正しい「飲みニケーション」は企業業績を向上させる

正しい「飲みニケーション」は企業業績を向上させる

  • JBpress
  • 更新日:2017/11/13
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アガベスピリッツ専門店「AGAVERIA」

弱冠34歳ながら、すでに10年以上にわたり中小・ベンチャー企業の業績向上に貢献してきた女性がいる。大手監査法人勤務を経て独立。独創的な経営哲学にもとづく支援で、倒産寸前企業に“V字回復”をもたらすなど、彼女に感謝する経営者は少なくない。

また、彼女は、ヨガインストラクター、ファッションデザイナーとしても活動し、さらに今年(2017年)9月にはアジア初となるアガベスピリッツ(メキシコの植物「アガベ」を原料としたお酒)専門店「AGAVERIA」を都内にオープンした。多彩な活躍を見せるその女性は、中村友香氏。

公認会計士による経営支援と聞くと、圧倒的な知識量を背景にしたデータ重視のコンサルティングを想像するが、彼女はあっさり否定する。

「これは断言できますが、経営支援では知識の99%はムダです。1980~90年代くらいから欧米の経営論が本格的に日本に入り、知識偏重、“目に見えるデータ”偏重へとシフトしたことで多くの日本企業が低迷するようになったと私は見ています。

知識/データはいずれAIに取って換わられるでしょう。その一方、どんなに時代が変わっても経営のエンジンになり得るのは“智慧”だと私は思います」

日本は世界でも他に類例を見ないほど老舗企業の多い国だが、彼らが数百年あるいはそれ以上にわたって厳しい環境変化を乗り越えてこられたのは、“智慧”を生みだす力があったからだと中村氏は語る。

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公認会計士/AGAVERIAオーナーの中村友香氏

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企業業績と連動する「社内飲みニケーション」

バブル経済崩壊以降の“失われた25年”の中、社内の「ムダ・ムラ・ムリ(通称ダラリ)」を排除する動きが各企業で盛んになったことは周知の通りである。その一環として、職場の宴会(=飲みニケーション)、社員旅行、運動会などの社内イベントを廃止する企業が相次いだ。結果、社内の人間関係がすっかり希薄化し、時にギスギスしたものとなったケースは少なくない。その弊害に気づいて“復活”の動きも出てきているが、「飲みニケーション文化」の衰亡はもはや疑う余地はないだろう。

しかし、こうした飲みニケーション文化の盛衰と企業業績とは密接な関係があると中村氏は言い切る。

「私が経営支援した日本酒の蔵元も、社内イベントがなく社内のコミュニケーションレベルは非常に低いものでした。経営者は経営不振の原因を社員のせいにし、社員はすっかり士気が低下し典型的な“指示待ち族”になっていました」

そこで、中村氏は「社内飲みニケーション」を導入すると同時に運営の仕方に工夫を凝らす。

「日本人の飲み会は、得てして愚痴が多く、その場にいない人の“欠席裁判”になりやすいですし、上司が部下に説教を垂れるなど、ネガティブで非生産的なものになる傾向があります。若い人が参加したくないのも当然です。

そこで、ある会社で、飲み会の前半に、経営者はもとより社員一人ひとりが自分のヒストリーを開示する場を設けたのです。その結果、“社長は見えないところで、こんなに苦労していたのか”とか“あの後輩にこんなスキル・経験値があったとは”、あるいは“あの先輩にはそんな深い想いがあったのか”など、誰もが多くの“気づき”を得ました」

こうした飲み会を繰り返す中で、これまで無関心でむしろ疑心暗鬼の対象ですらあった相手に対し、親しみや興味を抱くようになり、会社の不振や自身の不遇を他者に責任転嫁する風潮は影を潜めるようになったという。

「お互いを信頼し尊重できる組織に変わっていったと思います。自分が組織の中で重要な存在であると感じることで、自分の立場・仕事に“当事者意識”を持つようになったのです。そして、“自分にできることは何だろうか?”“私がどうにかしなければ”という問題意識に裏打ちされた強烈なパッションを誰もが持つように変わっていきました。それは業績に表れ、3年間で売上は3倍増となりました」

経費削減のための社内イベント廃止が業務の非効率化と業績低迷をもたらし、逆に、一見ムダな社内イベントの効果的な実施が業務効率化と業績向上をもたらす。

何百年と続く日本の老舗企業のご当主たちが口にする言葉に「ムダ・ムラ・ムリを楽しむ余裕が老舗存続の要諦」というのがある。数々の戦乱、天変地異、飢饉、疫病、時の権力者の横暴などを乗り越え、現代まで繁栄を謳歌し得ている要因であるが、中村氏の経営支援はまさに“老舗流”である。

“智慧”を生み出す仕組みとは

この日本酒の蔵元の成功事例からは、次のようなことが言えるだろう。すなわち、経営者と社員、社員同士の“情緒的結合×相互理解”が深まり、誰もが当事者意識を持つようになると、社内にどのような想い・価値観・問題意識・スキル・経験値・人脈が蓄積されているか、いわゆる「情報的資源」の蓄積状況が感じ取れるようになる。

そして、同時に、どこに自社の成長の機会があり、また、どこに克服すべき課題があるのかということが、おぼろげながら感じ取れるようになる。

それが社員の“問題意識”を育み、やがて、成長機会を活かすための、あるいは課題を克服するための具体的行動へと駆り立てる。彼らは社内の人びとを動かし、必要な情報的資源を獲得し活用しようとする。

「日本的な企業の場合、情報的資源は“見える化”しておらず、個々の社員の気分やパーソナリティと分かち難く結びついた属人性に特徴があります。他者からは“全部見えるようで全部は見えない”混沌とした状況(カオス)と映るでしょう。相手の気分次第で、教えてもらえたり、もらえなかったりすることも多いですからね。

だからこそ、一見ムダに見える“情緒的結合×相互理解”が必要なのです。これが前提にあれば、強烈なパッションの力で、入手の難しい情報的資源でも獲得しやすくなるのです」

燃えるような心でカオスに切り込み格闘する中で、ふとした瞬間に発現するもの──それこそが、(成長機会を活かす、あるいは課題解決に向けた)“智慧”である。

ただし、以上の一連のプロセスにおいては、“フラットな精神状態”であり続けることが重要だと中村氏は強調する。

「人生も仕事も何かにつけ辛い出来事が多いですが、恨み・怒り・悲嘆などマイナスの感情に支配されていては、見えるものも見えなくなるからです。そのような状態下では、決して智慧は発現しません」

スティーブ・ジョブズなど世界の著名な経営者が日常生活にしばしばヨガを取り入れてきたのは“精神をフラットにするため”だと中村氏は言う。彼女自身もまたヨガに取り組んでいることは既述の通りだ。日本のベテラン経営者に法華経など仏僧として得度する人が少なくないのも同様の理由にもとづく。

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中村友香式 成功経営の法則

上の図「中村友香式 成功経営の法則」をご覧いただきたいが、一連のプロセスを適切にたどっていくことで、非連続な環境変化による未知の状況にも対応することができるという。経営者はもとより個々の社員がこれを“自分のものにしている”企業は強い。

34歳という若さにもかかわらず、数々の実体験にもとづき、老経営者を彷彿させる堂々たる経営論を展開する中村氏。これまでいったいどんな人生を歩んできたのか? 実はたいへんな苦難を乗り越えてきたという。

(後編に続く)

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