燃料電池車の逆襲? トヨタとセブンが水素戦略で連携

燃料電池車の逆襲? トヨタとセブンが水素戦略で連携

  • JBpress
  • 更新日:2018/06/12
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メガウエブに特設した、セブンイレブンジャパンの店舗モデルとトヨタの燃料電池トラックの前で記念撮影する2社の幹部(筆者撮影、以下同)

いまから3年前の2015年、「水素社会元年」という言葉が多くのメディアを賑わせた。

きっかけとなったのは、トヨタの燃料電池車「MIRAI」の量産開始だ。それに合わせるように経済産業省・エネルギー資源庁が、輸送分野や火力発電において石油や天然ガスから水素へのエネルギー転換を促進する「水素社会」を提唱し始めた。

しかし、最近の自動車産業における話題の中心は、ジャーマン3(ダイムラー、BMW、VW)が推進するEVシフトや、完全自動運転車、またはアメリカのウーバーテクノロジーズや中国の滴滴(ディディ)などのベンチャー企業が事業を急拡大させているライドシェアリングである。一方、燃料電池車や水素社会が取り上げられることは減り、目立たなくなった印象がある。

そうした中、6月6日、トヨタ自動車とセブン‐イレブン・ジャパンはメガウェブ(東京都江東区)で「次世代型コンビニ店舗の共同プロジェクト」について記者会見を行った。

両社は2017年8月、店舗と物流の省エネルギー・CO2排出削減に向けた検討に関する基本合意書を締結している。今回の発表は、両社がこれまで積み上げきた議論を整理して見える化したものだ。

日本を代表するB2Cビジネスの大手2社による具体的な連携内容が明らかになるということで、あいにくの雨模様にもかかわらず、在京キーTV局や新聞各社など多くのメディアが記者会見に参加した。

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セブンカフェ、年間10億杯の容器も環境配慮

会見は、セブン‐イレブン・ジャパン広報部が司会を務め、まず同社の古屋一樹社長が登壇した。古屋社長は、トヨタと連携する狙いを次のように語った。

セブン‐イレブン・ジャパンの総売上高と店舗数は、それぞれ過去8年間で2.79兆円から4.68兆円へと1.7倍、1万2753店から2万260店へ1.6倍と大幅に拡大している。同社は、急激に事業を拡大する業界トップの企業として、「率先して持続可能な未来を目指す」ことを企業理念として掲げている。

具体的な目標値としては、2030年までに店舗での再生可能エネルギー利用を20%まで引き上げ、CO2排出量を2013年対比で約27%削減する。

また、店舗で販売する商品も環境へ配慮している。例えば、年間10億杯を販売し、スターバックスなどコーヒー専業者を脅かしているセブンカフェでは、紙コップに間伐材配合紙を使って軽量化、カップのふたにリサイクル原料の採用、またストローにバイオマス原料を配合している。

このほか、セブン‐イレブンのオリジナル商品についても、2019年末までに全フレッシュフードと7つのプレミアム商品を環境配慮の対象とする(現在、店舗で扱う全商品2800アイテムの64%にあたる1800アイテムがセブン‐イレブンのオリジナル商品となっている)。

こうした一連の環境対応策の延長上に、店舗自体のCO2削減戦略がある。1店舗あたりの年間CO2排出量を、2013年の91トンから2017年に72トンまで引き下げる予定だ。これを2030年を目標に約45トンまで削減するという。

そのための手段の1つが、トヨタと連携するエネルギーマネジメントと、物流における環境対策だ。

その第一歩として、2018年5月22日、神奈川県相模原市橋本台1庁目店で、トヨタ製蓄電池や仏ブイググループのコラス社製の路面太陽光パネルなど活用した環境配慮型店舗を実験的にオープンした。同店ではこの取り組みによって、再生可能エネルギー比率を約46%まで引き上げたという。

セブン‐イレブンのこうした店舗開発に、今後トヨタはさらに深く関与していく。現在、セブン‐イレブンではトヨタ製の環境配慮トラックの採用を進めている。2018年度はハイブリッド車が858台、天然ガス車が63台、そしてEVが3台となる。これらに加えて2019年春から、燃料電池トラックを羽田空港周辺エリアとお台場・有明周辺エリアに1台ずつ導入する。その後、2020年には環境配慮トラック比率を20%まで引き上げる。そのうち燃料電池車が何台増えるかは、2019年からの実証テストでの結果を基に検討するという。

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セブン‐イレブン店舗にトヨタが提供する技術

プリウスの使用済み蓄電池を活用

トヨタからは、同社副社長の友山茂樹氏が登壇した。

友山副社長は、2015年10月に発表した長期計画「トヨタ環境チャレンジ2050」を軸足として、今回のセブン‐イレブン・ジャパンとの連携で「小型燃料電池車と燃料電池発電機など新たな技術や知見の蓄積と実証を進める」という大枠の方向性を示した。

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「店舗・物流における省エネルギー・CO2削減」について説明する、トヨタの友山茂樹副社長

セブン‐イレブン店舗にトヨタが提供するのは、カーポート用の太陽光パネル、給電機能付きの充電器、リユース蓄電池、燃料電池発電機、そして店舗のエネルギーマネジメントシステム(BEMS)などだ。

リユース蓄電池は、ハイブリッド車10台分の使用済みバッテリーを再利用し、電池容量は10kWhとする。現在、プリウスなどから約2万台の使用済みバッテリーが流通しており、近い将来にその数は10万台レベルに達する予定だ。そのうち約2割をリユース蓄電池に振り分けるという。

また、物流向けに提供する燃料電池トラックと燃料電池発電機では、発電を行う燃料電池スタックをMIRAIと共通化することでコスト削減を目指す。燃料電池トラックについては、セブン‐イレブンにおける日頃の利活用の実態を精査した結果、1回の水素充填での最大航続距離を200キロメートル、最高速度を80キロメートル/h、そして最大積載量を3トンに設定した。

以上のような、各種のエネルギーの総括的なマネジメントとして「トヨタとセブン‐イレブン・ジャパンの2社が共同で、いわゆるスマートグリッドという観点から、データの分析と管理についても検討を進める」(友山副社長)。

トヨタとしては、今回の連携によって燃料電池車の量産に弾みがつき、水素社会の実現に向けた大きな一歩となることを期待しているという。

果たして、日本に水素社会は本当に到来するのか? 日本人の生活に密着した、大手2社による新規事業のこれからをじっくりと見守っていきたい。

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