
卒業アルバムにうつった青木容疑者
長野県中野市で警察官含む男女4人が殺害された事件。警察は5月26日、青木政憲容疑者(31)を警察官1人に対する殺人容疑で逮捕した。青木容疑者は25日午後4時半頃、女性をナイフで刺し、通報を受けて駆けつけた警察官に向けて散弾銃を発砲した後、付近の住宅に母親や親族の女性を人質にとって立てこもっていたが、事件発生から約12時間後に自ら投降し、身柄を確保されたという。
【写真】容疑者の父、高校時代の青木容疑者、ジェラート店の様子ほか
地元の猟友会に所属していた青木容疑者は、中野市市議会の議長(5月26日に議員辞職)である青木正道氏(57)の長男で、立てこもっていたのは父の自宅だった。青木家は地元でも有名な一族だったという。
「市内で13代続く果樹園『マサノリ園』を所有し、そこで採れたフルーツを使ったジェラート店も手掛けています。ジェラート店は軽井沢店に加え、昨年夏には中野市に2店舗目をオープン。ミルクを使わず果実そのままの味が楽しめるのが売りで、ネット上の口コミでも『人生で一番おいしいジェラート』や『ジェラートの概念を覆す』と絶賛されていました。
シングルで500円と高めの価格帯ですが、軽井沢で行列ができるほど繁盛していました。Instagramでも人気の“映える”ジェラート店です」(社会部記者)
青木容疑者の母親も、地元では知られた存在だった。
「母親は自宅のそばでフラワーアレンジメント教室を開いているほか、地元の施設で開催されたフルーツカッティング教室やしめ縄教室などにも講師として参加していました。ながの東急百貨店で作品展を開いたこともあります」(前出・社会部記者)
「ご長男は口数が少なかった」
青木容疑者も「マサノリ園」で農業に携わっていた。地元住民が語る。
「たしか20歳くらいのときにご長男も本格的に家業に加わったのかな。軽トラに父親を乗せて農道を走るところを見かけたよ。お母さんがフルーツカッティングの資格を取ったのも、『華やかな盛り付けで果物をアピールすれば、農業を始めた息子の助けになるかも』と考えたかららしい。
両親ともに地元の名士だけど、ご長男は大人しくて口数が少なかった。あまり周囲とコミュニケーションを取ろうとしないというか、会話のキャッチボールが成り立たない人という印象だったね」
一方で、別の地元住民によると、青木家の家族仲に違和感を持つような出来事があったという。
「3年ほど前に妹の結婚を祝うパーティーが自宅で開かれ、親戚が15人ほど集まりました。お母さんが料理を振る舞い、夫の青木氏も客をもてなしていましたが、なぜか長男の姿が見えず……。たまたま体の具合が悪かったり、パーティーが苦手だったのかもしれませんが、『あれっ?』と感じました」
中野市のベテラン市議は今回の事件を受けて、NEWSポストセブンの取材にこう語った。
「農業が主体で事件もほとんど起こらない小さな町です。私もずっとテレビで事件を見ていましたが、これだけ大事になれば、息子さんが起こした事件ですけど、家庭に問題がなかったか、進退も含めて父親の青木議員がどう考えているかが、議会にとってもひとつの課題になってくるのかと思います」
この取材の直後、青木議長は議員辞職願を出し、許可された。地元の名士の長男が起こした凶悪事件。何が引き金となったのか──。
NEWSポストセブン