ブレット対ストーンコールド=序章――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第235回(1996年編)

ブレット対ストーンコールド=序章――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第235回(1996年編)

  • 日刊SPA!
  • 更新日:2016/12/01
No image

ブレット・ハートが“レッスルマニア12”でのWWE世界王座転落―長期欠場をへて、じつに8カ月ぶりに戦列復帰。売り出し中の大型ヒール、ストーンコールドを新ライバルに指名した(写真は「サバイバー・シリーズ」オフィシャルPPVポスターより)

WWE世界ヘビー級王者ショーン・マイケルズが“大穴”のサイコ・セッドに敗れるという突然の王座移動劇が起きた“サバイバー・シリーズ96”(1996年11月17日、ニューヨーク州ニューヨーク、マディソン・スクウェア・ガーデン=1万8647人)のもうひとつのメインイベントは、“ヒットマン”ブレット・ハートの約8カ月ぶりのカムバック戦。“ストーンコールド”スティーブ・オースチンとの初対決だった。

3.31“レッスルマニア12”以降、全米ツアーから姿を消していたブレットは、“サバイバー・シリーズ96”での戦列復帰をまえに10.21“マンデーナイト・ロウ”フォートウェイン(インディアナ州)大会に生出演。リング上でのインタビュー・シーンで「ここ数カ月、他団体から移籍のオファーを受けていた。しかし、わたしはこのリングを選択した」と発言し、ライバル団体WCWへの移籍のウワサを完全否定した。

このインタビューでブレットはWWE世界王座奪回についても言及したが、なぜか“ハートブレイク・キッド”ショーンとの再戦プランには触れず、復帰戦の対戦相手にストーンコールドを指名した。ブレットが新ライバルのストーンコールドを「現在、WWEに在籍しているベスト・レスラー」と形容していた点がひじょうに印象的だった。

全6試合中、第4試合というポジションにラインナップされたブレット対ストーンコールドのシングルマッチ(ノンタイトル戦)は、これからはじまる長編ドラマの“序章”をイメージさせる一戦だった。

試合開始のゴングから10分間はベーシックなマットワークによるチェーン・レスリングのアクションとリアクション。12分過ぎの場外での展開では、ストーンコールドがブレットをモンキーフリップで“スパニッシュ・テーブル(スペイン語実況ブース)”に向かって放り投げ、宙を舞ったブレットが実況アナウンサーのカルロス・カブレラと解説のヒューゴ・サビノビッチと激突。

両者はそのまま“スパニッシュ・テーブル”の下で殴り合いを演じ、乱闘に巻き込まれたコメンテーターのヒューゴが失神するというワンシーンがあった。“スパニッシュ・テーブル”をステージ代わりに使った場外乱闘はその後、ビッグショーにおける定番シーンとして定着するが、これをひとつのトレンドとしてスタートさせたのはこのふたりによるシングルマッチ・シリーズだった。

ブレットは、この試合でプロレスラーとしての“引き出し”の多さをこれでもかというくらいディスプレーしてみせた。20分経過後、ストーンコールドがトップロープからのスーパープレックス(雪崩式ブレーンバスター)で勝負に出ると、ブレットは大きな弧を描いてキャンバスにたたきつけられた瞬間、そのポジションのまま下からトーンコールドの右足と首をスモールパッケージ・ホールドの体勢に丸め込んだ。

この時点ではまだ未完成だったストーンコールドのストーンコールド・スタナーは、ブレットがカウント2でクリア。ストーンコールドがテキサス・クローバー・ホールドを決めると、ブレットはロープにエスケープ。ブレットがシャープシューターの体勢に入ると、こんどはストーンコールドがすかさずロープに逃げた。こういったこまかいディフェンスのひとつひとつ――サブミッション技で試合が決まるかもしれない可能性を感じさせる場面――が観客の視線を釘づけにした。

ラスト30秒の攻防はひじょうにスリリングだった。ストーンコールドがブレットをミリオンダラー・ドリーム(変形スリーパー)で絞めあげると、グロッギー状態のブレットはコーナーのターンバックル上段を両足でキック。両者がそのまま後方に倒れ込むと、ブレットはさらに上体を後方に反転させてエビ固めの体勢でカウント3を奪った。“レッスルマニア8”でのロディ・パイパーとのシングルマッチでもブレットはこれと同じような動きで一瞬のフォール勝ちをスコアしたことがあった。

この時点でブレットはキャリア18年、39歳。ストーンコールドはキャリア7年、31歳。ふたりとも現役生活のピークを迎えつつあった。この“サバイバー・シリーズ”からプロレス史に残る“モントリオール事件”の舞台となった1年後の“サバイバー・シリーズ”まで、ブレットは文字どおりWWEのリングにおけるラストランを走りはじめたのだった。(つづく)

※この連載は月~金で毎日更新されます

文/斎藤文彦 イラスト/おはつ

※斎藤文彦さんへの質問メールは、こちら(https://nikkan-spa.jp/inquiry)に! 件名に「フミ斎藤のプロレス講座」と書いたうえで、お送りください。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

格闘技カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
長谷川穂積ウルッ、二人三脚ジム会長からの花束に
W-1・河野がイケメン粉砕でV1 若手軍「NEWERA」全敗で無冠に
TBS大みそか特番で井岡一翔の試合を完全生中継!
ブレット問題発言「こんな会社、やめてやる」――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第241回(1997年編)
引退の長谷川穂積、「せやねん!」出演で家族がサプライズ共演
  • このエントリーをはてなブックマークに追加