「あらゆるドラッグに浸ってた」ストーンズ・メンバーが告白

「あらゆるドラッグに浸ってた」ストーンズ・メンバーが告白

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  • 更新日:2017/10/13
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圧倒的な存在感を示すストーンズのステージ。ミック・ジャガー(左)とキース・リチャーズ

ザ・ローリング・ストーンズが名盤『スティッキー・フィンガーズ』の全曲をライヴで再現!なんて話を聞けば、いてもたってもいられない。

【枯れた味わいも魅力なミックの写真はこちら】

1971年発表の『スティッキー・フィンガーズ』は、『ベガーズ・バンケット』(68年)、『レット・イット・ブリード』(69年)、『メイン・ストリートのならず者』(72年)と共に、今に至っても絶大な評価を得ている傑作アルバムの一つだ。

再現公演は2015年5月20日、米ロサンゼルスのハリウッド大通りの中心部に位置するフォンダ・シアターであった。1926年開館の由緒ある劇場だ。当夜の公演の映像作品『スティッキー・フィンガーズ~ライヴ・アット・ザ・フォンダ・シアター2015』がこのほど、発売された。

数万人が入るスタジアムやアリーナと違い、同シアターの収容人員は1千人程度。ストーンズがツアーの前に小規模会場でウォーム・アップ・ギグをするのは恒例になっている。今回も、北米ツアーを控えてのギグだったが、『スティッキー・フィンガーズ』の全曲再現という特別な趣向で実施された。

ストーンズのライヴを収録した映像作品は何本もあるが、本作では、小劇場ならではの迫力ある臨場感に圧倒される。それこそ最大の見どころだ。映像だけでなく、音響の素晴らしさも見逃せない。

幕開けは「スタート・ミー・アップ」。細身のパンツ姿のミック・ジャガーは、股間もっこり、体くねくね。盛んにステージを行き来して観客をあおる。キース・リチャーズはお得意のポージングで余裕しゃくしゃく。ロン・ウッドもソロ・パートでステージ前にせり出し、パンチの利いたワイルドな演奏を披露する。

いきなりこれを見せられては興奮を覚えずにはいられない。会場を埋めた観客同様、自然と歌を口ずさんでしまうほどだ。

『スティッキー・フィンガーズ』の再現ライヴといっても、当夜はアルバムの曲順通りではなく、他のアルバムの曲も演奏された。本作では「スタート・ミー・アップ」に続く2曲を不自然なく省き、「スウェイ」から再現ライヴが始まる。

途中で画面がモノクロになり、インタビュー映像が挿入される。ミックがアルバム制作の背景を語り、キースは当時を振り返って「成長期だった! いろんな音楽を聴き、違う人とセッションをし、経験を積んだ時代だった。それが反映されて成熟したアルバムになった」と述懐する。

アルバム発表時に注目を集めたジッパー付きのジャケットにも話題が及び、封入されたブリーフ姿のモデルが誰だったのかというエピソードなども面白い。

他にも随所で挿入されるインタビューは本作の見どころにもなっている。キースが、かつて本コラムでも紹介したサックス奏者ボビー・キーズの思い出を語るシーンは泣かせる。

ライヴに話を戻そう。

ミックが生ギターを手にして歌う「デッド・フラワーズ」は、曲調もミックの歌唱もカントリー・テイスト。ロン・ウッドの演奏が流麗で丹念だ。次いでミックが“カントリー調が続くよ!”と歌う「ワイルド・ホース」は、サザン・ソウル的な趣。キースが「ミックと書いた自慢の曲!」と誇らしげに語っている。

『スティッキー・フィンガーズ』は、「ブラウン・シュガー」をはじめ強力なロック・ナンバーが目立つ一方で、暗い作品も存在感を示している。代表的な曲が「シスター・モーフィン」。本作では、その演奏の前にミックが“アルバムには60年代っぽいドラッグの隠語が満載!”と言い、キースが“アルバムの制作中、ありとあらゆるドラッグに浸ってた!”と白状する。

その「シスター・モーフィン」のミックの歌は、曲そのままに不気味だ。その形相やアクションなど芝居がかった入魂の歌いぶりは実に奇っ怪で、あっけにとられる。同時に、ロン・ウッドの絶妙なスライド・ギターの手腕に目をみはる。素晴らしい演奏だ。

キースがスライドによる12弦ギターを演奏するフォーク・ブルース調の「ユー・ガッタ・ムーヴ」は、渋く、枯れた味わいを醸し出す。年輪のなせる業だ。

豪快なロック・ナンバーの「ビッチ」で盛り上げた後は、「キャント・ユー・ヒア・ミー・ノッキング」。

アルバム制作時はロン・ウッドでなく、ミック・テイラーが弾いていた。当時はメンバーでなかったロンが、今回のライヴやツアーでは“ミック・テイラーの演奏を継承する”と語りながら、個性をむき出しにしているのはご愛嬌。亡きボビー・キーズの跡を埋めるカール・デンソンのサックスとの掛け合いの妙、ラテン・ジャズ的展開などは見ごたえがある。

ストーンズ作品の中では最もスローな曲で、チャーリー・ワッツもテンポをとるのが難しいと語るソウル・バラードの「アイ・ガット・ザ・ブルース」では、ミックの狂おしくソウルフルな熱唱に聞きほれる。

『スティッキー・フィンガーズ』パートの締めくくりはもちろん、「ブラウン・シュガー」。余裕たっぷり、快調に素っ飛ばしていく文句なしの歌、演奏に、大いに盛り上がる。最後の観客との掛け合いも楽しく、場に居合わせているような興奮を覚える。

アンコールでは亡きB・B・キングに捧げた「ロック・ミー・ベイビー」、そして「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」。ボーナス・トラックとして収録されたオーティス・レディングに敬愛を込めた「アイ・キャント・ターン・ユー・ルーズ」のカヴァーも聴きものだ。

本作は、最高のロックンロール・バンドとして君臨してきたストーンズの成熟した魅力、枯れた味わいをありのままに見せる一方で、今の時代を生きる柔軟性をも伝えている。ミックやキースをはじめ、ストーンズの圧倒的な存在感にうちのめされる。(音楽評論家・小倉エージ)

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