
集落の民家近くをゆっくり歩くニホンザル=21日、むつ市関根
人里に近づくニホンザルを山林に追い上げる手段の一つとして、青森県むつ市はドローンを活用できないか模索している。前年度から試験に取り組んでおり、本年度は22日から試験を始める。サルの個体数が増えつつある中、農作物の被害防止につなげたい考えだ。
21日は、同市関根高梨川目の集落でテスト飛行を行った。これまでサルに取り付けた発信機などから、集落近くに約70頭の群れがいることが分かっていた。
試験は、ドローンの赤外線カメラでサルの位置を把握した上で、スピーカーを付けた別のドローンからイヌやオオタカ、ハヤブサの鳴き声や人の声などを発し、人里から遠ざけられないか確認する。
ドローンを飛ばすと、何十頭ものサルを発見。ドローンが近づくだけで逃げたサルもいたが、音を鳴らしても様子をうかがうだけで動かないサルもいた。
市農林畜産業振興課の相内一彦主任は「サルはドローンを警戒していたようだった。効果が期待できるかなと思った」と語った。また、野猿監視員やモンキードックが入り込めないような場所でもドローンは活動できるとし「できるだけ被害をゼロに近づけられるよう、総合的な対策を取っていきたい」とも述べた。
前年度の試験は、夏から秋にかけて約2カ月実施したが、本年度は葉が落ちてサルを視認しやすいこの時期に行うこととした。期間は12月20日まで。効果を検証し、2025年度以降に本格導入するか判断する。
市によると、ニホンザルは下北半島全体で増加傾向にあり、22年は2906頭と18年から271頭増えた。一方、市内のニホンザルによる農作物被害は、金額では19年度の87万4088円が、件数は18年度の70件がそれぞれ近年で最も多く、それ以降は減少傾向だという。