「戦力外に近い扱い」からチャンスをつかむも...前田大然は突如の監督辞任を乗り越えられるのか

「戦力外に近い扱い」からチャンスをつかむも...前田大然は突如の監督辞任を乗り越えられるのか

  • サッカーキング
  • 更新日:2019/11/19
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[写真]=Getty Images

「試合が終わって、『本当にチームで結果を残さないとダメ』と強く思った。悔しい気持ちは正直、あんまりないかな…。もっとやらないといけないという方が強いです」

0-2で完敗を喫したU-22コロンビア代表との親善試合。87分にようやく出番が巡ってきた快足FW前田大然だったが、ボールに触ったのはわずか2~3回にとどまった。ドイツから飛行機で4時間もかかるポルトガルの離島・マディラ島からわざわざ参戦し、堂安律らA代表組との共演を心待ちにしていたが、戦前の期待とはほど遠い結末を余儀なくされた。

先発から外れて87分間、ピッチ外から見ていた光景も予期せぬものだった。日本は1対1や球際で負け続け、決定機も作れない。堂安や久保建英もゴールに絡めず、不発に終わる。仲間たちが空回りしている姿を、彼は黙って見つめるしかなかった。

「短い時間の準備だったんで難しいところはありますけど、『戦う姿勢』っていうのは時間がなくても出せたと思う。それを今日見せられなかったのが一番残念でした。お客さんに申し訳ないなって思います」と前田はまともに出場できなかった自身にも、チーム全体にも苛立ちを覚えていた。

この苦境から脱するには、本人も言うように、所属クラブで目覚ましい活躍を見せて「U-22日本代表の攻撃をガラリと変えられる存在」だと森保一監督を納得させるしかない。新たな決意を胸に秘め、彼はポルトガルへと戻っていった。

自らをステップアップさせる場として今夏、松本山雅から新天地のマリティモに赴いた。しかし、11月10日のポルティモネンセ戦後にヌーノ・マンタ監督が突如として辞任。「戦力外に近い扱いを受けている」と本人が感じた加入直後の厳しい立場から少しずつ序列を上げ、公式戦12試合出場で3得点と実績を残し、指揮官から信頼を勝ち得てきた前田は、再びゼロからのスタートを強いられることになる。

「僕の中では『(チームの成績が出ていないので)監督が変わるかもしれない』という思いはありました。でも、突然の辞任だったし、何の前触れもなく代わったのでビックリしました。どんな監督が来ようとしっかり試合に出るしかない。ゼロからの気持ちで早く新しいチームに慣れたいと思います」と本人はいち早く気持ちを切り替えていた。

今季は当初、2トップの一角に入ることが多かったが、開幕から5~6試合を消化した9月半ば以降は4-1-4-1の右サイドへ移動。外からのチャンスメークやスピードを生かした飛び出しを求められることが多かったという。

「サイドでプレーしている時は、単に敵の背後に飛び出すだけじゃなくて、足元でボールをもらってスピードを生かしながらドリブルで抜くシーンも増えてきました。そうやって個の力で打開していくプレーをU-22代表でも出そうと考えていたんですけど、今回は時間が短くて難しかったですね……。今後、監督も変わるし、どう使われるのか分からないけど、とにかくチームで試合に出ないと話にならない。そこだけは何とかしたいです」と前田は強い危機感を吐露した。

新指揮官が前田を最前線で使うのか、サイドに回すのか、それともシステム変更して森保ジャパン同様にシャドーのような役割を課すのかは全くの未知数だが、どのポジションで起用されたとしても武器であるスピードを生かした攻撃力を研ぎ澄ませていくしかない。松本山雅時代は裏に抜けるプレーが圧倒的に多かったが、「打開力を磨かないといけない」と意識し、異国で懸命に取り組んでいる。その結果、チャンスメークの回数が圧倒的に増えた。今後はそれをゴールという結果につなげていくことが必要だ。それは本人が一番意識している点と言っていい。

「マリティモに入る前に『10点取ってくれ』と会長から言われたので、まずそれをクリアしないとダメかなというのはありますね。ポルトガルはレヴァンドフスキのような傑出した点取り屋はいなくて、色々な選手が得点ランキング上位争いをしている。自分にも名前を売るチャンスはあると思うんです。スポルティングとポルトとの試合はやりましたけど、ベンフィカとの対戦が代表明け(11月30日)にある。そういう試合は特に多くの人に見てもらえる可能性がある。よりゴールが大事になってきますね」

ポルトガル1部リーグで二桁得点というノルマを果たすことができれば、悲願である2020年東京オリンピック出場はもちろんのこと、より上位のリーグやビッグクラブへの移籍も見えてくる。欧州は一芸に秀でた者が成功する傾向が強い。爆発的な速さという傑出した武器を持つ前田にも大きなチャンスが広がっている。それをモノにするかしないかは全て本人次第だ。

今回のコロンビア戦で痛感した「アタッカー陣の中での序列の低さ」を少しでも上げ、堂安や久保らと同等レベル以上に位置付けられるべく、残り約8カ月を生かすこと。それこそが、彼に託された使命だ。

文=元川悦子

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