
一回、東北・金子が失策で出塁すると、ベンチは「ペッパーミル・パフォーマンス」で盛り上がった(撮影・林俊志)
第95回選抜高校野球大会第1日第1試合(東北1-3山梨学院、18日、甲子園)記念選抜大会の開幕試合が思わぬ〝WBC余波〟に見舞われた。
東北の一回の攻撃。金子和志内野手(3年)が敵失で出塁した際、塁上から自軍ベンチに向かってWBC日本代表で流行しているこしょうをひくポーズ「ペッパーミル・パフォーマンス」を披露したところ、佐藤洋(ひろし)監督(60)が一塁塁審から注意を受けた。
「これだけ(WBCで)日本中が盛り上がっているのに…。なんでこんなことで、子供たちが楽しんでいる野球を大人が止めるのか。もう少し自由に野球を楽しむということを考えてもらいたい。高校野球のスタイルをちょっと変えた方がいいんじゃないのかな、と思いましたね」
元巨人内野手で昨年8月に母校の監督に就任した指揮官は、強い口調で問題提起した。野球人口が減っていることを危惧する同監督は自らを「ヒロシさん」と呼ばせ、髪形の自由やノーサイン野球を打ち出して選手の自立と成長を促してきた。
佐藤響主将(3年)も「決して相手を侮辱するものではない。注意を受けて、少し嫌な雰囲気になった」と振り返ったが、敵失でのパフォーマンスだったことでSNS上でも賛否入り乱れての大論争に発展。日本高野連は「高校野球としては、不要なパフォーマンスやジェスチャーは、従来慎むようお願いしてきました。試合を楽しみたいという選手の気持ちは理解できますが、プレーで楽しんでほしいというのが当連盟の考え方です」と異例の声明を出すに至った。(東山貴実)