広島菊池に続け...「小兵選手」が球界の常識を覆す!

広島菊池に続け...「小兵選手」が球界の常識を覆す!

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  • 更新日:2017/12/05
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ホームランを放つ広島・菊池 (c)朝日新聞社

球団創設56年目にして初のワールドチャンピオンに輝いたヒューストン・アストロズ。その中心として見事な活躍を見せたのがシーズンのMVPも受賞したホセ・アルトゥーベだ。170cmに満たない身長ながら過去4年間で3度の首位打者に輝き、また超人的なセカンドの守備力は世界一とも言われている。アルトゥーベの凄さは小柄でありながらも2年続けて24本塁打をマークしているように長打力も兼ね備えているところだ。そういう意味でこれまでの小兵選手の常識を覆していると言えるが、そのような波は日本球界にも押し寄せている。そこで今回は小柄ながら見事なパフォーマンスを見せている日本人選手を紹介したい。

アルトゥーベとの比較という意味では最も近いタイプの選手が菊池涼介(広島・171cm)であることは間違いないだろう。“忍者”と称されるセカンドの守備は天下一品であり、歴代補殺数の上位3位までを菊池が占めていることからもその守備範囲の広さが驚異的であることがよく分かるだろう。守備だけでなくパンチ力のあるバッティングも共通点だ。2番という制約が多い打順で3年連続リーグトップの犠打数を記録していながらもレギュラーに定着してからの5シーズンで4度二桁ホームランを記録している。状況によってバッティングを変えることができ、長打がほしい場面では狙い球を絞ってフルスイングできるのも菊池の大きな魅力である。今シーズンはWBCの影響でコンディションが万全ではなかったが、それでも優勝への貢献度の高さはチーム屈指であったことは間違いない。

今年最もブレイクした小兵選手では甲斐拓也(ソフトバンク・170cm)の名前が挙がる。高校時代は全国的には無名で、育成ドラフト6位での入団だったが着々と力をつけて3年目のオフに支配下登録。過去3年間は二軍暮らしが大半だったが、今年はプロ入り初のスタメンマスクから一気に正捕手の座をつかみベストナイン、ゴールデングラブ賞をダブル受賞する見事な活躍を見せた。ちなみに育成契約出身の選手がベストナインを受賞するのは史上初の快挙である。甲斐の持ち味はなんといってもその強肩。2.0秒を切れば強肩と言われるセカンド送球のタイムにおいてコンスタントに1.7秒台前半をマークしており、間違いなく12球団でもトップのスローイング能力を持っている。バッティングも課題は少なくないが、バットを短く持ちながらも強く振り切ることができており、意外なパンチ力を持ち合わせている。長年正捕手不在に苦しんでいたソフトバンクにとっては、まさに救世主と呼べる存在と言えるだろう。

今年飛躍した小兵選手で忘れてはならないのが茂木栄五郎(楽天・171cm)だ。開幕から1番、ショートに定着すると本塁打を量産し5月には早くも二桁の10本に到達。6月に右ひじを痛めてオールスター出場は辞退したものの後半戦は復帰し、リーグ3位の高打率と17本塁打をマークした。17本塁打中8本が初球をとらえたものであり、積極的なバッティングと長打力が持ち味。スイングのバランスが良くきれいにヘッドが走るため、広角に鋭い打球を放つことができ、センターから左方向へも7本塁打を放っている。オフには右ひじのクリーニング手術を受けたが、1年間コンディションを維持することができればトリプルスリーも狙えるだけのポテンシャルを秘めている選手である。

小兵で長打力がある選手では吉田正尚(オリックス・173cm)が筆頭となるだろう。過去2年間はともにシーズンの半分程度の出場数ながら連続で二桁本塁打をマークしている。そして何よりも吉田の凄さはそのフルスイングと打球の弾道である。打った瞬間にホームランと分かる打球が多く、呼び込んで鋭く腰を回転させてとらえるスタイルはメジャーの選手を彷彿とさせる。ただフルスイングしているだけでなく、ボールを長く見られるため確実性も低くなく、今年は規定打席未満ながら3割を超える高打率をマークした。吉田の課題はとにかくコンディショニングに尽きる。激しいフルスイングが腰に与える影響は大きく、過去2年間の離脱はいずれも腰の故障によるものであり、先月行われたアジアチャンピオンシップの日本代表も故障の影響で辞退している。このオフには完治を目指して手術を行った。シーズンを通じてのフルスイングが可能になった時は、ホームラン王の有力候補になることは間違いない。

投手では高校時代からライバル関係にある田口麗斗(巨人・171cm)と山岡泰輔(オリックス・172cm)がローテーション入りを果たして大活躍を見せたが、ともに強気に内角を突くピッチングが持ち味である。特に山岡は150kmを超えることも珍しくなく、完全な本格派と言えるピッチャーである。二人ともチームだけでなく、今後はリーグを代表する投手に成長する可能性は十分にあるだろう。

かつての小兵選手と言えば守備や足に特長があるいぶし銀タイプの選手が多かったが、ここ数年活躍している選手は長打力も備えているケースが少なくない。また投手でも本格派の小兵選手が増えている。そしてその波はアマチュア球界にも確実に押し寄せている。先日のドラフト会議でも東克樹(DeNA1位・170cm)、田浦文丸(ソフトバンク5位・170cm)、山本拓実(中日6位・167cm)などの小兵投手が指名されたが、いずれもスピード豊かな投手ばかりである。またプロ志望届は提出しなかったものの、植田拓(盛岡大付・165cm)がそのフルスイングで甲子園で3季連続ホームランを放って見せた。トレーニング法や技術指導が進んできたこともあって、上背がなくてもそれを補えるようになっていることは間違いないだろう。これからも球界の常識を覆すような小兵選手の登場に期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール

西尾典文

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。

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