恋愛中毒:人妻が恋に堕ちれば、世間を敵に回す。狂気に満ちた独身女との修羅場

恋愛中毒:人妻が恋に堕ちれば、世間を敵に回す。狂気に満ちた独身女との修羅場

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  • 更新日:2017/09/22

人妻が恋するのは、罪なのか。

裕福で安定した生活を手に入れ、良き夫に恵まれ、幸せな妻であるはずだった菜月。

結婚後に出会った彼は、運命の男か、それとも...?

身も蓋もない、無謀で純粋な恋に堕ちてしまった女は、美しく、ひたむきに、強かに、そして醜く成長していく。

人妻の菜月は、独身のフリをして参加した食事会で、独身の達也と出会い恋に堕ちてしまう。しかし、それを知った達也の恋人・あゆみは、菜月の職場に乗り込んで来た

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「皆さん、今日のご体調はいかがでしょうか...」

菜月は無理矢理に笑顔を作り、声が震えそうになるのを必死で耐える。

達也の恋人に真正面から鋭く見据えられながら、無情にもヨガのレッスンを始めなくてはならなくなったのだ。

「まず、優しく瞼を閉じて、鼻からゆっくりと息を吸い込んで...」

首筋や背中、脇のあたりには、すでにじっとりと嫌な汗が伝っている。

「次に口から、大きく息を吐きましょう。身体の中に溜まった疲れや力みを、呼吸と一緒に吐き出して...」

そんな言葉とは裏腹に、菜月の呼吸は荒い。

一体、今、自分はどんな顔をしているだろうか。スタジオ全面に貼られた鏡を見るのも恐ろしく、目を閉じたまま、生徒の様子を確認することもできない。

「ご自分のペースで呼吸を繰り返し、身体の内側に自然に意識を向けていきましょう...」

シンと静まり返った薄暗いスタジオの中で、生徒たちの呼吸音が、ヒーリングミュージックと共にゆったりと響いている。

そして、こわごわと目を開けた瞬間、菜月は思わず小さく悲鳴を漏らした。

目の前の女は、大きく目を見開き、敵意を微塵も隠そうとせず、じっとこちらを見つめていたのだ。

その真っ黒な瞳が、ゆっくりとおもむろに動く。

彼女の視線の先にあるものに気づき、菜月はさらに恐怖に包まれた。

女は、菜月の左薬指に光る、結婚指輪を凝視していた。

達也を盗られたあゆみが、ついに修羅場を繰り広げる...!

人妻と独身女の、醜い修羅場

ヨガスタジオで起きたのは、紛れもなく、醜い修羅場だった。

菜月は達也の恋人の正面で、まるで拷問のような60分のレッスンを続けた。

彼女は1ミリも視線を逸らすことなく、ただ無言で菜月を攻撃した。恐怖と動揺で、気が狂うかと思ったほどだ。

そしてレッスンが終わると、彼女はさらなる行動に出た。

「あの、先生は結婚してるんですよね?どうして、私の婚約者に手を出したんですか?」

女の、よく通る高い声がスタジオ中に響いたとき、菜月は全身の血の気が引いた。

「先生?答えてください。私の彼と、旅行まで行ったんですよね?周囲の人間がどれだけ傷つくか、分かってるんですか?」

自分の世界が、ガラガラと音を立てて崩れていくような気がした。

口の中がからからに乾き、ヨガで温まった身体から、みるみる体温が奪われていく。

「既婚者のあなたが独身男性を誘惑するなんて、ただの暇つぶし?それとも快楽目当てですか?みっともないと思わないんですか?!」

彼女は言葉を発するほどに、どんどんいきり立って興奮していくように見えた。スタジオの中が、次第にざわついていく。

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―ちがう、ちがう、ちがうの...、そんなんじゃない...!

彼女の言うことは、あまりに事実とかけ離れている。達也と自分は、ただ淫らな関係に溺れているわけではない。

それは誤解だと心の中で否定を繰り返すも、口に出すことは当然できない。

「私、絶対に許しませんから。もう二度と、達也とは会わないで!」

ついに大声を張り上げた彼女を、騒ぎに気づいた他のスタッフが仲介に入りなだめる。しかし彼女は、最後まで菜月を睨みつけ、憎悪をぶつけることをやめなかった。

レッスンを受けに来てくれた他の生徒たちも、不信感や好奇心を丸出しで菜月たちを傍観しており、その視線はひどく胸に痛かった。

公の場で丸裸にされてしまったような羞恥心と困惑で、菜月は自分がどのような反応をしていたのか、よく覚えていない。

しかしふと我に返ったのは、何も知らない親友の美加が、驚きと悲しみの混じったような顔で、切実に菜月を見つめていたからだった。

暴かれた達也との関係。菜月は世間を敵に回してしまう...?

人妻が恋に堕ちれば、世間を敵に回す

「...なっちゃん、どういうことなの?」

美加は静かに菜月に問う。

いつもニコニコと底抜けに明るい親友の顔は、不信に歪んでいる。ここまでどう辿り着いたのか記憶は曖昧だが、美加と菜月は『カフェ・デ・プレ』に移動していた。

広尾駅からすぐ、パリの街角を思わせるフレンチスタイルの落ち着いたこのカフェは居心地も良く、コーヒーも軽食もデザートも絶品で、二人のお気に入りだった。

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「ねぇ、まさか本当に達也と...?」

彼女の問いに答えようにも、菜月はもう、身体の震えが止まらず、とにかく言葉が見つからない。

謝罪をすればいいのか、反省を述べればいいのか、それとも、すべて洗いざらい話すべきか。

「信じられない...。宗一さんも達也も、私の友だちなんだよ?」

夫を紹介してくれたのは、美加だった。ほとんど涙声になった彼女の声は、非難に満ちている。

「私があのとき、食事会に連れて行ったせいなの?でも、なっちゃんが、そんなことするなんて...」

―ちがう、ちがう...。

菜月は心の中で、またしても否定を唱える。

もちろん、美加や夫に悪いことをしているのは分かっている。

達也の恋人の言ったことは、表面的に一部事実ではあるが、しかし自分と達也は、遊びなどの関係ではない。ただ、本気で恋に堕ちてしまっただけなのだ。

そのことを、長年の親友である美加にだけは分かって欲しかった。

「美加、本当にごめんなさい。でも、ちがうの。誤解しないで...!」

菜月がやっと口火を切ると、美加は潤んだ瞳を揺らし、控えめにこちらを見つめた。

「私...ただ、達也くんが好きなの...」

正直な気持ちを、思い切って精一杯に告げたつもりだった。しかしその告白は、自分でも驚くほど、空々しく宙に浮いた。

「ちょっと...自分が何を言ってるか、分かってるの?!本当に、どうかしてるんじゃないの?!」

美加はそう言うと、乱暴に席を立った。

自分と環境も年齢もそう変わらぬ女たちに、1日に二度も、敵意と軽蔑を向けられてしまった。

菜月はショックで、この目の前の悲惨な光景を、もはや他人事のように呆然と眺めることしかできない。

そして、足早に去っていく親友の後ろ姿を見送りながら、ようやく気づいた。

自分の身に起きたこの出来事を、わざとでなく、ましてや悪意など一切なく、ただ純粋に恋をしていることを、正確に伝える術なんてない。

日々雑誌やテレビで面白おかしく流れる不倫報道を見ていれば、そんなことは火を見るより明らかだった。

人妻が恋に堕ちれば、世間を敵に回す。

どうして、自分たちだけは特別で、浅はかな不貞行為とは違うだなんて思ったのだろうか。

どんなに純愛を掲げようとも、他人にそれを理解してもらおう、正直に話せば分かってもらえるなんて、甘過ぎたのだ。

一度知ってしまった恋。しかしそれは、まるで中毒のように、簡単には抜けない。

菜月はそれを、嫌と言うほど思い知ることになる。

▶NEXT:9月23日 土曜更新予定
歯止めがかかると思われた二人の関係。しかし、さらにエスカレートしていく...?!

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