永井秀樹の考えをポルトガル語で「超訳」。再建を支える異色のコーチ

永井秀樹の考えをポルトガル語で「超訳」。再建を支える異色のコーチ

  • Sportiva
  • 更新日:2019/10/22

永井秀樹 ヴェルディ再建への道
トップチーム監督編(6)

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永井秀樹監督と戦術について話す菅原智コーチ

永井の指示を

ポルトガル語で叫ぶ男

永井ヴェルディを語るうえで欠かせない”ブラジル出身選手”というキーワード。9月8日のレノファ山口FC戦で2得点をあげ、衝撃的なデビューを飾ったジャイルトン・パライバや、過去J1得点王にも輝いたベテランのレアンドロ。そして、名門CRフラメンゴから加入し、世代別ブラジル代表にも名を連ねる21歳のクレビーニョなど、魅力的な逸材が揃っている。そんな彼らを公私ともにサポートするのが、ポルトガル語の通訳もこなす菅原智コーチだ。

各選手の特徴や性格をひとつひとつしっかりと把握している。

「パライバは2016年にも海外経験がありますが、『どこの国のどんなリーグでも、サッカーの色や文化の違い、難しさがある。異国のリーグで成功するためには、俺のスタイルはこうだ、ではなくて、早くその国のサッカーや文化に順応することが求められる』と話しています。

クレビーニョは、潜在能力の高さに加えて、真面目さと賢さがあります。ブラジルとはまったく違うリズムの中で取り組みながらも吸収力は高く、永井監督のサッカーにも共感して、理解しようと懸命に努力しています。

レアンドロは来日13年目なので、日本の文化や習慣、成功するために大切なこともよく理解しています。彼の存在は他のブラジル人選手にとっては非常に大きい。わたしもその輪に入ることで、良いコミュニケーションや関係を築いて、それを日本人選手、チーム全体につなげていけたらと思っています」

試合では、永井の隣で大声を出し、大きなジェスチャーを交えてブラジル出身トリオに指示を出す。永井の指示を単純に通訳するだけでなく、意図するところも含めて伝えるのが仕事だ。そのためには、まずは菅原自身が永井スタイルをより理解することが求められた。単なる通訳ではなく、永井の意図も含めて伝えることができるのは、読売育ちで、かつ南米サッカーにも触れた菅原だからこそなせるわざかもしれない。

菅原本人は「私は同時通訳で完璧にポルトガル語で話せる能力は、正直ありません」と謙遜する。しかし、実際ブラジル出身選手が短期間で馴染み活躍する姿を見るにつけ、菅原の目に見えない部分での貢献、プライベートでも時間を共にする配慮は、3人の活躍に少なからず貢献しているはずだ。

そんな菅原だが、実はブラジル生活はわずか1年なのだ。小6からヴェルディ育ちの菅原は22歳の時、ブラジルの名門FCサントスでプレーした経歴を持つ。契約は1年を待たずに打ち切られたものの、たったひとりで異国に飛び込み、通訳もいないなか、言葉もゼロから覚えて、生き残りをかけてハングリーに戦った濃密な時間は、今の仕事にも少なからず影響を与えていた。

「今、海外選手を受け入れる側になった時、彼らの緊張感、プレッシャー、言葉の壁、プライベートな悩みまで、自分自身も苦しんだからこそ『少しでも助けになりたい』という思いは選手時代からありました。今はコーチという立場から、彼らが少一日でも早く日本の生活に馴染み、ピッチ内・外において仲間と信頼関係を築いていけるように、本来の力を発揮できるようにサポートしたい、と考えています」

もうひとつ、菅原には重要な役割があった。本業のコーチとしての、守備面での貢献である。

永井は菅原について「現役時代も一緒にプレーしたけど、危機察知能力に優れた選手だった。ボランチが本職の菅原コーチがいるおかげで、うまくバランスがとれている(永井監督、藤吉信次、保坂信之両コーチとも現役時代は攻撃主体の選手)」と信頼を置いていた。

「相手守備の分析を映像にまとめて提出します。自チームの守備の改善点についても同様の作業をします。それを監督、コーチングスタッフで共有し、意見交換したあとに、選手全員と共有します。

永井さんが監督に就任された当初、『自分だけではなくて、より多くの目があるからこそ様々な気づきがある。あらゆる角度から分析したり、俯瞰したり、そういう風に、スタッフみんなで戦っていきたい』と話された。うれしい気持ちと同時に、『私を必要としていただける以上、クラブのために、まずは自身が成長すること、選手として少なからず経験してきたこと、指導者として経験してきたことを還元していきたい』と心の中で覚悟を決めて、今日に至っています」

菅原はまさに「縁の下の力持ち」だ。インタビュー時に初めて挨拶を交わした時も、「取材をしていただき、ありがとうございます」と丁寧に挨拶をし、両手で名刺を渡してくれた。一般社会では当たり前の名刺交換も、スポーツ取材の現場では一方通行が大半で、選手やコーチから名刺を頂戴することは稀だ。

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取材の現場でジャイルトン・パライバの通訳をする菅原智コーチ

そんな一般人の感覚や気遣いのできる人柄が、目に見えない所で大きな力となり永井を支えているはずだ。

「永井さんはサッカーに対する情熱はもちろん、チームや選手に対しても強い愛情を持っています。芯がしっかりしていて、妥協せず、考え方もブレない。求めることもはっきりしているので、コーチも選手も信じてついていこうと思える。一緒に仕事をしている中で気づかされ、多くを学ぶことができています。

シーズン中に、一からチームを作ることはものすごく難しい。シーズン前から始めたとしても、やりたいサッカー、色、フィロソフィーをチーム全員に落とし込み、そのサッカーを構築する作業は、並大抵のことではない。だからこそ、チームがファミリーとなり、理解を深め合いながら同じ道を歩むべきだと思いますし、永井さんが、その方向性を示し、緊張感がある中でもいい雰囲気を作っていることは、本当にすごいなと思います」

永井は仲間たちからの厚い信頼を得て、「ヴェルディ再建」に突き進んでいる。

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