原発被災者判決 国は救済へ責任を果たせ

  • 西日本新聞
  • 更新日:2017/10/12

東京電力福島第1原発事故で裁判所が3度、巨大津波は予見できたと判断した。この意味は重い。国と東電は「3・11」で故郷を追われた被災者の救済にもっと真摯(しんし)に向き合うべきではないか。

東日本大震災による原発事故の被災者が損害賠償などを求めた訴訟で、福島地裁は国と東電の責任を認定し、賠償を命じた。

最大の争点は津波の予見可能性だった。全国で同様の集団訴訟は約30件起こされており、今回は前橋、千葉両地裁に続く判決だ。

もともと予見性を否定する国の主張は、自己矛盾に満ちていた。 3地裁の判断根拠は、国の地震調査研究推進本部が2002年に発表した「長期評価」などである。将来全国で起きうる地震の発生確率を予測したもので、福島沖での巨大な津波地震は「30年以内に20%」の確率で発生する-との内容だった。極めて高い数字だ。

福島地裁は研究者の間で議論を重ねた「正当な見解」だと認め、「科学者の間でも異論がある」などとする国の主張を一蹴した。

そもそも東北で津波を伴う地震は貞観地震(869年)以降、少なくとも十数回発生している。国の主張は説得力を欠く上、長期予測を基にして震災に備える国民をいたずらに混乱させかねない。

判決は、国が地震予測に基づいて東電に適切な津波対策を取らせていれば、事故は防ぐことができたと明快に指摘した。

原子力損害賠償法は事故などの場合、過失の有無を問わず被災者への賠償を事業者に求め、東電は国の指針に基づき賠償している。

根本的な問題は、交通事故でさえ問われる法的な責任を、原発事故という極めて重大な事故で曖昧にしたままでいいのか-という点だろう。事故の再発防止策と責任の明確化は表裏一体のはずだ。

何の落ち度もないのに被災者は全国各地で不自由な避難生活を強いられている。その苦痛や心労は想像を絶するものがある。

今なお続くそうした現実を国と東電はどう認識しているのか。判決の重みをかみしめるべきだ。

=2017/10/12付 西日本新聞朝刊=

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