
あなたの人生に大きな影響を与えたモノ・コト・ヒトはなんですか?
―今回お答えいただいたのは、歌人、社会学者、〈mirari〉代表のカン・ハンナさん。
3つのエピソードをともにご紹介します。

1. 新たに生きる場所を決めた広島・宮島への旅。
40カ国以上を旅したけれど、日本は初めて来た気がしなかった。日本で初めて訪れたのは広島でしたが、嚴島神社を見て、1500年以上続く歴史が守られていることに感銘を受けました。流れる穏やかな時間、人、そして伝統を守る文化に興味を持ち、言葉も話せないし、知り合いもいなかったけど「私の新しい道は日本にある」と日本へ。
2. 31文字にこめる、国籍を超えた私らしさ。
新海誠監督の映画『言の葉の庭』を見ていたら、万葉集の一首を詠むシーンで、言葉の意味はわからないのに涙が出たんです。翌日には書店に行き、万葉集を購入。その後、幸運にも短歌の番組のレギュラーになり、短歌を詠むように。
日本語が母国語ではない私が詠んでいいのかとも思うけど、短歌の主語は自分。葛藤、悩みを隠さず詠むようになりました。
3. 取り繕わない、求めない。私を救った偉人の信条。
女性について多くの短歌を詠んできましたが、私は女性としてどう生きるかを考え、悩むことが多い。救ってくれたのはマザー・テレサの言葉。相手に求めるよりまずは相手を理解し、愛する。彼女の生き方は私の指針です。
カン・ハンナ 歌人、社会学者、〈mirari〉代表
韓国でキャスターやコラムニストなどを経て、2011年に来日。NHK Eテレ『NHK短歌』にレギュラー出演。2019年に歌集『まだまだです』(KADOKAWA)を上梓し、第21回「現代短歌新人賞」受賞。歌人としてだけでなく、社会学者やヴィーガンコスメブランド〈mirari〉の代表など、あらゆるジャンルで活躍中。
illustration : Miso Okada
Hanako 編集部