餃子の王将、客数減地獄→突然V字回復のワケ...「王将大学」設立が抜群の効果発揮

餃子の王将、客数減地獄→突然V字回復のワケ...「王将大学」設立が抜群の効果発揮

  • Business Journal
  • 更新日:2019/06/23
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客離れに苦しんでいた「餃子の王将」の王将フードサービスが、どん底から這い上がることに成功した。マイナスが続いていた直営既存店客数が2019年3月期は前期比2.1%増とプラスに転じたのだ。客単価も前期を上回り、売上高は2.3%増となっている。月別の売上高は、18年11月以外の11の月すべてで前年を上回ることに成功した。

19年3月期以前は、客離れが続いていた。客数は12年3月期から18年3月期まで7年連続で前年割れという状況だった。売上高は17年3月期まで6年連続でマイナスだ。このように王将は客離れに苦しんでいたわけだが、ここにきて客離れは止まり、ついに8年ぶりの前年超えを達成することに成功した。

客数が増加に転じたことで19年3月期の決算は堅調に推移した。連結売上高は前期比4.5%増の816億円、本業のもうけを示す連結営業利益は25.8%増の69億円だった。連結売上高は、既存店の客数が増加に転じて、先述の通り既存店売上高が前期比2.3%増と好調だったことが寄与した。連結営業利益は大幅増益となったが、増収効果のほか、主要食材の豚肉や鶏肉、キャベツなどの価格が低下して売上原価率が低下したことや、無駄な人件費や水道光熱費を削減して売上高販管費比率を下げることに成功した点も大きい。

だが、なぜ8年ぶりに客数がプラスに転じたのか。

餃子の王将は名前にある通り「餃子」を売りにした中華料理チェーンだ。1967年に京都・四条大宮で1号店をオープン。その後に出店を重ね、19年4月末時点で729の店舗を展開する。直営店が7割を占め515店、フランチャイズ店が3割で214店となっている。創業の地が京都ということもあり、店舗は近畿地方に多い。一方で近年は関東での出店を強化しており、首都圏での存在感が高まっている。

王将で提供する餃子は14年10月から主要食材の豚肉と小麦粉、キャベツ、ニラ、ニンニク、生姜を100%国産に切り替えた。なかでもニンニクと小麦粉は産地にまでこだわっている。越冬作物であるニンニクは青森県産、小麦粉は豊かな風味が特徴の北海道産としている。餃子に使われる国産食材のすべてを国内の自社工場で加工し、店舗に届けるまで一切冷凍せずに毎日店舗に配送している。こうしてできた餃子は、もちもちの皮とジューシーな餡(あん)が特徴で、人気を博している。

ニンニクが入っていない餃子を販売していることも、においを気にする消費者にとっては嬉しいポイントだ。「ニンニクのにおいが気になって食べられない」といった顧客の声を受け、16年5月から一部の店舗で「にんにくゼロ餃子」の販売を開始した。好評だったことから、取扱店を順次拡大してきた。

中華料理はできたてが格段においしい。そうしたこともあり、王将では調理のほとんどを、一部の店舗を除き、各店舗で行っている。

もっとも、餃子やラーメンの麺の製造など、一部の工程・調理は自社工場で行っている。餃子に関しては、かつては店舗で包んでいたが、店舗での作業軽減と料理提供時間の短縮を目的に、自社工場での実施に切り替えた。契機となったのが、16年2月に竣工し同年4月から本格稼働させた「東松山工場」(埼玉県東松山市)だ。全自動で餃子を製造するシステムを導入しており、同工場が稼働したことで工場での餃子製造が一気に拡大した。

このように、店舗での作業と工場での作業をうまく両立することで、料理のおいしさを保ちながら、省力化と生産性の向上を図っている。

●今期も増収増益を予想

王将は店舗運営において店長の裁量が大きいことが知られている。調理においても大きな裁量が認められており、そのため店によって味に違いが生じるが、それが逆に王将の魅力となっている。その違いを楽しむファンが少なくないのだ。また、メニューの品ぞろえの面でも大きな裁量が認められており、餃子など全店共通メニュー以外の品ぞろえは店によって異なる。そのため、王将は画一性を重視する一般的なチェーンとは一線を画しているといえるだろう。

王将は料理の大半を各店舗で調理するため、店舗従業員の調理技術の力が集客を大きく左右する。

そこで18年1月に、店舗従業員の調理技術の向上を目的とする「王将調理道場」を開設した。主力メニューの調理や主要食材の仕込みの方法などを、研修を通じて習得してもらい、料理のおいしさの向上を図ったのだ。

人材教育の面でいえば、17年7月の組織変更で新設した「王将大学」も見逃せない。店舗のマネジメント力を向上させるための研修を実施する機関で、それまで外部に委託していたのを内製化したのだ。王将大学に店長を招集し、店舗経営に必要なスキルの習得を図っている。

こういった従業員教育は、店舗の「QSC」を大きく左右する。QSCとは、飲食店の運営において重要とされる「品質」「サービス」「清潔さ」のこと。これが徹底できないと集客は実現できない。

王将は近年QSCを重視し、改善を図ってきた。その実現を後押ししたのが王将調理道場と王将大学だ。王将調理道場はQSCの品質に影響を与え、王将大学は3つすべてに影響を与える。王将によると、こういった施策によりQSCが高まり、それが顧客に評価され、リピート客が増えたという。

王将調理道場と王将大学は生産性の向上にも貢献している。調理方法を見直して無駄をなくしたほか、王将大学の指導に基づいたシフト管理を徹底したことで店舗運営の効率化が実現したという。こうしたことが功を奏し、先述の通り、19年3月期の売上原価率と販管費比率を前期から改善させることに成功した。

生産性の向上は集客にもつながっている。生産性の向上により価格を据え置くことができたためだ。近年は原材料費や人件費といったコストの上昇で値上げに踏み切る飲食店が少なくない。中華料理業界では近年、「日高屋」「リンガーハット」が値上げを実施している。このように競合で値上げに踏み切るところが続出しているため、王将の価格競争力が相対的に高まっている側面もある。

19年3月期はこうしたことに加え、創業50周年を記念したメニューやキャンペーンが寄与した。記念メニューは、18年12月まで毎月販売していた。この記念メニューとキャンペーンは好評だったという。

これらの施策が奏功し、王将は客足が回復した。この勢いを借りて、20年3月期も増収増益を見込む。売上高は前期比4.0%増の849億円、営業利益は3.0%増の71億円と予測している。はたして増収増益を達成できるのか、そして客足の回復は本物なのか。今後を注視したい。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

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