県議会の議場で断念を表明した。豪雨で多くの犠牲を出したことを反省したと述べ、重大な責任と運命にも似た「使命感」を持っての判断だと位置付けた。

方針転換の理由として強調したのは「民意」と「地球」だ。

何よりも民意を大切にしてきたとする蒲島氏はこの日、ダムを望む声が以前より増えたことを考慮したと説明。表明での「民意」の使用は12回に及んだ。

加えて有識者への意見聴取を通じ、地球温暖化による気候変動で世界は不確実性を増しているとの知見を得たと披露。「地球が変わった。民意も当然変わったと思う」と述べ、判断の正当性を説いた。

高低差が激しく、急カーブが連なる球磨川流域は、山が川に迫る狭窄(きょうさく)な地形が続く。堤防のかさ上げ、遊水地の確保など「ダムによらない治水」の難しさを、当初から国や県は認識していた。昨年、国が示した10のダム代替案の費用は2800億~1兆2千億円、工期は50年超。流域首長らの評価は「過大で非現実的」。この間の治水の空白が、流域の住民らの不信を招いた点は否めない。

蒲島氏は今回、早急に治水のビジョンを示し、できる施策から着手すると表明した。もう、遅れは許されない。着実な実行こそが、住民らの理解が欠かせない「流域治水」を進めることになる。

(丸野崇興)

西日本新聞

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