小池百合子都知事、「トルコ風呂」改名に尽力...巧妙戦略で絶大な貢献

小池百合子都知事、「トルコ風呂」改名に尽力...巧妙戦略で絶大な貢献

  • Business Journal
  • 更新日:2016/10/19
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小池百合子東京都知事の巻き起こす旋風が、都政の闇をえぐり出している。その行動は確かな戦略・戦術に立ってのものとみえる。政治家になる以前にも、小池氏には独自の戦略・戦術で挙げた大きな功績があった。

現在、「ソープランド」と呼ばれている“特殊浴場”は、かつては「トルコ風呂」と呼ばれていた。この改名に力添えしたのが、当時30代の小池氏であった。日本にトルコ風呂が誕生したのは、1951年。東銀座の「東京温泉」だった。翌年には博多に「温泉トルコ」、札幌に「ススキノ・トルコ・センター」が開業した。個室の蒸し風呂で温まる男性に、着衣の女性がマッサージするもので、直接的な性的サービスはなかった。

トルコには、中東の都市の伝統的な蒸し風呂ハンマームがある。男女とも入れる公衆浴場だ。もちろん男女は別である。あかすりやマッサージも受けられるが、サービスするのは同性だ。日本にできたものとはまるで異なる。

1958年に売春防止法が施行された後、赤線地帯だった場所にトルコ風呂が建ったのは、名古屋の中村遊郭跡が最初。その後、吉原を初めとして、各地の元赤線地帯にトルコ風呂が建った。

当初は性的サービスは厳禁だった。だが、手にクリームを塗って行うフィンガーサービスが行われるようになり、やがて性行為が行われるようになる。売春防止法違反で摘発される店も出た。

男性の急所部分がへこんだ「スケベイス」に男性が座っての、ボディ洗い。一緒に入浴して奉仕する「潜望鏡」。ローションを塗りたくってのマットプレイ。現在のソープランドのサービスは、70年代の初めには確立している。

●小池氏の決意

こうした性的サービスを行う店が「トルコ」の名で呼ばれていることに心を痛めていたのが、トルコ人のヌスレット・サンジャクリ氏だ。

81年に日本に留学し、東京大学の地震研究所で学んだサンジャクリ氏は、帰国すると、国立ボアズィチ大学地震研究所の研究員になった。航空会社などが主催する日本語スピーチコンテストで1位になり日本への往復航空券を獲得。84年に再来日する。

大の日本好きであるサンジャクリ氏だが、なんとか「トルコ風呂」の名称をやめてもらいたいと活動した。84年8月23日の朝日新聞に彼の声が紹介されている。

「『トルコぶろ』に出合ったのはバスの中でだ。『トルコから来た』というと、運転手がニヤリと笑った。下宿先の歯科医が『トルコにlike sex hotelがあるか』といった。電車の広告に『トルコ』の三文字を見つけて、『自分の国のニュースが載っている』と喜び、友人に尋ねたこともあった。

来日して7カ月後、夕方、新宿を散歩していて『トルコ』のネオンを見て店に飛び込んだ。もみ手のドアボーイの『外人が来た』という声で、店の奥から下着姿の女性が4、5人出てきた。運転手の笑い、歯科医の質問などのわけが分かった」

この記事が、日本テレビ系の番組『竹村健一の世相講談』でアシスタントキャスターを務めていた、小池百合子氏の目に飛び込んだ。

朝日新聞を通して、小池氏はサンジャクリ氏に連絡を取り、都内の喫茶店で会う。話を聞いて、中東の文化に精通している小池氏はサンジャクリ氏に共感。「トルコ風呂なんて呼び方を変えればいい!」と決意した。

●周到かつ精緻な戦略を実行

だが、全国に無数にあるトルコ風呂の名称を変えさせるのは至難の業だ。小池氏は戦略・戦術を練る。

その時のことは、すでに絶版になっている小池氏の著作『小池式コンセプト・ノート』(ビジネス社/2007年4月19日刊)に書かれている。

「公衆浴場の所管は厚生省【編注:現厚生労働省】だ。電電公社【編注:現NTT】は番号案内のイエローページに『トルコ風呂』の項目を堂々と載せていた。まずはこの2カ所に申し立てをし、最後に業界に事情説明、および改称のお願いをしに行くという手順を考えた。

何事も、最初が肝心である。厚生省の働きかけでは、念入りに演出を考えた。

毎日新聞の友人に頼み、渡部恒三厚生大臣(当時)に陳情のアポイントを取ってもらい、同時に記者クラブにも話を通して準備を整えた。記者クラブを通せばテレビカメラが入るのだ。テレビ映りを考慮し、お願いの趣旨は手書きにした。サンジャクリ氏が、一所懸命に書き上げた、日本語による『陳情書』だ」

サンジャクリ氏の厚相訪問は、84年9月18日。

「まったくの俗称なので、今すぐ行政権限で対処できるものではないが、あなたのお気持ちはよく分かる。訴えをできるだけ多くの人に伝えたい」

渡部厚相からの言葉は、お決まりの素っ気ないものだった。確かに、所管官庁だからといって、名称変更を指示することはできない。

だが、陳情の模様がテレビで全国に放映されたことが効いた。東京都特殊浴場協会は自主的に名称を変えることを決め、新たな名前を公募した。「ロマン風呂」「浮世風呂」「ラブユ」など、2400ほどの名前が集まる。

選ばれたのが、貿易会社に勤務する24歳の石田誠一さんが名付けた「ソープランド」だった。彼が最初に思い浮かべたのは、泡のイメージから「バブル」だったが、響きが悪いのでやめたという。

同年12月19日、東京都特殊浴場協会の代表は、赤坂プリンスホテル(当時)で「新名称発表記者会見」を開き、「ソープランド」とすることを公表。トルコ共和国大使館からイルハン・オウス参事官(当時)も参加した。全国の業者もこれに倣って、ソープランドと名称を改めた。まさに、小池氏の戦略・戦術が図に当たったのである。

90年代から急速にグローバル化が進み、日本とトルコの交流も深まった。その時代になっても「トルコ風呂」の名が残っていたら、国際社会で笑いものになっていただろう。

忘れてはならない、小池氏の功績である。
(文=深笛義也/ライター)

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