【高校野球】「最初はマウンドに立つのが怖かった」 大阪桐蔭新エースを襲う「1」の重圧

【高校野球】「最初はマウンドに立つのが怖かった」 大阪桐蔭新エースを襲う「1」の重圧

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  • 更新日:2017/12/07
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大阪桐蔭・柿木【写真:沢井史】

活躍した夏の甲子園から一転、今秋苦しんだ大阪桐蔭の柿木蓮

遡ること約3か月。夏の甲子園の3回戦・仙台育英戦で甲子園初先発のマウンドに立った柿木蓮は、強い輝きを放っていた。最速147キロをマークした威力あるストレートで打者をねじ伏せる姿に「大阪桐蔭にはこんな2年生もいたのか」と、思った人も多かったはずだ。最後は劇的なサヨナラ負けを喫したが、柿木の残した印象はあまりにも鮮烈だった。

エースの証、背番号1をつけて迎えた今秋。秋季大阪大会2回戦・星翔戦で立った先発マウンドには、ボールが上ずり制球に苦しむ柿木の姿があった。

「調子が悪いという訳ではなかったのですが、背番号1をつけて気負いすぎていたかもしれません。1番という番号に負けていたというか……。今まで自分の中の感覚で抑えられていたのに、この秋からはそれが出来なくなっていたんです。力んだら球は抜けるし、力を抜いて投げれば公立高校の打者にでも簡単に(外野に)持っていかれるし……。

練習が終わってからもシャドウを結構やってはいたんですけれど、特に効果がなくて。最初の頃はマウンドに立つのが怖かったですね。今までにない経験だったので、どうすればいいのか分からなかったんです」

今夏の大阪大会では背番号16をつけ、エースの徳山壮磨に次ぐ投手としてマウンドに立った。新チーム結成後は、夏の大会で調子が上がらなかった同学年の大型左腕・横川凱が練習試合でたびたび好結果を残し、投打の柱でもある根尾昂とマウンドを分け合っていた。

一方で、背番号1をつけた柿木が見せるマウンドでの立ち姿は、どこか寂しげだった。試合を重ねるごとに調子を上げていくはずが思うようにいかず、大会日程だけが進んでいった。

感覚取り戻す転機、“11だったらこうも気楽に投げられるのか”

そんな中、感覚を取り戻すきっかけとなったのが愛媛国体だった。準決勝で、今夏の甲子園で全国制覇を果たした花咲徳栄と対戦。同じ2年生の主砲・野村佑希に抜けたフォークを外野に運ばれたが、好打者の西川愛也(西武2位指名)にはヒットを許さなかった。

「(投手コーチの)石田先生からは“攻める気持ちで投げてみろ”と言われていました。国体は夏までの背番号11だったんですけど、その時にふと考えたのが、“11だったらこうも気楽に投げられるのか”と。1番はゲームを作らないといけない、勝たないといけない、という気持ちが強かったけれど、冷静に考えれば、国体でアドバイスを受けたように緩急をもっと上手く使えば抑えられる。そこから大阪に戻って(決勝の)履正社戦では自分の感覚を少しずつ取り戻せるようになりました」

大阪大会決勝の履正社戦は2点を失うも、要所を締めて完投勝ち。そして近畿大会・決勝戦では、智弁和歌山を7安打されながらも完封するなど、ポイントとなる試合では期待に応える結果を残した。ようやく自分らしさを見いだせたかと思ったが、先発した神宮大会の準優勝・創成館戦では、3回に連打を浴びるなどして4点を失って降板。ミスも重なって4-7で敗れた。

「近畿大会までの試合はごまかして勝ってきたというか、勝たせてもらった試合もありました。相手のミスにつけ込んで大量得点に繋げられたし、自分たちがミスをしても誰かがカバーできていました。でも、創成館の試合はコーチに試合前に注意されていた通りのミスが出て、負けるべくして負けた試合でした」

追いかける先発・徳山の背中「今度は自分が後輩に見られる立場」

神宮、センバツ、夏の甲子園、国体と“4冠”の期待も高かったが、この敗戦を冷静に受け止めた。何より大事なのはこれからだ。年が明ければ、年内まで共にグラウンドで汗を流し、今までアドバイスを請うてきた徳山の姿はもうない。今度は自分がチームを引っ張り、“真のエース”とならなくてはならない。

「自分が徳山さんを見てきたように、今度は自分が後輩に見られる立場。周りからも普段の姿から認めてもらえるようなピッチャーにならないと」

年末には大阪選抜チームの一員として台湾遠征も控えている。毎月のように公式戦をこなしてきた秋は、マウンドに立ちながらもがき続けたが、この経験は絶対に無駄にしない。

「この秋は求められるものが大きかったのに結果を出せませんでした。無敗でいこう、というのも1つの目標だったのに、自分が壊してしまって。でも、反対に言えば、悪いことを経験できた秋でもありました。全体的にレベルアップしないと先はないと思いますが、誰よりも練習したと思えるほど冬は追い込みます。最後に負けた悔しさをもってやっていかないといけないし、1番にふさわしい結果を残せるピッチャーになりたいです。いや、なります」

昨冬以降、急成長した徳山のように、柿木もその背中を追いかけられるか。真価が問われる冬に向け、その目には新たな決意がみなぎっていた。

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