カッシーニの功績と、各業界からの別れのコメント

カッシーニの功績と、各業界からの別れのコメント

  • ギズモード・ジャパン
  • 更新日:2017/09/16
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Image:NASA

今までありがとう、カッシーニ

消滅まで残り僅かとなったカッシーニ。米Gizmodoでカッシーニ関連のニュースをずっと追ってきたRae Paoletta記者が、その功績と同業者たちによる別れのコメントをまとめています。

宇宙があることで、面白いことに私たち人間はとてつもなく小さいけれども広大な銀河の一員であることをものすごく幸運だと思えるもの。もちろん人類は最後の開拓地の表面を辛うじてかすっただけで、月より遠くへ人を送ったこともありません。いくつもの無人探査機が近隣の太陽系を明らかにする素晴らしい任務を果たしてきましたが、探査機カッシーニの右に出るものはいませんでした。土星を13年間にわたって探査した同探査機は、9月15日の午前4時55分(太平洋標準時間)に土星の大気圏に突入し、その任務を終えます。

カッシーニ探査機と小型惑星探査機ホイヘンス・プローブは、1997年10月15日にタイタンIVBロケットで地球を飛び立ちました。カッシーニは土星到達までに35億kmを旅して、2004年6月30日にようやく土星の軌道に突入したのです。そこで時間を無駄にすることなく、同年の12月に土星の衛星タイタンとディオネに初の接近飛行を行ないました。翌年にホイヘンスがタイタンの地表面に着陸して、太陽系外縁部の衛星への人類史上初めてにして唯一の着陸から画像を送り返しています。土星系で過ごす中でカッシーニは45万3,000枚以上の画像を撮影し、635GBの科学データを収集し、そして土星の衛星6つに名前を付けました。一日たりとも怠けなかったのです。

カッシーニ以前に土星系を訪れた探査機は、1980年そして1981年のボイジャー1号と2号でした。ボイジャー探査機で土星の謎を垣間見て、カッシーニ探査機でこのガス惑星を調べ回ったのです。NASAによれば、カッシーニが収集したデータを使って執筆された論文はおよそ4,000本に近いとか。

この13年間、カッシーニ探査機のおかげで12億km離れた惑星を身近に感じることができました。土星の渦巻く北極をじっと見つめてきましたが、見つめ返されてたかもしれませんね。そして、タイタンにはメタンの海があること、さらに奇妙な生命体の構成要素を形成するかもしれない有機分子に満ちた大気があることを発見しました。土星本体と環との間を22回もダイブするような最後の航程では、かつてないほどのクローズアップ画像を撮影しました。おそらくもっとも重要なのは、氷で覆われた衛星エンケラドゥスの地表面の下の地下海生命に必要とされる要素が生み出されていることを発見し、そしてそれを分析したことでしょう。カッシーニのおかげで次の探査は地球外生命体の探索になりそうです。

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Image:NASAエンケラドゥスの間欠泉

カッシーニについて執筆してきた人たちにとって、さよならを告げるのはとても悲しくも少し奇妙な感じで、それは顔を合わせたことのない昔からの友人に別れを告げるようなものかもしれません。ただこの場合、友人というのは宙を飛ぶ金属の塊ですが、人のように身近に感じていたのです。

「次の土星へのミッションまで生きていないかもしれない科学者たちや、エンケラドゥスを覆う氷の下に生命が存在するのかどうか、あるいはタイタンの暗い海の底を確認できないかもしれない人たちを思うと心が痛みます」とEosの科学ジャーナリストであるJoAnna Wendelさんは米Gizmodoに語ってくれました。「海の世界に生命が存在し得たと知ることなかった科学者たちに同情します。そして私自身、死んでしまったら目にする機会のない全てに不安を感じてつらい気持ちです」とのこと。

何年もの間カッシーニを報じてきた科学ジャーナリストのShannon StironeさんはWendelさんの悲痛に共感しながらも、探査機がこれからの世代に残したものを誇りに思っています。

「カッシーニは我々にとてつもなく大きな贈り物をくれました」とStironeさん。「人間の歴史において、立ち入ることのできなかった象徴的な世界のビジョンです。カッシーニの消滅で、私たちは人類のとてつもない試みの終わりを嘆き、そしてその比類のない遺産をほめたたえるのです」

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Image:NASA

喪失感が一番大きいのは、間違いなくカッシーニのミッションに人生を捧げた科学者たちでしょう。カッシーニのプロジェクト科学者であるLinda Spilkerさんは以前、同ミッションに携わったチームは「カッシーニの家族のようになった」と語っていました。探査機の消滅は、この絆の固いコミュニティが別の道を進み始めるということでもありますが、世界にもたらした貢献はカッシーニの遺産のなかに生き続けます。

カッシーニ、そして人生に一度きりのこのミッションに休むことなく取り組んできた科学者たちに感謝しています。 このペイル・ブルー・ドットと、そこにいる人類がとてつもなく特別だと思い出させてくれてありがとう。

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Image:NASA

Source:European Space Agency,Jet Propulsion Laboratory (1,2,3,4,5,6,),Space.com,JoAnnaScience,shannonmstirone,ScienceNews/twitter ,Wired
Image: NASA
Rae Paoletta - Gizmodo US[原文

(たもり)

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