【ちょい組み】「ディーゼル機関車 DD51 貨物A更新機」見慣れた機関車を組み立てたら発見の連続! 大好きな機関車と"対話"する楽しさ

【ちょい組み】「ディーゼル機関車 DD51 貨物A更新機」見慣れた機関車を組み立てたら発見の連続! 大好きな機関車と"対話"する楽しさ

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  • 更新日:2021/09/16
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「ディーゼル機関車 DD51 貨物A更新機」

開発・発売元:青島文化教材社

発売:7月31日

価格:16,280円(税込)

ジャンル:プラモデル

サイズ:全長約400mm(車両本体のみ)

パーツ数:1200点

筆者にとって「鉄道模型=走らせて楽しむ」だ。軌間(レールの間隔)が9mmの規格「Nゲージ」が手頃で主流。軌間が16mmの「HOゲージ」や極小サイズのZゲージ(軌間6.5mm)は高級品の部類。さらに凝ってくると軌間32mmの「O(オー)ゲージ」、そしてどんどん大きくなって、イベントで見かける子どもも乗れるサイズや、自宅の庭に線路を敷く猛者もいる。

小型の規格であれば、車両は完成品を買ってくる。そこに塗装や工作でディテールを加える人もいる。完成品の販売数が見込めない車両はキット販売があって、ここはプラモデルに通じるところだ。「Oゲージ」以上は市販の完成品やキットがほとんどないから自作が主流。

一方で、風景(シーナリー)も作り込んだレイアウト(ジオラマ)を作って車両を走らせて楽しむ人もいる。近年はレンタルレイアウトに行って、自分で車両を持ち込んで走らせられる。大雑把に例えるとミニ四駆の貸しサーキットのような遊び方だ。

以上が鉄道模型の世界で、プラモデルに鉄道車両のあることは知っていたけれども、「鉄道モチーフのプラモデルを組み立てる」というのは、プラモデルファンからも鉄道ファンからも少数派ではないだろうか? 筆者が中学生の頃に通った模型店では片隅に蒸気機関車の箱が積まれていた。しかし、それなりに大きくて高価で手が出ない。当時の筆者はウォーターラインシリーズや、バンダイの宇宙戦艦ヤマト100円戦艦シリーズに夢中だった。ガンプラブームのずっと前だ。歳がバレる(笑)。

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今回挑戦したアオシマの「ディーゼル機関車 DD51 貨物A更新機」。作例は塗装されているが、今回は無塗装での組み立てを行なった

しかし、元来の鉄道好きだから、鉄道車両のプラモデルに興味を持ち続けていた。そんな折、アオシマからディーゼル機関車「DD51形」のプラモデルが発売されていると知りチャレンジしてみた。蒸気機関車を一掃した新鋭機関車も今は昔。ほとんどの車両が引退し、残り僅かだ。名車、DD51形を記憶に留めたい。そんな名残惜しさも背中を押した。

ブラモデルを組み立てるなんて40年ぶり。要領もわからずキットを組み続けた。他の仕事もあり、完成まで30日近くかかってしまったが、結論から言えば、知識を身につける喜び。知らなかったことがたくさんあった。まるで動画サイトで人気の「ザ・ファーストテイク」のような、飾り気のない楽しさだった。

プラモ素人が挑む「パーツ数1221点」

某日「ディーゼル機関車 DD51 貨物A更新機」の箱が届いた。まず箱が大きくて笑った。幅約55cm、奥行き約44cm、高さ約13cm。重量は約2.3kg。これは体重計で測定した。箱を持ったときと持たないときの体重計の数値の差。届いたばかりでこの満足度。箱を置く場所と作業する場所の確保に手間取るほど。

箱を開ければ大量のパーツが重なっている。そして完成時の形が予想できるパーツはごく僅か。分割された車体、運転席回り程度で、あとはなんだかわからない。同じパーツが複数あって「エンジンを2機搭載しているからだ」と見当がつくけれど、「Eパーツ」は4枚も入っている。これは文句を書いているわけではなく、この時点でパーツの物量に興奮した。箱に戻そうとしたらフタが閉まらない(笑)。箱に詰める順番も各パーツの厚みも設計に織り込み済みだと思われる。プラモデルメーカーの緻密な設計を垣間見た。

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【パッケージとパーツ】

パッケージ。畳の短辺と比較すると大きさが解ると思う

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すべてのパーツを並べてみた

フタが閉まらない時点で「もう引き返せない」と覚悟ができた。すべてのパーツを仏間に並べて記念写真を撮った。はたして素人同然の筆者は完成できるか。カタログにはパーツ数約1200点とあり、筆者が数えたら1144点、デカールを数えると1300点を超えた。気が遠くなりそうだけど、千里の道も一歩から。

組み立て説明書を順番にたどっていけば、きっと完成できるはず。この組み立て説明書も感動モノで、パーツのすべてに名前があり、きちんと紹介されている。過給器タービンケース、潤滑油冷却器……。確認しながら組み立てれば、かなり知識を深められそうだ。

箱には必要な工具が示されていた。カッター、ニッパー、ピンセット、接着剤、そして塗料の品番。説明書の冒頭によると、別売のLED照明キットを取り付ける場合は穴開け加工用の1mm径ピンバイスか必要らしい。今回は光らせないから不要と思ったら、途中の工程で組み立てにも穴開け加工が必要と指示があり、あわてて閉店間際の模型店に行った。そういうことは最初から書いておいてほしい。でも、これがきっかけで、日頃から気になっていた模型店に行き、初対面の店主と模型談義ができた。よかった。

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【多彩なパーツ類】

車体らしきパーツ群。ほかのパーツは想像しにくい

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エッチングパーツ。網や留め具を再現する

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台車バネ、解放テコなどは金属パーツ。別売のLEDでヘッドライトや運転室内を照らす電装系パーツもある

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デカールはヘッドマークや運転席機器類など

DD51形が凸型の理由

DD51形は、筆者の好きな機関車の1つ。横から見ると凸型の車体は左右対称で気持ちが落ち着く。センターキャブといって車体の中央に運転室がある。小型の凸型機関車のうち、DD13形は同じく左右対称だ。DE10形は凸型だけど運転室の位置が偏っていて落ち着かない。前後がありそうで、あるとしたらボンネットの長いほうが前だろうけれど、帰りは後ろ向きに見える。

そもそも凸型は小型機関車のスタイルだ。運転席は横向きに1つだけ。運転士は横向きに座り、首を左右に向けて前後方向へ走らせられる。視野が広いから、貨物駅の構内などで、前進後退を繰り返す用途に向いている。小型電気機関車にも凸型があった。

しかしDD51形は大型ながら凸型を採用した。長距離運用する機関車はほとんど箱形だけど、DD51形が凸型になった理由のひとつは、車体を軽くしたかったから。ひとつの車輪にかかる重さを減らし、幹線だけではなく、支線も運行できるようにした。実は貨物線や幹線と支線では列車の重量制限値が異なる。線路はどれも同じに見えるけれど、運行車両の大きさや重さに制限がある。DD51形が誕生した理由は、幹線用の大型蒸気機関車だけではなく、支線用の中型蒸気機関車も置き換えるためだった。

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こちらは京都鉄道博物館に展示されている実物のD51形756号機

もうひとつの理由は整備のしやすさだ。エンジン、変速機など主要機器だけを覆う構造だから、ハッチを開けるだけでエンジンや変速機のメンテナンスができる。箱形の機関車でも整備は必要だけど、凸型にした理由は当時の事情による。ディーゼル機関車の導入が始まったばかりで、以前に導入された形式でトラブルが多かった。だから新型とはいえ、内部機器を確認しやすい形を採用したのだろう。DD51形のエンジンは純国産としては初の大型エンジンだった。初物には不安が付きものだ。

12気筒エンジンに惚れる

ウンチクはこのくらいにして、組み立て開始。ランナーからペンチでパーツを切り取り、切断面にヤスリを掛ける。塗装はしないけれどヤスリは丁寧に。これだけ部品があると、接着面の隙間がひとつあるだけで、全体の組み立てに影響するだろう。恥ずかしながら告白すると、今回、2機あるエンジンのうち1機は車体に格納できなかった。雑な作業が重なって、僅かながら他の部品に干渉した。

最初の工程は黒くて大きなパーツの組み立てだ。これが機関車のどこに当たるかわからない。組み立てていくと、これは機関車ではなく機関車を置く台だった。なるほど、この細い溝と細長いパーツはレールか。断面を見たら確かにレールの形をしている。いやまてよ、そうなると、レールの踏面にランナーが付いていたわけだ。大胆なことをするものだ。ヤスリで丁寧に磨いた。「走らせる鉄道模型」ではレール踏面に凹凸なんて初めから考えない。

機関車の組み立てはエンジンから。水冷4サイクルV型12気筒ターボ。61000cc、1100馬力。同じモノを2基作る。膨大な部品数だから1気筒ずつ組み立てるかと思ったけど基本躯体は3ピースで安心した。しかしエンジン回りの機器が多い。燃料噴射ポンプ、調速機、冷却水ポンプ、交流発電機、クランク室ガス抜き管、インタークーラーなどなど。ターボチャージャーはクルマでも見かけるカタツムリに似た形だ。燃料パイプがピタッと組み上がると嬉しくなった。エンジン整備台に載せて行程終了。見るだけでも楽しい。私が初めて作ったエンジンである。

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【エンジンを組み上げる】

エンジンが組み上がった。ピッタリとはまってよかった

次は液体変速機だ。トルクコンバーター、クルマで言うところのオートマチックトランスミッションである。これもエンジン同様に本体を組んだあとで付属品を取り付けていく。組み立て説明書は手順図だけではなく、部品の名前と役割を説明する文章が載っている。完成までの長い道のりの中で、自分がいま、なにを組み立てているか、その部品がどんな働きをするかわかる。なるほど……と感嘆しながら作業を続けた。

「走らせる鉄道模型」は外観が重要で内部は座席程度しか再現されない。箱形の小さな車両の内部に、動力用のモーターとウェイトをなんとかして詰め込む。だから実物の機関車の内部は無視だ。もし機関車の仕組みを知りたいなら、断面図イラストや文献資料もある。しかし、プラモデルを組み立てていくと、各部品の大きさ、相関関係が立体的にわかる。これは勉強になる。そういえば青島文化「教材」社だった。

次ページではさらに組み立てを進めていこう。知識が深まることで、愛情も深まっていくのだ。

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【車輪の組み立て】

車輪はグレーのパーツで用意されている。こちらは別売りの「ディティールアップパーツ No.5」の金属製ホイールセット。3,520円(税込)

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車両工場の片隅にこんな風景があった

杉山淳一

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