カタルーニャ独立問題が「第2のブレグジット」にならない理由

カタルーニャ独立問題が「第2のブレグジット」にならない理由

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2017/10/12
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スペインのカタルーニャ州は、長い間スペインの他地域とは異なる存在と目されてきたが、それは常に穏やかな意味でではなかった。ピカソやミロ、ガウディら前衛的な芸術家や建築家を輩出した同州は、スペイン内戦とそれに続く抑圧的なフランコ政権下での苦難に耐えてきたリベラル派・共和主義の地域だ。

カタルーニャは独自の言語と習慣、伝統、州政府を持つ。州都のバルセロナは内陸部のマドリードよりも外向的だと考える人も多い。2014年の統計によると、同州は国内総生産(GDP)の19%、輸出の25%以上を担っており、スペイン経済の原動力ともなっている。しかし、中央政府から同州に配分される予算は、同州が中央政府に支払う税金よりも100億ユーロ(約1兆3000億円)少ない。

カタルーニャ人たちの頭に独立の考えが長年にわたり浮かんでいたのもうなずける。

「違法」だとされた住民投票

独立分離への動きは憲法違反だと主張するスペイン中央政府との法廷闘争は、カタルーニャ人の士気が下げることはなかった。中央政府と州政府が言葉の応酬を激化させる中、違憲とされた住民投票が10月1日に実施された。投票率は43%(約230万人)で、うち90%が独立を支持した。

州の一部の地域では、街頭での暴力的な衝突が発生。スペイン軍が独立派のデモを阻止しようとした結果、約900人がけがをした。

この出来事は少なくとも、スペインのラホイ政権のイメージを大きく傷つけることとなった。重装備の国家警察が、武器を持たない市民と衝突するという、まるで『スター・ウォーズ』のワンシーンのような場面は、テレビやインターネットを通じて世界中に伝えられた。

私は本稿執筆のため、マドリードに9年間居住・勤務する英国人実業家のジョナサンを取材した。「ラホイは状況を全く理解していない。まるで冬眠から1か月早く目覚めてしまった熊のようだ」とジョナサンは語る。「古いやり方しか知らず、今は誰もが携帯電話を持っていることを忘れているようだ。一方で独立分離派は、この状況を非常に皮肉的かつ賢く利用している」

ラホイ首相の過ち

ジョナサンは「ラホイは独立運動を大幅に助長した」と指摘する。「ラホイの強硬な態度で、元々の賛同者が距離を置いている。比較的穏健な独立反対派のカタルーニャ人も、ここまで頑固な『ファシストの子たち』に運命を託して良いものか、と思い始める危険もある」

カタルーニャ州のプチデモン首相は10日、独立宣言に署名したが、その施行は数週間延期するとし、解決策を模索するためスペイン中央政府との対話を要請した。

独立の可能性もまだかすかに残ってはいるものの、非常に長く険しい道のりになるだろう。今起きているのは「カテグジット」ではない。

まず、カタルーニャ州の公債負担は現在GDPの35%を超えている。州政府が抱える770億ユーロ(約10兆2000億円)の負債のうち、約600億ユーロ(約8兆円)は中央政府から借りている。独立すれば、金融危機後に国際市場で借り入れができなくなった地方の支援のため設立した国営の融資基金も利用できなくなる。

また、同州の海外輸出先として3分の2を占める欧州連合(EU)の市場への参加を維持するには、EU加盟を申請し、スペインを含むEU全加盟国から承認される必要がある。

ラホイ首相は高圧的で暴力的な手法を選んだが、その他の選択肢もあった。ジョナサンは次のように指摘する。「ラホイは住民投票を許可し、例えば2018年10月など、ある程度期間を置いた時期に日程を定め、最低投票率を設定して国際監視団を設置するよう主張できたはずだ」

ジョナサンはまた、ラホイはカタルーニャ語で演説して団結を呼びかけ、スペインの文化的伝統や多様性は同国を単なる州の集まり以上の強力なものにすると訴えることができたはずだとも語った。陳腐かもしれないが、軍隊配備に対するほどの非難を浴びることはなかっただろう。

カタルーニャ州の住民投票以降、国内では何千もの人が独立反対派のデモに参加した。バスク州などその他の自治州は目立った動きは見せていない。EUは議論に参加していないが、所属国から独立を目指す地域がEUに残留できるかどうかという問題は長期的に避けられないものだ。この問題は欧州の地図を再度塗り替えるものかもしれない。

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