青森県立中央病院、青森市民病院 統合提言にも結論見通せず 有識者「個別存続は困難」

青森県立中央病院、青森市民病院 統合提言にも結論見通せず 有識者「個別存続は困難」

  • Web東奥|東奥日報社
  • 更新日:2021/11/25
No image

県立中央病院(青森市)と青森市民病院の将来像について、医師や病院経営の専門家らでつくる協議会は、両病院を統合した新病院を新築し共同経営する方向性が最も望ましいと県、青森市に提言した。両病院に共通する慢性的な医療従事者不足に加え、県病は都道府県立病院として全国で最も古い建物の老朽化対策、市民病院は長年の赤字経営からの脱却と、それぞれが抱える課題の対応にも迫られている。協議会は、人口減少が進む中で、両病院が個別に存続する道は難しいと早い段階で一致。県と市に早期の協議を提言しているものの、両者は結論を出す時期を明らかにしていない。

協議は5月から11月まで半年間にわたって行われたが、提言の方向性は7月の2回目会合の段階で、既に固まっていた。

協議会の副委員長で、両病院に医師を派遣している弘前大学の福田眞作学長は7月の会合で「20年、30年後に医師不足が解消するかと言えば、無理だと考える。二つの病院に医師が潤沢に派遣されていくことは考えられない-という前提で議論を」と率直に語っていた。

県病は地域医療支援の一環で、県内6自治体病院への医師派遣などを行っている。ただ県病側は、医療従事者不足から「応援の要望や相談に対して、十分応えきれていない」と認める。麻酔科医不足などに伴い、県病の全身麻酔手術件数は同規模の全国61病院中ワースト2位(2019年度)。手術が1カ月、2カ月待ちになるケースもあるという。建物も築40年ほどが経過し、修繕費用は15~19年度で、年平均6億9200万円に上っている。

市民病院は、常勤医が確保できないことから、精神神経科を06年から、呼吸器内科を14年から休診している。加えて、夜勤看護師の不足や新型コロナウイルス感染症患者用の病床を確保するため、20年には一部病棟や病床を休止。許可病床数459床に対し、現在稼働できる病床数は364床にとどまる。休診の影響は経営面にも跳ね返り、市民病院は06年度から赤字が続いている。

両病院の機能存続・充実に向け、協議会の委員は医師や看護師を引きつける病院が地域に必要と強調してきた。国内で初めて県立と県庁所在地の市立病院が統合し、05年に開院した高知医療センター(高知市)の堀見忠司名誉院長は「医療は日進月歩で、特に若い医師は新しい機械があるところで働きたいと思うようになる。センター設立で、医師も患者も来てくれるようになった」と自身の経験を基に、統合新病院・共同経営の方向性を推した。

他の委員からも▽高額医療機器の重複投資を避ける▽既存施設の改修に比べ、最新医療設備の導入時の費用対効果が高い-などの観点から支持する意見が集まった。3~4回目の会合は、この案を前提に協議が進んだ。

今月12日、県と市に提言した協議会の邉見公雄委員長=全国自治体病院協議会名誉会長=は「地方の人口が減りマンパワーの確保が難しくなる中で、直線距離5キロのところにある二つの病院が同じことをする時代ではない。これからは、競争から共同の時代になる」と提言の趣旨を解説した。

▼場所や経営形態 焦点

有識者の協議会は県と青森市に、提言について具体的な内容を検討するよう求めている。県と市は、提言通りに県立中央病院や青森市民病院を統合した新病院の建築や共同経営を進めるかどうかも含め、本格的な協議へと踏み込むことになる。

新病院を整備する場合、焦点の一つとなるのが建設地。協議会は提言書で、災害時の診療体制に支障がない点や、圏域内外とのアクセスなど、場所選定の考え方を示すのみにとどめた。統合時の経営形態、具体的な病床数、新型コロナウイルスをはじめとする新興感染症対応も踏まえた病床機能なども、県と市による検討項目に挙げている。

救急医療体制の機能分担、医師会も含めた地元医療機関との連携など、病院整備にとどまらない圏域の医療提供体制への「宿題」も課された。

邉見公雄委員長は「地域には、県民や市民に選ばれた首長がいて、議会がある。われわれが全部決めてしまうことはできない」と、提言内容に幅を持たせた理由を説明する。

一般的に、新病院の整備は複数年の時間がかかる。提言書には「早期に協議を進めることを期待する」とある。ただ、県病院局の阿部善弘地域医療調整監は取材に「協議の結論を出す時期は明確に定めていない」と答える。小野寺晃彦青森市長は、12日に提言を受けた後、報道陣に「スピード感を持って議論する必要はあるが、結論をいつまでにと時期を申し上げるのは難しい」と述べた。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加