『君の名は。』新海監督を見て川村元気氏は小説思いついた

『君の名は。』新海監督を見て川村元気氏は小説思いついた

  • NEWSポストセブン
  • 更新日:2016/10/18
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社会現象にもなった映画『君の名は。』(公式HPより)

みんなの中にぽっかり空いた空洞があって、そこにすっぽり入ったのが『君の名は。』なのかもしれない。この空洞は、5年前にはこれほど大きくなかったし、5年後は同じ形とも限らない。今だからこそ、『君の名は。』は国民的映画になった。新海誠監督(43才)はこの社会現象をそんなふうに分析しているという。

男女入れ替わりというテーマの中で、男は男らしく、女は女らしくというかつての価値観が決して正しくないという今の気分にもハマった。劇中は男女が入れ替わることで、お互いが魅力的になり、入れ替わる前よりもちょっとモテたりするシーンがある。

また異常気象、地震、噴火など人間の力ではコントロールできない自然の脅威に加え、北朝鮮の核やテロ、突然襲いくる凶悪犯罪など人間による脅威のなかで生きている私たちにとって、この作品は「夢は叶う」というひとつの希望を見せてくれている。そして観客は誰かのために走れなくなった大人たちと、恋愛をしなくなった若者たち。

同映画の企画・プロデュースを担当した川村元気さんは言う。

「『病める時も、健やかなる時も』なんて誓い合って結婚しても、家に帰れば『なんでこの人と一緒に住んでいるんだろう』と興ざめする。ドラマ『東京ラブストーリー』や村上春樹さんの『ノルウェイの森』の時代は、男と女は恋愛することが前提だった。だけどもう、そんな時代は終わってしまった。恋愛はお金もかかるし、平常心を乱される。現代人にとって非合理的でコスパが悪いものなんです」

合理性を追求し、いつしか損得感情や場の空気にしばられていく。つきあう相手をついステイタスで選んだり、相手の顔色をうかがってみたり。真っ直ぐな純愛は絵空事で、ゲス不倫をはじめいろんな愛の形があり、それゆえ妙に冷めている。略奪愛やスピード婚にも「恋は落ちるものだから」と肯定的に見るムードは皆無だ。

「例えば、ある日起きて、手のひらにメッセージが書かれていたら、“なんじゃこりゃ”って思うじゃないですか? 映画の中で起きていることについては、冷静になると、泣けないし、たいていの大人はツッコミを入れると思うんです。

ただ『君の名は。』は記憶の物語ですが、誰かをとても愛した記憶を思い出す。それはすごいカタルシスで、ぼくも、この映画が、瀧と三葉が、まぶしくて、まぶしくて…直視できませんでした(苦笑)」

というのも川村さんは、『君の名は。』の制作と同時期に、11月4日に発売される小説『四月になれば彼女は』を書いていたからだ。その主人公は、かつて熱烈な恋愛をして人生のピークを迎えた男女だと話す。

「ある意味、(『君の名は。』に登場する)瀧と三葉のその後ですよね。ぼくは恋愛が終わりかけている男女が、どう生きていくかという物語を書いていたわけです。実は、主人公の男性は、新海監督を隣で見ていて思いついたんです。本人にそれを告白したら、“ぼくはこんな人間じゃない”って言われたんですけど(笑い)。ぼくもこんなまっすぐな恋愛映画を作っているけれど、自分のあの頃の気持ちはどこにいったんだろうかと思うときもあります」

川村さんはそう語り、劇場で世代や性別を問わず涙するのは、「作品を通して記憶の扉が開いて、自分のドキュメンタリーを再生している状態」なのではないかと言う。

1年ぶりに夫と映画デートをしたという佐々井美津子さん(仮名、50代)はこんなふうに見ていた。

「夫がもともと新海さんの作品が好きで、『秒速5センチメートル』(2007年)をデートで見たんです。その後、感想を言い合った時に向こうは『気が合うな』と思ってつきあうのを決めたみたい(笑い)。そんな思い出の監督の作品だから、一緒に見に行こうってなりました。最近、けんかも多かったけれど、青春真っ只中の2人を見たあとは出会った頃を思い出して、いつもより優しくできました。向こうも同じ気持ちだったみたい」

※女性セブン2016年10月27日号

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