DeNAラミレス監督の「頑固采配」を支える、筒香ら選手との深い絆

DeNAラミレス監督の「頑固采配」を支える、筒香ら選手との深い絆

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  • 更新日:2017/10/12

「自分の信念を貫く監督です。とにかく選手たちを強く信頼していて、そういった部分では頑固者かもしれません。バントをしないなど、いろいろと批判を受けましたが、ラミレス監督はそれを承知の上で、データに基づいて采配しています」

そう語るのは、今シーズンからアレックス・ラミレス監督の右腕として横浜DeNAベイスターズを支えた青山道雄総合コーチである。

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DeNAを2年連続Aクラスに導いたラミレス監督

昨シーズン同様3位で2年連続Aクラス入りを決めたDeNAだが、特筆すべきは昨年の借金2から今季は貯金8と増やし、16年ぶりに勝率5割以上を記録したことだ。「どうスタートするのかではなく、どう終わるかが大事」とラミレス監督は常々語っていたが、まさにそれを証明したシーズンとなった。

レギュラーに固定した宮﨑敏郎が首位打者を獲得するなど大当たりの起用もあったが、その一方で常識外れともとれる采配も目立った1年だった。

シーズン序盤、なかなか調子が上がらなかった桑原将志を1番で固定し続け、同様に不振の倉本寿彦を9番で起用し、8番にはピッチャーを入れた。さらに6月下旬には筒香嘉智を4番から3番に配置転換するなど、その采配はたびたび物議を醸(かも)した。

青山コーチはこれらの決断について、次のように語る。

「当然、我々としても意見を言わせてもらいましたが、最終的に決断するのは監督ですし、なぜこのような起用をするのか、きちんと説明は受けています。結局、責任はベンチが取ることですし、きっと監督には確信があったのだと思います」

シーズン序盤に不振を極めた桑原と倉本を、ほかの選手に代えるという選択肢もあっただろう。青山コーチが続ける。

「そうですね。普通だったら代えていると思いますし、我々も意見はしました。だけど監督は『絶対に代えない。彼らを信用している』と言い続けていました。ブレたくないという気持ちもあったと思いますし、本当に我慢強いですよ。最終的に桑原も倉本も、意気に感じて結果を出しましたからね」

復調した桑原は7月の月間MVPを獲得し、倉本は打率.262ながら得点圏打率.342(リーグ2位)と勝負強さを発揮した。さらに筒香も8月の月間MVPに輝くなど、ラミレス監督の起用に結果で応えてみせた。

また、ラミレス監督はAクラスになれた一番の要因として「リリーフ陣が頑張ってくれたおかげ」と語ったが、救援防御率は3.90と安定感を欠き、昨シーズンに比べて継投で苦しんだ印象があった。

昨年は須田幸太、田中健二朗、三上朋也、山﨑康晃の4人が勝ちパターンで投入されたが、今シーズンは年間を通して安定した投手が少なく、ピークを見極めての起用となり、結果、5人ものリリーフ投手が60試合以上に登板することとなった。

この点についてブルペンを任された木塚敦志コーチは、長いペナントレースが終わり安堵した表情でこう語ってくれた。

「波はありましたが、何とか乗り越えてくれました。振り返れば、月間10試合以上の登板が3カ月続いて防御率を悪くしてしまった投手もいましたが、要所で力を発揮し、最後は『ヤス(山﨑康晃)につなぐんだ』という気持ちで投げてくれました。昨年はある程度固定できたリリーフ陣ですが、今シーズンは旬を見極め、どのようなスタイルでいけばいいのかを考え、歯車を合わせていくようなシーズンでしたね。

監督とは月間プランはもちろん、1週間ごと、1カードごと、1試合ごとで密に連絡を取りながらいろいろと決めていくような感じでした。リードしても接戦が多く、準備は大変でしたが、いかに失点をしないかを考え、粘り強く投げることができたと思います」

ちなみに、今シーズンのDeNAのホールド総数137は、2012年に日本ハムがマークした131を抜き、プロ野球新記録となった。この数字からもリリーフ陣が苦しみながらも、チームを支えてきたことがわかる。

そしてラミレス監督が「今シーズン、最も難しい決断だった」と語るのが、春先に山﨑を一時的にクローザーから外したことだ。その後、セットアッパーとして結果を残した山﨑は、約40日後にクローザーへ復帰するが、あの状況を木塚コーチはどう見ていたのか。

「今年はパットンもいましたし、シーズン序盤のここしかないという絶好のタイミングでした。あのままクローザーを続けていたら、ファームに落ちて1カ月ぐらい穴を空けてしまう可能性もあった。ヤスの尻にも火がついたし、それによってほかのメンバーも自覚を持つことができ、リリーフ陣全体がワンランクアップすることができました。リリーバーとクローザーは兄弟みたいなもので、誰かがダメなら、ほかの選手がフォローする。そういったなかでブルペンが一致団結し、監督の要望に応えてくれたと思います」

まさに総力戦でつかんだ2年連続Aクラス。前出の青山コーチは、今シーズンの戦いを次のように振り返った。

「数字だけを見れば、ずば抜けた選手はいないのですが、ほかのチームと比べてケガ人が少なく、高いパフォーマンスを出せたことがこの結果につながったと思います。これを可能にしたのは、監督の選手に対する信頼ではないでしょうか。一見、セオリーがあるのかないのかわからないと思いますが、監督のなかには確立したものがあり、選手たちはそれに応えようとする」

そして青山コーチは、筒香の存在感の大きさを口にする。

「筒香がキャプテンとして引っ張ってくれたからこそ、今のチームがあるんです。私は他球団にいた経験もありますが、このチームは本当にチームワークに長けている。もともと個々の力があるというより、チームワークによって個々の力を引き出している。そこは監督も理解していて、力を発揮できる状況をつくり上げていると思いますね」

1998年の日本一のメンバーと比べてどうなのか。当時、青山コーチは外野守備走塁コーチとしてチームを支えていた。

「あのときは若手からベテランまでがバランスよく在籍していて、言ってみればイケイケで個々の力が集結したチームでした。今のチームは、若い同世代の選手が多く、チームワークがカラーになっていて、時代的にも今の選手たちに合っているのかなと思いますね。まだまだこれからのチームですし、監督の指導のもと、これからもっと強くなっていくと思いますよ」

クライマックスシリーズ(CS)進出を決めた10月1日、再び4番となった筒香は試合後、ラミレス監督について聞かれると、次のように答えた。

「常にいい雰囲気でやらせてもらったと、選手全員が感じていると思います。監督自身、チームの調子がいいときも悪いときもまったく変わらなかったので、選手たちは迷わずにプレーできた。自分たちにはわからない苦しみを背負い、我慢していることもたくさんあったと思うのですが、それを表情や言葉にまったく出さない。本当に尊敬できる方ですし、すごい監督だなって思います」

10月14日からCSファーストステージが始まる。DeNAは敵地・甲子園へ乗り込み、阪神と戦う。ラミレス監督は言う。

「CSでかかるプレッシャーは(シーズンと)まったく違う。戦い方を変えなければいけないところもあるかもしれませんが、今季は甲子園で7勝6敗と悪くない。あえて変える必要はないと感じています」

シーズン中と同じ野球をすることを示唆しているが、ときに常識外のカードを切るラミレス監督の思惑やいかに。深い絆で結ばれた選手たちとともに下克上を狙う。

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