田中正義に最大7球団? ドラフトは競合か、単独か、どっちがお得?

田中正義に最大7球団? ドラフトは競合か、単独か、どっちがお得?

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  • 更新日:2016/10/20
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最大6球団が競合? 創価大の田中正義がドラフトの焦点だ。(写真・徳吉刑事)

プロ野球のドラフト会議が明日20日、午後5時より都内のホテルで行われるが、前日の19日は、各球団が会場のホテルに入り、一斉にスカウト会議を行い、戦略を練った。1位指名候補にリストアップされているのは、「大学ビッグ3」と呼ばれている創価大の田中正義、桜美林大の佐々木千隼、明治大の柳裕也と、「高校ビッグ4」の履正社、寺島成輝投手、作新学院の今井達也投手、花咲徳栄の大型左腕、高橋昴也、横浜の藤平尚真、社会人からは、瀬戸内高時代にダルビッシュがスライダーを絶賛した東京ガスの山岡泰輔の計8人。さらに注目されているのは、この8人のうち、誰が何球団の競合になるのか、という点だ。

田中が、昨年のプロアマ交流戦でプロから7連続三振を奪った際には、過去最多の8球団競合のドラフト記録を塗り替えるのではないか? と予想されていたが、春に肩を痛めたことで雲行きは変わった。高校時代にも痛めた故障歴があり、ルーズショルダー疑惑も生まれて評価が別れたが、今秋のリーグ戦では125球の完投で最速154キロをマーク、不安を一蹴したことで、17日にロッテが1位指名を公表、続けて、前日に巨人、広島も、田中の1位指名を公表した。

田中に関しては、なお直前まで各球団がそろって、その動きに目を凝らしているのが日ハムの動向。過去に小谷野栄一(現オリックス)、八木智哉(現中日)ら創価大出身者を数多く指名してきてつながりが深い。春に田中が肩を痛めて以降も、スカウトが練習場に定期的に足を運び、リハビリ課程のブルペンまで視察している。だが、秋季リーグに入って田中が実戦復帰すると、ピタっと現場に日ハムのスカウトが顔を出さなくなった。「あきらめた」「もう完治の情報をつかんでいるので陽動作戦であえて来ていない」などの憶測が飛んでいたが、「日ハムの動きを見ていれば、田中の肩の本当の状態はわかる」というのが、各球団スカウトの一致した見解だ。

田中指名が、ほぼ確実なのが、その日ハムと、すでに1位指名を公表したロッテ、巨人、広島の4球団。加えて、楽天、ソフトバンク、横浜DeNAの3球団にも可能性がある。最大7球団。その一方で、53回連続無失点の安定感を見せる最速153キロの佐々木や、落差のあるカーブが武器の本格派、柳、高校生ながら、どの球団も補強ポイントの命題としている大型左腕の寺島、甲子園V投手の今井らの特Aクラスが出てきたことで、“田中一人かぶり”の競合を避けて、バラける可能性も捨てきれない。

各球団は、ギリギリまで情報戦を繰り広げるが、横浜DeNA、ソフトバンクの動きは微妙で、いざふたを開ければ田中の入札は、4、5球団に減って、佐々木、寺島に2、3球団の少数競合が増えるのかもしれない。

では、競合覚悟の入札か、単独指名を狙ったの1本釣りか? どちらが戦略として有効なのだろうか。

ここ数年の例を見ても、4球団が競合した2006年の楽天、田中将大(現ヤンキース)や、同じく4球団が入札した2007年の日ハム、中田翔、2014年の有原航平、2012年に4球団競合の阪神、藤浪晋太郎など、競合覚悟で1位指名して引き当てた場合、大きなプラス戦力として、その後チームの中核をなす存在となっている。 マー君を外した年の横浜DeNAの山口俊、オリックスのT-岡田、日ハムの陽岱鋼のケースのように、“外れ1位”でも成功するドラフトもあるが、中田翔を外した阪神の高濱卓也(ロッテへFAの人的補償で移籍)、オリックスの丹羽将弥(1軍出場がないまま引退)のようなリスクも伴う。

“外れ1位”に周到な用意がない場合は、競合を避けて、あえて単独指名を狙う戦略もありだろう。

30年以上スカウトの修羅場を踏んできた元ヤクルトの名スカウト、片岡宏雄氏に聞くと、「競合か、単独かは、チーム順位、置かれた状況にもよるだろう。優勝したチーム、或いは、投手に困っていないという余裕のあるチームは、競合覚悟で勝負ができる。地元のつながりなど、指名しなければならないという状況もある。逆に競合で敗れたら困るんだというほど、ピッチャー事情が切迫しているチームは、単独指名で確実に補強に乗り出す必要もある。今年のヤクルトやオリックスなどは、その戦略で、即戦力を抑えておきたいのが筋ではないだろうか。
ただ、競合した選手が100パーセント成功するかと言えばそうでもなく、競合が得か、単独が得かに答えはない。今年みたいなドラフトでは、スカウトの好み、見る目が問われることになると思う。
余裕のあるチームは、競合を避けて、高校生の1本釣りを狙うこともできる。今ドラフトでの私のイチオシは作新学院の今井だが、今井の1本釣りなんて、実は狙いどころかもしれない」と言う。

ちなみに過去のドラフトで最多競合は、1989年の野茂英雄と、1990年の小池秀朗の8球団。野茂には近鉄、オリックス、日ハム、ダイエー(現ソフトバンク)、ロッテ、阪神、大洋(現横浜DeNA)、ヤクルトが入札して近鉄がゲット。小池には、ロッテ、日ハム、近鉄、西武、阪神、ヤクルト、中日、広島が入札してロッテがくじを当てたが入団は拒否された。次に1995年の福留孝介の7球団と続く。このときも近鉄の佐々木恭介監督が引き当てたが、福留は入団を拒否、日本生命へ進んでいる。

目玉の田中が、その最多競合記録を更新するのかどうか。いよいよ注目のドラフトが始まる。

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