「オープンバンキング」で変化する金融サービスの設計方法

「オープンバンキング」で変化する金融サービスの設計方法

  • ZUU online
  • 更新日:2018/10/12

銀行が金融機関以外の企業とサービスの展開を進める「オープンバンキング」の動きが国内外で加速している。例えば、銀行が他企業と連携することで、販売中の住居の検索から比較、住宅ローンの借り入れといった一連の行動をスマートフォンのアプリでできるといったイメージだ。銀行の中に存在するデータを他企業のアプリケーションと連携するために「オープンAPI」(API=アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)が用いられる。

欧州では2018年1月、その要求事項などを定めたEU決済サービス指令(Payment Services Directive 2、PSD2)が運用された。日本では2018年6月に改正銀行法が施行され、日本の金融機関も今後2年以内にオープンAPI導入に向けた体制を整備することを努力義務として課されるようになった。アマゾンなどの非金融系の巨大企業が金融サービス市場に参入し、企業向け融資や個人向けの決済サービスなどを手掛けるなど、金融市場の競争は激化するとも言われる中で、銀行は、オープンAPIを活用して金融サービスを提供するスタートアップなどとも連携しながら、新たな付加価値の提供に動いている。

■PSD2導入から半年経過、英国を中心に動きが活発化

欧州では2018年1月にオープンな金融システムを目指すEU決済サービス司令2「PSD2(Payment Service Directive 2)」が正式に導入されたが、実施時点で準備が整っていた銀行はわずか5%だった(Finextra & CAの調査による)。導入にあたり、「オープンバンキングはフィンテック企業が従来の銀行を侵食する引き金となりかねない」との懸念も指摘されていた。

アクセンチュアが2017年に世界の大手銀行を対象に実施した調査では、50%が「銀行業界におけるリスクの顕在化を懸念する」と答えている。一方で、回答者の71%が「オープンバンキングによって各顧客のニーズに沿った金融商品やサービスの提案がしやすくなる」と指摘。66%は「新たな収益源を創出できる」と答えるなど、ポジティブな見方も少なくない。

■英国ではオープンAPIバンキング・プラットフォーム「Token」を当局が承認

英国政府は、企業が自ら持つデータを基に魅力的なプラットフォームを構築し、サードパーティーと一緒に顧客に付加価値のある商品やサービスを提供する「オープンバンキング・エコシステム」の導入を促している。

2018年3月に、英国の全金融機関を対象に金融行為と健全性を規制する金融監督機関であるFCA(英金融行為監督機構)が、オープンバンキング・プラットフォーム「Token」を正式に承認したことで、オープンバンキングを進める上での障害が1つなくなった。銀行、加盟店、さらに一般企業として金融関連サービスを提供するサードパーティー・プロバイダーは、標準化された単一のオープンAPIバンキング・プラットフォームであるTokenを介することで、独自かつ複数の銀行APIが存在することで業種間の統合が難しいといった課題を解決し、EU圏内において交わされた決済情報や顧客情報などを共有できるようになった。

Tokenは銀行、マーチャント(商業者)、サードパーティー・プロバイダーなどにとって、PSD2に準拠すると同時に、オープンバンキングベースの支払いとデータ集約サービスに発展させるための、「最短最速かつ最も低コストな手段である」と、共同設立者マーティン・ネルソン氏は述べている。

■日本のオープンバンキングに向けた取り組み

日本でも消費者の保護を確保しつつ、金融機関と一般企業とのオープン・イノベーションを進めて行くための制度的枠組みが整備された。

金融庁は2017年、オープンバンキング推進に向け、金融機関に対する「オープンAPI導入に係る努力義務」を課した。これは2018年6月1日の施行日から2年以内にオープンAPI導入にかかる体制整備の努力を義務化するという取り組みだ。

また、金融行政方針として「市場行政を含めた企画能力とフィンテック対応の強化」を打ち出すとともに「金融機関が顧客にとって優れたサービスの提供を競い合い、ベスト・プラクティスを追求するよう促す」、「顧客が金融機関を主体的に選択できるよう、金融機関の取組みの見える化を進める」意向を示している。

金融庁の方針に対する銀行側の意識も高まっている。2017年12月に全国銀行協会が実施した調査では、回答137行中114行(83%)が提供・体制整備済み、あるいは2020年6月までに提供する方向で検討中だった。大手行を含む14行が、既にオープンAPIを実施している。たとえば、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は証券APIや投信情報API、銀行APIなどを提供する。

金融機関がオープンバンキングを推進する際には、セキュリティーやコスト、技術的な問題など考慮すべき点がある。欧州と同様に、日本の金融機関も慎重を期し、導入・普及に時間を要する可能性もある。しかし、安心・安全・高水準な顧客サービスといった日本の金融機関の強みを最大限に活かし、画期的な技術とアイデアを持つサードパーティーとの提携を加速させることで、日本が海外よりも優れた仕組みを構築する可能性もある。

(提供=MUFG Innovation Hub/ZUU online)

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