元副知事・浜渦氏が語る「知られざる小池都知事と石原氏の48年の恩讐」

元副知事・浜渦氏が語る「知られざる小池都知事と石原氏の48年の恩讐」

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  • 更新日:2016/11/02
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衆院選で圧勝した若き日の慎太郎氏 (c)朝日新聞社

豊洲市場移転問題の「戦犯」探しが佳境を迎える中、石原慎太郎元知事が敵前逃亡。小池劇場によってかつて栄華を誇った「石原ブランド」が破壊されつつある。石原氏側近の副知事として都政で「剛腕」をふるった浜渦武生氏によると、実は小池百合子都知事と石原両氏の間には半世紀に及ぶ知られざる“恩讐”があった。その彼方に待ち受ける結末とは──。

「小池劇場」の主要人物である小池氏、石原氏、浜渦氏。この3人には、40年以上に及ぶ“腐れ縁”がある。浜渦氏が振り返る。

「『大年増の厚化粧』発言をした集会には、(石原)伸晃さんから『お父さん、増田(寛也)さんを応援してよ』と頼まれ、石原さんは出た。私もその場にいましたが、石原さんは常々、『私は参議院議員に立候補したときに、小池さんのお父さんにお世話になった』という話もしていたんです」

68年、石原氏が参議院選挙に初めて立候補したとき、関西の選対で陣頭指揮を執っていたのが小池氏の父、勇二郎氏だった。

当時、勇二郎氏はエジプト政府とパイプを持つ石油の貿易商で、小池一家は兵庫県芦屋市の邸宅で暮らしていたという。

勇二郎氏は無類の政治好きで、石原氏が政界デビューした際につくった政治団体「日本の新しい世代の会」に参加。69年には勇二郎氏も兵庫2区から衆院選挙に出馬。浜渦氏はその選挙を手伝ったという。

「石原さんから『勇二郎さんの選挙を手伝ってくれ』と頼まれ、鴻池祥肇さん(参議院議員)と百合子さんの兄さんと一緒に手伝いました。百合子さんはまだ学生でしたね」

だが、落選が濃厚になると、人が離れていった。

「選挙戦の最終日、勇二郎さんと鴻池さんと私の3人だけになった。3人で尼崎のガード下で焼き肉を食ったのを今も忘れられません」

結果は約7千票で落選。商売をほったらかして政治に夢中になり、成功していた会社も倒産し、債権者が小池家に押し寄せた。

石原氏の有力後援者で当時、空調工事会社「ナミレイ」を経営していた政商、朝堂院大覚氏(75、本名は松浦良右)が小池一家を大阪から逃がし、都内のアパートを用意。その後、小池家は朝堂院氏の支援でエジプトのカイロで日本食レストラン「なにわ」を開き、生計を立てたという。

当時、カイロに留学中だった小池氏はその後、帰国し、アラビア語通訳からニュースキャスター、政治家へと華麗なる転身を遂げる。

小池氏が日本新党から参議院選挙に出馬した92年、勇二郎氏が浜渦氏のもとを訪ねたことがあった。

「『選挙スタッフが集まらんから百合子の選対に入ってくれないか』と頼まれました。でも、『私は百合ちゃんと心中するつもりはない。仲間だったら紹介しますよ』とお断りしました」(浜渦氏)

小池氏が国会議員になって以降も関係は続いた。

「私が副知事だったころも百合子さんが中国の宗教団体の人と一緒に都庁に来て、活動認可を下ろしてくれ、と頼んできたこともありました」(同)

浜渦氏は勇二郎氏の選挙を手伝った縁で、小池氏の兄とも親しい間柄だ。

「百合子さんの兄は貿易会社をやっています。私が副知事だったころ、百合子さんの兄さんから『いずれディーゼル規制ができますから、パーム椰子を使ったバイオエネルギーを東京で使いませんか』と提案されたこともありました」(同)

小池氏が自民党総務会長だったころ、浜渦氏が党本部を訪ねたこともあった。

「百合子さんから、『兄がモンゴルから来るから来てちょうだい』と誘いがあったんです。総務会長室に行ってみたら、兄さんがモンゴルの偉い人を連れてきていた」(同)

だが、3人の“腐れ縁”は都知事選によって大きくねじ曲がった。小池知事は9月、広尾病院の移転問題について記者に質問されたとき、こんな意味深な発言をしている。

「(広尾病院の移転に反対している)佐々木勝前院長は石原さんの主治医でしたからねぇ。(略)(優先順位は)あまり高いところに置いていない」

石原氏と小池一家を知る朝堂院氏はこう話す。

「小池さん一家は石原さんからあまり相手にされていなかった。浜渦さんを通じて付き合いは続けていても、百合子さんの心境は複雑だったのではないか……」

恩讐の果て、豊洲移転の責任問題は今後どうなっていくのだろうか。

小池知事は14日、現職の岸本良一市場長を更迭することを発表した。すでに都庁を退職している歴代市場長については直接処分できないものの、「減給処分相当」として給料の返納を求めるなどの対応を検討していくという。

追及の手は、当時のトップだった石原氏まで及ぶのだろうか。自民党関係者はこう証言する。

「都が公表した内部調査報告書の中で、技術会議が地下空間を発案したとする記述が虚偽だと発覚した。これを受けて小池知事の執務室に呼ばれた当時の幹部は『自分たちが信じてきた石原さんを守りたかった。石原さんを否定することは、自分たちがやってきたことを否定することになる』と釈明した。これに小池知事は激怒して、再調査を命じたようです」

13日に閉会した都議会は、市場問題の特別委員会を設置し、閉会中も審議を続けると決定した。ただ、強い権限を持つ「百条委員会」の設置には至らなかった。百条委設置を求めていた共産党の清水ひで子都議はこう語る。

「百条委を設置すれば、出頭を命じられたら拒否できない。石原氏を呼ぶにはそれしかないのですが、自民党、公明党に民進党も取り込まれてしまった」

百条委の設置には与党である自民党と公明党の賛成が必要で、ハードルは高い。自民党都議はこう話す。

「石原氏への恩讐はあっても、小池さんは浜渦さんとの付き合いもあるし、本音では、百条委員会まではやりづらいんじゃないかと思いますね」

政治評論家の浅川博忠氏はこう語る。

「石原氏としては、下手に公の場に出て記憶違いなどから間違った証言をしたら、完全に晩節を汚すことになってしまう。健康面などを理由に、今後は逃げの姿勢に終始するのではないか。都議会自民党には石原氏への遠慮があり、完全に追い詰めることはしないでしょう。小池氏も9月からの議会では都議会自民党と今以上事を荒立てない姿勢を見せており、結局は市場長など都職員幹部の処分までで終わるのではないか」(本誌・上田耕司、小泉耕平、村上新太郎)

※週刊朝日 2016年10月28日号より抜粋

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