なるべく笑って過ごせるように...ハサミを握れなくなった理容師 難病ALSと闘って【岡山】

なるべく笑って過ごせるように...ハサミを握れなくなった理容師 難病ALSと闘って【岡山】

  • OHK岡山放送
  • 更新日:2022/06/23
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岡山放送

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6月21日の「世界ALSデー」に合わせて公開されたミュージックビデオです。出演しているのは倉敷市の男性、全身の筋肉が衰え、やがて死に至る難病、ALSと闘っています。決断の時が迫るなか、残された時間に向き合う男性の姿を追いました。

決断を下す日が迫っていました。

(直樹さん)

「迷惑をかけているという気持ちが大半を占めているので。ここで迷惑をかけ続けてもよいのか」

倉敷市に住む直樹さん、43歳。今から4年前、指定難病ALSと診断されました。

ALSは、全身の筋肉が次第に動かなくなる原因不明の病気で、発症後3年から5年で自発呼吸ができなくなり、やがて死に至ります。治療法はありません。

全国で約1万人、岡山県内では約180人がこの難病と闘っています。

2021年7月、直樹さんが夫婦で経営する理容室です。理容師として10年以上歩んできた直樹さんですが、ハサミが握れなくなり、わずかに動く左手を使って仕事をしていました。

1年前は自分で食事ができていた直樹さん、今ではそれもままならなくなり、筋肉が低下。体重は18キロ減りました。病気は日ごとに進行しています。

この先に待ち受けているのは、「人工呼吸器をつけるかどうか」、命の選択です。

(直樹さん)

「想像の世界だが、自分で呼吸ができなくて、自分で思ったことができない、体を動かせないというのが、果たして幸せなのかなというのは 常に思っている」

人工呼吸器をつけるのはALS患者の3割。つけることで命をつなぎとめることはできますが、体はやがて動かなくなり、寝たきりの状態になります。

1日でも長く生きたい…、延命することで、家族の負担になりたくない。相反する2つの選択肢に、直樹さんとその家族は揺れていました。

(直樹さん)

「何もしない、呼吸器もつけないし、おなかに穴をあけて栄養を取るなども一切しない」

「家族に対する思いが、何もしないという選択が正解なのか、どういう手段を使ってでも 生きていくのが正解なのか、まだ分からない」

(妻 弥佳さん)

「常に痛みと闘いながら、家族のために生きてくれているので、これ以上なかなか言いにくいが、本当はどうにかしてでも生きていてほしい」

倉敷市で家族4人で暮らす直樹さん。突きつけられた選択に向き合いながらも、前を向くことを決して忘れていません。

(直樹さん)

「健康だった時は、生きる意味というのは、多分本当に大事なものは分からなくて、今こうやって病気になって、 本当に大事なものが、自分の身の回りにいっぱいあるということにも気付いたりしたので、なるべく笑って過ごせるようにやっていくことはできるかな」

そんな直樹さんのもとに、ある依頼が舞い込みました。

シンガーソングライターとして活動するHanaさんです。直樹さんの思いに共感し、新曲のミュージックビデオの出演を依頼。この日は、その撮影日です。

(シンガーソングライター Hanaさん)

「命がある限り、いろいろな可能性もある。限られた世界の中でも、一生懸命前を向いている人の姿を 撮りたいと思っていた」

音楽活動をしていた知人が、ALSと診断されたことがきっかけで、音楽の世界に飛び込んだHanaさん。活動の収益は、ALSの支援団体や医療機関に寄付しています。

今回の新曲には、ALSなどの病気と闘う人やその家族に向けて生きる力を与えたいという思いが込められています。

撮影後、Hanaさんは、直樹さんとその家族に向けて生歌を披露しました。

I will be your voice to sing

I will be your hands to link

君がそこにいれば それでよくて

Don't give up for me Don't give up for me

どんな時も 側にいるよ

I'm always by your side

(直樹さん)

「体が動いていた頃を何回も考えて、悔しいという気持ちが今まであって、前向きに生きていけるという気持ちが強くなった」

不治の病に立ち向かう直樹さん。ALSがつないだ新たな出会いは、折れそうになるその心に再び温かな炎をともしました。

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