【緊急討論|前編】ハリルホジッチでアジア予選を突破できるのか?

【緊急討論|前編】ハリルホジッチでアジア予選を突破できるのか?

  • サッカーダイジェストWeb
  • 更新日:2016/10/21
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槙野や小林といった高さのある選手を起用し、セットプレー対策はしていたが……。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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守備的な戦術のなかで香川が輝かないのは分かっていたはず。もっと早いタイミングで清武(13番)を投入してもよかった。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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前任のアギーレ監督は、優秀なセレクターだった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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オーストラリア戦の終盤、ハリルホジッチ監督はCBの丸山をウイングに置いた。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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10月シリーズは1勝1分で乗り切ったが、試合内容は満足できるものではなかった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

UAEに敗れ、黒星スタートとなったロシアワールドカップ・アジア最終予選は、4試合を終えた現時点で2勝1分1敗の3位。ハリルジャパンは苦戦を強いられ、ワールドカップ出場権が与えられる2位以上を確保できていない。

また、試合内容は上向く気配がなく、今後の戦いに明るい展望を描けない状況が続いている。果たして、「ハリルホジッチ監督でアジア予選を突破できるのか?」。編集部で緊急座談会を実施した。

―――◆―――◆―――◆―――

――10月シリーズはイラクに2-1、オーストラリアには1-1でした。結果的に1勝1分で乗り切りましたが、試合内容は乏しく、不安が大きくなったと思います。率直に、ハリルホジッチ体制でアジアを突破できると思いますか。YESかNOかで言えば?

記者Aどっちとも答えにくい。ただ、監督人事がどうであれ、厳しい状況が変わらないのは事実だよ。セルジオ越後さんも「次のサウジアラビア戦が非常に重要」と言っていたけど、サウジアラビアに勝っても、さらに”その次のUAE戦も非常に重要”になる。それは初戦のUAE戦を落としたから。こうした厳しい状況は変わらないし、解任騒動はずっと付きまとうだろうね。

記者B確かに、もう独走態勢を築けないから、予選突破を決めるまで厳しい状況は変わらない。

記者Aだから、監督交代が日本の状況に、劇的な変化をもたらすものにはなりえない。ただ、サウジ戦に負けたら一大事だからね。協会にも動きはあるとは思う。

――グループ最大のライバルと言われるオーストラリア戦を見てどう感じました?

記者B前半の段階では、チームがようやく「最終予選はこんな感じだったんだ」と思い出したような雰囲気があって、見ていて「勝てるな」と感じた。でも、後半にオーストラリアが本気を出したら……。ただ、ワールドカップに行けるかどうかをYESかNOかで聞かれたら、YESかな。チームがやろうとしている方向性は、あんまり間違っているとは思わない。

記者Cこれまでの試合を振り返ると不安で仕方がない。90分間通じて安定して戦えている試合がまったくないのが、その理由。前半の立ち上がりが良くても、決定的なチャンスを外し続けるとか、グラウンドに対応できないでリズムを崩したりとか、そういう自滅的な部分も見受けられる。

それは育成年代からずっと抱えている日本の課題だから、対戦相手のアジアのレベルが上がったというより、日本のレベルが下がったんじゃないかと。それに、ハリルホジッチ監督の求心力が落ちているのも感じる。

記者Bそれには同意だね。選手が監督批判をしているわけではないけど、「自分たちで考えてやっている」とか、そういうコメントを聞くと求心力はどうなのかなって。記者A本田のコメントからも感じる。特に最終予選に入ってからかな。イラク戦で「ボールを持ってやるのが俺やヤット(遠藤)さんの真骨頂」と言ったり、オーストラリア戦では「右ウイングは得意じゃないけどやっている」的な発言も出ている。

ダイレクトではないけれど、監督の采配や起用法を「それはどうなの?」という疑問的なところを言い出した。求心力の低下は、そういうところからも感じる。

記者C逆に現状に満足していたら、そういうコメントは出てこないからね。

記者Aそう。もちろん、本田は「そういうチャレンジはしようと思っている」と言っているけど、2次予選とは少しコメントの内容が変わってきている。

記者B求心力の低下もそうだけど、ハリルホジッチ監督の余裕のなさも感じる。会見で「練習時間が短くなったが?」という質問があった時に、監督が食って掛かっていた。非公開なのに練習時間の短縮を記者が知っていたから、ハリルホジッチ監督は「それは誰が言っていたんだ?」と。犯人捜しをするようにね。

記者Cハリルホジッチ監督は、「本田のパフォーマンスが良かったら勝てた」みたいなことを言っていたけど、あの真意は?

記者Bあれには前段階があった。「クラブで試合に出ていて、コンディションが良ければ、もっと活躍できたはずだ」というのが真意だった。

――ただ、その本田へのコメント以外でも、「若い選手がプレッシャーに負けてしまうんじゃないかと思って使わなかった」など、ネガティブな印象を持たれてしまう発言は少なくないですね。

記者A本当にそう。だったら、なぜ齋藤学を呼んだのか。オーストラリア戦の終盤に起用したのが、丸山だったからね。あのポジションで使うのは丸山じゃないし、加えて丸山も代表デビュー戦だった。経験が浅いという意味では、齋藤と同じだから。

記者C丸山の試合後の反応は?

記者B選手が撤収するのが早くて、話は聞けなかった。でも、個人的な意見を言うと、あそこは丸山でもいいのかなと思った。ハリルホジッチ監督は、引き分けOKの采配だったから。記者A俺はそもそも、オーストラリア戦は引き分けでOKとは思っていなかった。まあ、ハリルホジッチ監督は引き分け狙いの采配をしたけど、それにしても丸山はないかな。CBに入れるなら分かるよ。でもウイングに置いたでしょ。

記者Cロングボールを放り込まれた時に競り合えるポジションではないし、本当にセットプレーの時しか持ち味を発揮できないからね。

――ここまでの話を聞くと、ハリルジッチ監督の手腕や采配に懐疑的な印象を受けますが?

記者A懐疑的というより、余裕がないなと。アルジェリアをワールドカップで躍進させた監督だし、クラブでの実績もある。それにも関わらずプレッシャーに追い詰められているところに、少し驚きがある。

記者C監督の手腕もそうだけど、日本代表のチーム力も落ちているよ。2年前のアジアカップのイラク戦は、1-0だけど内容は圧倒していた。PK戦で負けた準々決勝のUAE戦も、内容では明らかに日本が押していた。そこから1年かそこらで、こんなにも変わるのかと驚く。

記者Aアジアカップのグループリーグは、完全に横綱相撲で、絶対に優勝するなと思った。そういう意味では、アジアカップの準々決勝のUAE戦での敗退が、歯車を狂わせたのかな。選手の自信を失わせる一戦だったのかもしれない。あの試合以降、「日本強いな!」と感じたことはほとんどない。

――監督だけでなく、選手にも問題はあると?

記者Aそう思う。アジアカップまで指揮を執ったアギーレ前監督の話をすると、やっぱりチームの作り方は上手かった。アジアカップ前に遠藤を復帰させて本当にベストの選手を連れて行って、上手くチームに当てはめた。アギーレ前監督は優秀なセレクターだったね。

――対してアジアカップ後に就任したハリルホジッチ監督は?

記者A同じ選手を招集して自分の戦術にはめようとする姿勢を見ていると、ちょっとアギーレ前監督とは違うかなと。チームとしても、アジアカップの頃よりは断然弱くなっている。アジアカップのイラク戦やUAE戦は、今回の最終予選のような感じではまったくなかった。――日本が弱くなったのはなぜでしょう? 主力選手のクラブでの出場機会が減ってきた影響でしょうか。それとも監督の手腕の影響のほうが大きいですか?

記者Bやっぱり選手の出場機会が減ったのはきつい。イラク戦の本田のプレーを見てもそうだけど、試合勘は欠けていたから。

記者A原口があれだけ動けて良いプレーができるのは、クラブで出場していることと無関係ではないからね。メンタル面もそうなんじゃないかな。原口は自信を持ってプレーしているけど、香川とかは……。本人がどう思っているかは分からないけど、精神的な部分も影響しているとは感じる。

記者C清武はぜスタメンで使われなかったのかな? イラク戦で良いパフォーマンスを見せていたのに……。

記者A清武は報道陣に「試合勘って何ですか」って嚙みついたんだけど、噛みつくだけのことはあるかなと感じた。クラブでの出場機会は減っていても、それなりのプレーを見せたし、自信も感じた。なぜオーストラリア戦で先発させないのか疑問だった。

記者C途中から使うにしても、残り10分過ぎてからっていうのはね。香川が全然輝いてなかったんだから、もっと早く清武を入れても良かった。

記者Bでも、あの状況で香川を清武に代えても一緒じゃない?

記者A全然違うでしょ。オーストラリアのサイドハーフを香川と本田がケアしていたけど、後半はふたりのスタミナが切れてマークに付けなくなった。それで押し込まれっぱなしになり、カウンターも出せなくなった。あの状況でフレッシュな選手を入れれば、セカンドボールを拾える可能性も上がるし、相手へのプレスにも行けるし、入れ替えない理由がないくらいの状態だった。

記者C日本が守備的な戦いを選んだわけだから、香川がああいう状態に陥るのはある程度予想されたこと。にも関わらず、ずっとあの状態でいたのが……。監督の決断力には疑問符が付くよ。「勇気」とか「野心」とか言って、自分が一番守りに入っていた。――でも、オーストラリア戦で守備的に戦ったのは間違いではないですよね? アウェーで上位チームに負けないように戦うのはセオリーです。

記者Cただ、もうちょっと最終ラインは上げるべきだった。あれは本当にラインが低すぎて、反撃の糸口すら見えない時間帯が長すぎたから。

記者A今までセットプレーとPKで失点している日本がべタ引きで守るのは、ある意味で自殺行為。守るにしても、守り方は修正の余地があったね。ただ、長谷部が2次予選の時から守備の修正って言っているんだけど、一向にされない。できないんだろうなとも思ってしまう。

――わざわざ自陣でセットプレーを与える守り方をしているのは、本当に自殺行為ですね。

記者C酒井高も「前半は非常に良かったです。後半も同じことを意識してやったんですが、(監督から)より外に意識を持てという指示があって、切り替えたところで失点してしまいました」と言っていましたね。小林に引き気味に守らせたら、そこからやられるようになった。相手の左SBが上がるようになったと。

記者Bでも、前半から高い位置から取りに行こうとはしてなかったね。アグレッシブな守備はベースとしてあったけど、香川も「前から行ったのは数える程度」だと言っていたし。

記者C前半は能動的な守備ができたと思うよ。回させている感じがあった。

記者Aそうそう。でも、後半は受け身になって回されていた。本田もそれは言っていたね。「後半は支配されてしまった」と。

記者C前半はサイドハーフを上手くケアして、CBに縦パスを出させていたから上手くカットできた。それができなくなったのは、やっぱり香川と本田がサイドハーフをマークできなくなったから。ハリルホジッチ監督は、「セットプレー対策」のために本田と小林を残したと言っていたけど、だったら香川は代えてもよかったはずだよね。やっぱり選手交代が遅すぎたよ。
【後編に続く】

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