政府主導は吉と出るか―アジアのオープンイノベーション事情

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2017/12/07
No image

近年、日本ではオープンイノベーションが盛んに行われているが、他国ではどうなのか?協業もスムーズで、新規事業も醸成されているのか?2020年先進国入りを目指すマレーシアのIT都市・サイバージャヤで世界中からスタートアップを募集し、育成からASEAN地域でのビジネス展開まで支援する「MaGIC(Malaysian Global Innovation & Creatibity Centre)」に着目。同センターのプログラムディレクター、タヌージャ・ラジャに実状を語ってもらった。

──MaGICでの取り組みを教えてください。

MaGIC Adcademyでほぼ毎日アントレプレナーが必要なスキルを養える授業やワークショップを開催しています。また、「MAP(Malaysian Accelerator Program)」「GAP(Global Accelerator Program)」という2種類のアクセラレータプログラムも運営しています。前者は必ずしも事業化の対象ではないソーシャル分野、後者はグローバルな分野のビジネスプロジェクトを取扱っています。

採択されたスタートアップはMaGICのスタッフから週次のメンタリングを受けたり、ボランティアのメンターと隔週でディスカッションしたりしています。そのうち社会を変えるためのプロジェクトがより持続的であるために事業性・収益性があったほうが良いと考えるようになり、いまではMAP・GAPを統一してプログラムを設けています。

──日本のスタートアップはGAPプログラムに参加しているのですか?

2、3社参加しています。もっと来てほしいところですが、コミュニケーション面で課題があるようです。翻訳者をこちらでアサインしたものの、聞く一方になってディスカッションできず、意思疎通が図れなかったことがありました。

──スタートアップを選ぶ条件は何でしょうか?

3つあります。1つめはMVP(Minimum Viable Product)をもって市場性・トラクションをたてているか。2つめはASEAN地域でのビジネスかどうか。最後に、インタビューを通じて十分なパッションがあるか、当該ビジネスを成功させるに値する経歴を持っているか、プログラムへコミットする気が十分に感じられるか等見ています。

No image

MaGIC(Malaysian Global Innovation & Creatibity Centre)プログラムディレクター タヌージャ・ラジャ

──マレーシアのファウンダーは多様で熱意に溢れていますね。今回訪れて驚きました。

職務・分野を特定させて集めるべきか議論したこともあるのですが、彼らは異なったバックグラウンド同士で協業することが好きだ(love)と気づき、多様性を重んじた形をとっています。

──スタートアップがMaGICのプログラムに参加するメリットを教えてください。

2つあります。1つはソフトウェア・サービスの利用権利です。私達が契約しているAWSやチームのTシャツをつくるサービス等を無償もしくは格安で利用できます。もう1つは私達の強力なネットワークです。政府機関として国内のメディア、銀行、病院、航空会社等主要なプレイヤーを紹介できます。

──それらにスタートアップはお金を支払う流れとなっているのですか?

MaGICは非営利団体につき、お金をとることもエクイティを取得し投資することもしていません。宿泊施設やインキュベーション施設、飛行機のチケット、マーケティング用の費用の支給、そしてメンター等様々なサービスを提供していますが、お金をいただく代わりに条件を設けています。”giving-back-program”というもので、マレーシア国内の大学・教育機関で何らかのアクティビティをし、アントレプレナーとしての経験を伝播させることです。

──マレーシアのCVCによる投資やオープンイノベーションの状況はどうですか?日本の場合、CVCは独立系VCよりアクティブな投資をする傾向にあります。

現在、企業を啓発している段階です。投資も多いとは思えません。大企業サイドのマインドセットを変えることが大事だと考えています。MaGIC運営チーム内に大企業とスタートアップとの協業を促す専属チームを設け、銀行やユニセフ等様々な分野の企業へオープンイノベーションの啓発やパートナーシップ相手の探索等行っています。

No image

大手企業とスタートアップの協業を実現するには、具体的なコミットメントが必要

──大手企業とスタートアップが協力するための障壁・課題はどこにあると思いますか?

協力するという発想そのものがまだまだ浸透していないと思います。「そんなリスキーなことをしなくても事業は成り立つ」と、協業を避ける保守的な考え方があります。パートナーになると容易に言ってくれますが、問題はそこに対して求められる具体的なコミットメントをイメージしてくれていないという点です。

スタートアップを賞賛するも、実際組むとなると「リスク」と捉える。オープンイノベーションへの姿勢はマレーシアも変わらないようだ。生き残る会社は時代に合わせ変化を遂げてきた。リスクを恐れず挑戦し、失敗もたくさん重ねている。オープンイノベーションを単なるブームで終わらせないためにも、成功は挑戦と失敗の先にあることを忘れず、アジアでも通用する成功事例を生み出していきたい。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

コラム総合カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
19~22歳だけが対象の「マジ部」に、企業がこぞって無料でサービスを提供する理由
美人ボディビルOL「安井友梨」が話題に!体脂肪率は10%!
意外と知らない旅館のマナー
肉だけを食べ続けると人はどうなってしまうのか?
男性は「手の指の長」さで「女性の好み」のタイプが決まるらしい!
  • このエントリーをはてなブックマークに追加