川端康成の『古都』への思いを次の世代へとつないでゆく 栗塚旭 (俳優)

川端康成の『古都』への思いを次の世代へとつないでゆく 栗塚旭 (俳優)

  • 週刊文春WEB
  • 更新日:2016/12/01
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くりづかあさひ/1937年北海道生まれ。57年、高校卒業後に芝居の世界へ。テレビ『新選組血風録』(65)、『燃えよ剣』(70)で土方歳三を好演。その後も映画『二人日和』(2005)、『太秦ライムライト』(14)等に出演。12月18日には芸能生活60周年のディナーショーをホテルグランヴィア京都で行う。

「岩下志麻さん主演の『古都』を、当時、劇団員だった僕は何度も映画館で観たものです。生き別れとなり京の室町と北山でそれぞれ暮す双子の姉妹が、祇園祭で偶然に出会いながらも、その後は互いの運命を悟り別れてゆく。そこに切なさや悲しみを感じたものです。その『古都』が現代を舞台に蘇ると聞き、どんな作品になるのだろうと思いました」

12月3日に全国公開される映画『古都』の原作は、55年前の1961年に朝日新聞で連載された川端康成の代表作のひとつ。川端はこの7年後、「日本人の心の精髄を、すぐれた感受性をもって表現し、世界の人々に深い感銘を与えた」として、日本人初のノーベル文学賞を受賞した。

今作は、それぞれ母となった双子の姉妹(二役とも松雪泰子さん)と娘の暮らしを、現代の京都を通して描いてゆく。栗塚旭さんが演じる、双子の姉の舅・水木は、室町で大店の呉服問屋を守る主人だ。

栗塚さん自身、京・東山での暮らしは64年になった。

「15のときに札幌から移り住みました。札幌のモデルになった京の街並みは、どんな都会なのだろうと期待を胸に列車を降りたんです。ところが寺社や町屋の瓦屋根が広がるばかりで、日没時にはどこからか鐘の音が聞こえ、ネオンもないから、すっと薄暗くなる。落胆しましたねぇ」

だが、街を歩くと、気付いたことがあった。

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©公益財団法人川端康成記念會/古都プロジェクト

「例えば、夕方に店を閉めた呉服屋さんが二階に明かりを灯して、そこから生活の時間が始まる。この光景は千年前から変わっていないんじゃないか。また、御所のそばを歩くと“光る君”が現れるような錯覚を覚え、この街の土には人の生活や魂が染みこんでいるんだ――、そう感じたんです。これは凄いことですよね。その京都も、時代とともにビルやマンション化が進み、大きく変わってしまいました」

日ごと失われる古都の面影を書き留めておきたい――。川端が作品に込めた想いだが、スクリーンに映し出される今作の古都の姿は、我々が頭でイメージする京都から、恐ろしいほどに変化していた。

「60年前、すでに西陣、室町は斜陽でした。それでも機織りの音はまだ聞こえたものです。京都が変わってゆくさまを、川端先生は当時から痛感されていたのだと思います」

栗塚さんが、今作を演じるなかで意識したことは何か。

「店をたたんだ呉服屋さんや帯屋さんの友人を何人も知っています。そういう人たちの“想い”を表現しようと考えました。この作品では、次の世代である娘たちが、『日本の文化』を継いでくれるであろう未来を感じさせてくれます。街並みが変わることは止めようのないことです。でも、その思いを受け継ぐ人がいれば、それは我々の希望となるのではないでしょうか」

『古都』

12月3日(土)全国公開
http://koto-movie.jp/

文/「週刊文春」編集部

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