ブランド品で戦うのは止めた。田舎に嫁いで気づいた、東京の不自由さとは?

ブランド品で戦うのは止めた。田舎に嫁いで気づいた、東京の不自由さとは?

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  • 更新日:2017/11/20

元彼の結婚。

適齢期の女性にとって、これほどまでに打ちのめされる出来事があるだろうか。

元彼がエリートだったら、なおさらだ。

どうして私じゃなかったの。私になくて、彼女にあるものって何?

東京で華やかな生活を送るエリートたちが、妻を選んだ理由、元カノと結婚しなかった理由を探ってみる。

先週、元彼の妻・みなみが、超地味に変わっていたことに驚いた奈緒。しかしみなみは、「今の私は昔よりも自由」と言う。その真意とは・・・?

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「今の方が自由って、どういうこと?」

奈緒は、みなみが言った言葉の意味がさっぱり理解出来なかった。

−周囲に気を遣って、大好きだったブランド品を身につけることが出来なくなるなんて、不自由じゃない?

奈緒の問いかけには答えず、みなみはスマホの画面を見せながら突拍子もない質問をしてきた。

「この絵、いくらだと思う?」

真っ青なキャンバスの中央に一本、縦の白い線。

シンプルな絵だ。

奈緒は、見当もつかず正直に分からないと答えた。

「44億円よ」

その金額には驚いたが、突然芸術の話を持ち出されても、みなみが何を言おうとしているのか全く理解出来なかった。

アメリカの画家の有名な作品らしいが、奈緒には「へぇ」以外の感想が生まれなかった。

「みなみ、よく分からないんだけど・・・。芸術にハマったとか、そういう話?」

みなみの言葉の意味とは・・・?

東京の人は、知りすぎている

「この絵について、何も思わなかったでしょ?」

「うん。私が芸術に詳しければ、価値が分かるのかもしれないけど。正直、私には全然分からないな」

すると、みなみが大きく頷き、「それよ」と言った。

結婚した当初、みなみは東京にいた時のようにブランド品を身につけていた。

寒さの厳しい地元で、ラップワンピースに身を包み、素足にマノロのピンヒールで闊歩していたある日。

婦人会の打ち合わせで訪れたご近所で、価値観が変わる出来事があった。

「やだ、中川さんちのお嫁さん。そんな寒い格好じゃ風邪ひくわよ。東京から来たばかりで洋服もないのねぇ。これ着ていいわよ」

そう言って、近所のおばさんに農作業用の防寒着を強制的に着せられた。

さらに、「そんな足元じゃ転ぶわよ。今度返してくれれば良いから」と、ホームセンターで売っていそうな野暮ったいサンダルと茶色の靴下に履き替えさせられた。

奈緒が思わず声を出して笑うと、みなみも笑いながら話を続けた。

「笑っちゃうでしょ?でもね、その時に気づいたの。ダイアンのワンピースもマノロも、この人にとっては価値がないんだって」

「東京なら、ダイアンのワンピもマノロも、羨ましいって思われるのにね」

奈緒がそう答えると、みなみが、大きく頷いた。

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「そうよね。その時まで、“周りから羨ましがられる”っていうことが、私の最大の基準だった。ロエベの新作持ってるなとか、外銀の彼氏なんていいなあって思われるとか。私、その羨望の眼差しが快感で、欲しかったの」

奈緒は、みなみが言おうとしていることが薄々分かってきた。

「でもね、それって、ロエベの新作や外資金融を知らない人には、なんの自慢にもならない。“羨ましい”って思われることなんてないのよ」

みなみは、自分がいかに周りからの視線を気にして、買い物したり、恋人を選んだりしていたかに気付かされたという。

奈緒は最近、商店街で見かけた鍋を買おうと思ったが、インスタ映えを意識してル・クルーゼを買ったことを思い出した。

周りの目を気にした選択は、選択肢の幅を狭め、不自由なものだ。

みなみは、腕時計にちらりと目をやり、最後にこう言った。

「それ以来、“羨ましいと思われる自分”をやめたの。周りの目を気にしなくなって、自分の好きなように選ぶようになった。それが、今の自由かな。東京の人は、知りすぎている。だから、みんな感覚が狂っていくのよね」

奈緒は貴之の実家に行った時、東京と比べてあれもない、これもない、とないところばかりが目についた。

しかし、東京と同じ価値観で生きていこうとすること自体が、間違っていたのだろう。

抜本的に価値観を変えることが出来たみなみ。奈緒は素直に尊敬した。

ついに笠野との最終デート!

運命の相手からの告白

みなみに会った日から数日後。笠野と過ごせる、最後の休日。

出会ってから2週間。最初こそ笠野のストレートなアプローチに押され気味の奈緒だったが、いつしか奈緒も笠野のことを本気で好きになっていた。

笠野は、奈緒のことを運命の女と言った。奈緒だって、笠野を運命の人だと信じたい。

でも、笠野は来週金曜日にはアメリカに帰ってしまう。

−神様の意地悪。どうして・・・

奈緒は最後のデートを前に、泣いてしまった顔を洗い、出かける準備をした。

「奈緒ちゃん、今日もかわいいね」

いつもは奈緒を見るなり、プリンセスだのハニーだの言ってくる笠野も、今日はおとなしく、どことなく寂しさが漂っている。

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ディナーまでの間、丸の内を散歩していると冬の風物詩、仲通りのイルミネーションが始まっていた。

シャンパンゴールドに輝くイルミネーションを眺めながら、クリスマスは一緒に過ごせないのだと思うと、奈緒の胸は締め付けられた。

笠野も何か考え事をしていたのか、二人は無言のまま、でも手はしっかりと繋ぎながら歩き続けた。

最後のディナーは、『ステーキ&グリルPeter』へ。

奈緒は、笠野と過ごした濃密な日々を思い出していた。出会ったのは2週間前だというのに、遠い昔のことのように感じられる。

「そういえばあの日、笠野さんは誰かとあそこにいたんですか?」

結婚パーティー後、奈緒は玲子に誘われて『シクス バイ オリエンタル』にいたが、笠野も誰かと飲んでいたのだろうか。

「いや、一人だよ。時間つぶしかな。その日は実家に帰らなくちゃいけなかったんだけど、どうしても憂鬱でね」

そういえば奈緒は、笠野の家族の話を聞いたことがなかった。

「ご両親は日本にいらっしゃるんですか?」

「そう」

笠野が、積極的に話したがらない様子に気づいた奈緒は、それ以上追求することはしなかった。

デザートを食べ終えると、いよいよお別れの時が近づいてきた。

−今後、どうするつもりなんだろう。遠距離恋愛?それとも、良い思い出として終わり?

奈緒がそんなことを考えていた時。笠野が初めて見せる真剣な眼差しで、こう言ってきた。

「奈緒ちゃん、結婚を前提に僕と付き合ってください」

「え・・・・。気持ちは嬉しいんですが、次に日本に戻ってくる予定はあるんですか?」

「今のところは、ない」

動揺する奈緒の手を握りしめ、笠野は続けた。

「来週金曜日、22時の便で、僕はアメリカに発つ。付き合う気があれば、空港に見送りに来て欲しい」

−どうしたらいいの。

奈緒の頰に一筋の涙が流れた。

▶︎NEXT:11月21日 火曜更新予定
メガバンク勤務の元彼登場。そして奈緒は、笠野を見送りにいくのか?

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