「オプジーボ」は50%の値下げ 薬価ってどう決まるの?

「オプジーボ」は50%の値下げ 薬価ってどう決まるの?

  • NEWSポストセブン
  • 更新日:2016/12/01
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薬の値段のからくりは

現在、「夢の新薬」として世界中から注目されている薬がオプジーボだ。患者の免疫機能に働きかけてがん細胞の攻撃力を弱めるこの薬は、これまでの常識を覆すアイデアを用いたものだ。

2014年7月に承認され、悪性の皮膚がんでは、余命半年と思われた患者の体からがん細胞を消し去るなど、大きな効果を上げている。

また、森喜朗・元首相が肺がんの除去手術後、再発したがんをオプジーボで“退治”したことで体調が劇的に回復した例も知られている。

抗がん剤と比べて副作用も少なく、今後は多くのがんへの保険適用が期待されるオプジーボだが、ネックとなっていたのが「超高額」な薬価だ。

オプジーボの薬価は1瓶(100mg)約73万円。体重60kgの患者が2週間おきに2瓶ずつの標準的な点滴治療を1年続けると、年間の費用はおよそ3500万円に達する。

あまりに高額な薬価は各方面に波紋を呼んだ。

今年9月には全国保険医団体連合会がオプジーボの価格について、米国で約30万円、英国で約15万円との試算を公開し、「日本だけが途方もない薬価を算定した」と厚労省を批判した。

それ以前にも医療関係者からは「1つの薬剤をきっかけに、国が滅びかねない」と危惧する声が上がっていた。年間3500万円の薬剤費といっても、患者の自己負担額の上限は100万円程度で済む(年収770万円未満の場合)。残りは国の保険財政から捻出されるのだ。

事態が急転したのは、11月中旬のこと。国が来年2月、オプジーボを緊急的に値下げすると突然発表したのだ。しかも値下げ幅は「50%」という抜本的な見直しだった。この発表には全国紙の医療担当記者も驚いたと打ち明ける。

「通常、薬価は2年に1度の診療報酬改定で見直されるもので、次の改定時期は2018年4月だった。それが1年2か月も前倒しされたうえに、50%もの大幅値下げは極めて異例です。患者にとってはいい話かもしれないが、これまでの値段は何だったのかと思わざるを得ません」

画期的な治療薬なだけに大きな注目を集めた今回の大幅値下げ。そもそも、薬の値段はどうやって決まっているのだろうか。医療ジャーナリストの油井香代子氏が解説する。

「オプジーボのような他に似た薬のない画期的な新薬の場合、メーカーが『開発にこれだけかかった』という資料を提出し、それを元に厚生労働省などが患者数や売り上げを推定し、総合的に薬価が決まります」

これが「原価計算方式」と呼ばれる算出法だ(ちなみに、似ているタイプの薬がすでにある場合は、その値段を参考にして薬価を決定する「類似薬効比較方式」が採用される)。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏はこう話す。

「『原価計算方式』では製造原価、販売管理費、研究開発費などを足し合わせながら薬価を算定していきます。メーカーが独自に価格を決定できないという建前ですが、必ずしもそうなっていない側面がある。

審査のベースとなるのは製薬会社側が提出した資料です。どこまでを“その薬の開発にかかったコスト”と認めさせるか。要はプレゼン能力の勝負になってくるわけです。実際、大型設備投資や人件費などは“どこまでがその薬の開発にかかったコストか”を厳密に割り出すことなどできない。そうした意味では薬の原価にはグレーゾーンが大きい」

そうした土壌があるなかで、“超高額薬価”となったのがオプジーボだった。

※週刊ポスト2016年12月9日号

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