「菅総理の“強み”が“弱点”に」コロナ対策、東京五輪...橋下徹が語る「有事の際の政治手法」

「菅総理の“強み”が“弱点”に」コロナ対策、東京五輪...橋下徹が語る「有事の際の政治手法」

  • 文春オンライン
  • 更新日:2021/02/22

新型コロナ対策の迷走により、菅義偉内閣の支持率が低迷している。

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菅政権の誕生に大きな期待を寄せていた橋下徹・元大阪府知事は、この状況をどう見ているのか?

文藝春秋3月号において、橋下氏は菅総理の弱点とコロナ対策における鉄則について語った。

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橋下徹氏

「菅総理は、大体の“正解”が分かっている課題を処理するのが非常に得意な方です。例えば携帯電話料金の値下げについては、携帯事業会社以外は誰も反対しません。国民はみんな、携帯料金が下がったら嬉しい。行政のデジタル化に伴うハンコの廃止もそうです。ハンコの業者以外はみんな『あんな面倒な手続きはなくなればいい』と思っている。

このように理想や方向性が定まっていれば、あとはその実現に向けてスピーディーに取り組むのみ。抵抗する官僚勢力には睨みをきかせ、時には人事権を駆使して、多少強引にでも物事を動かしていく。それこそが菅総理の最大の強みでした。朝日新聞は批判していますが、僕自身はこの政治手法を非常に評価しています。これくらいのことをしないと、改革なんて永遠に実現しません。

菅総理はこの“基本戦術”をコロナ禍でも続けています。朝から晩まで様々な業界の人との会食を設け、個別に話を聞いて『いまの課題』を見つけていく。今年1月には東京慈恵会医科大学の大木隆生教授と面会し、『医療崩壊』についてアドバイスを受けたことが話題になりました。様々な人と会うことで、菅総理なりのコロナ対策の“正解”を見つけようとしているのだと思います。

しかし、この手法が通用するのはある程度正解の分かる、平時の政治においてのみです。コロナ禍のような有事の政治では、何が正解かが全くわからない。菅総理は『正解がある程度わかる』状況における戦術を、『正解が全く分からない』状況にも適用してしまっているのです。そのため、菅総理の“強み”が“弱点”になっています」

それでは正解が分からない際、どのような政治手法をとればいいのか。

「ルール設定」と「裁判方式」

橋下氏は、「ルール設定」と「裁判方式」の2つを挙げた。「ルール設定」とは、事前に可能な限りのルールや指標を決めておいて、それらに基づいて政治的判断をおこなうこと。「裁判方式」とは、1つのテーマについて賛成・反対派に分かれて徹底的に議論し、最後に裁判官役であるトップが裁定をくだすというものだ。

混迷を極める東京五輪についても、この手法を適用すべきだという。

「東京五輪開催の是非も、“正解”が分からない問題の1つです。正解が分からないテーマは、先に結論を決めてしまってはいけません。(中略)今決めるべきなのは、大会を『やる』か『やらない』かという結論ではない。まず判断時期を定めるべきです。準備期間を考えれば3月、遅くても4月でしょう。どういう状況なら開催し、どういう状況なら開催を諦めるのか、具体的な指標も決めなければなりません。

そして判断すべき時期が来たら『裁判方式』にのっとり、先に設定した開催可否の具体的指標に基づいて開催の賛成派・反対派に分かれて菅総理の面前で徹底的に議論を尽くしてもらう。その上で菅総理が決断を下すべきでしょう。オリンピックの開催くらい、ドンと構えて自分たちで判断・決断しなければなりませんよ。

僕が危惧する事態は、日本がズルズルと判断を先送りにする中で『この状況だとオリンピックなんて出来ないよね』という雰囲気が世界各国を覆ってしまう――その流れで“なし崩し的”に開催が中止になることです。これは考えうるなかでも最悪のシナリオですね。

先日、イギリスの有力紙『タイムズ』が『東京五輪が中止の方向で動いている』と報じて話題になりました。他国から先にこのような中止論が出て、日本側が慌てて火消しに走るのは、本当に情けない話です。

僕自身は憲法九条改正論者ですが、与野党含めて多くの国会議員は『自分の国は自分で守るんだ』とよく言います。ですが、自国のオリンピックをやる・やらない程度の問題も決められない政治家たちが、自分達の国を守れるわけがありませんよ」

橋下氏のインタビュー「菅総理よ、異論を聞く耳を持て」全文は、「文藝春秋」3月号及び「文藝春秋digital」に掲載されている。

(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2021年3月号)

「文藝春秋」編集部

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