あなたはどちら? すべての人がどちらかに分けられる、二つのタイプ

あなたはどちら? すべての人がどちらかに分けられる、二つのタイプ

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2021/10/14
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空気を読んで気配りを重ねる一方で周囲の評価を気にしすぎる人。
空気を気にせず正直に意見を言うけれど周囲とぶつかりがちな人。
ユング派精神分析家で精神科医の老松克博さんは、空気を読みすぎる傾向を【人格系】、空気を読まない傾向を【発達系】と呼んで、すべての人はどちらかに分けられると説明します。しかも、どちらのタイプも自分を押し殺しているので、二つのタイプの特徴を理解することが生きづらさを解消する第一歩だと主張します。
あなたは、どちらかといえば【人格系】でしょうか。
それとも【発達系】でしょうか。
現代新書の最新刊『空気を読む人 読まない人』から、第1章の冒頭を特別にお届けします。

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すべての人は人格系と発達系に分けられる

あなたは将来を思い悩んだり、過去を悔んだりしていませんか。

人の和を乱すことを恐れたり、周囲の顔色をうかがいながら人間関係を築いたりしていませんか。

相手に気をつかい、心のなかであれこれ葛藤を抱えているのに、それを顔に出さないように気をつけながら毎日を過ごしていませんか。

これらはおおむね普通のことです。

そういった傾向がよほど極端になれば「人格障害(パーソナリティ障害)」と呼ばれるかもしれませんが、そこそこの程度におさまっていて生活に支障はないという人がほとんどでしょう。

こういう傾向の人は多数派を占めています。いわゆる「普通の人」を指すと考えていただいてかまいません。

私は、このような人たちを「人格系」と呼んでいます。

反対に、あなたは将来や過去にあまり興味がなく、いま現在のことに心を奪われやすくありませんか。

目の前のことに熱中すると、つい周りが見えなくなってしまいませんか。

目の前に現れる新しいことに衝動的に飛びついてしまい、それまでやっていたことを放り出して、やっていたことさえ忘れてしまうことがありませんか。

熱中しすぎて、ほどほどでとどめられず、気がつくと周囲から浮いてしまうことはありませんか。

そういった傾向がよほど極端になれば「発達障害」と呼ばれるかもしれませんが、そこそこの程度なら、これもよくいる人です。ユニークな少数派といったところでしょう。人格系に比べても少数です。

私は、このような人たちを「発達系」と呼んでいます。

世の中のほとんどの人は、人格系か発達系のどちらかに分類されます。

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人格系も発達系も、人それぞれ程度の差があるだけ

人格系にも濃い薄いという程度の違いがあります。発達系にも濃い薄いという程度の違いがあります。グラデーションのように人によって傾向の濃淡があるのですが、ひとりひとりの違いは程度の差でしかありません。

どちらにも収まらない人がまったくいないわけではありませんが、基本的には、発達系でなければ人格系、人格系でなければ発達系というふうに分けられると考えています。

あなたも、ご自分の性格や感情や行動を思い浮かべてみてください。人格系か発達系、どちらかの傾向が思い当たるはずです。

ここで誤解のないよう申し添えたいことがあります。

本書が人格系、発達系という分類をするのは、みなさんやみなさんの周囲にいる人たちに病気や障害のレッテルを貼るためではありません。人格系と呼ぶ傾向も、発達系と呼ぶ傾向も、すべての人にある傾向です。極端な人からどちらのタイプかわからないくらいの人までグラデーションのように程度の差があるだけです。

本書のねらいは、人の性質がどちらかの傾向に分けられるという現象と、それぞれの違いを理解したうえで自分の傾向を把握することによって、生きづらさの原因を明らかにすることにあります。

人間の争いの根源 人格系VS発達系

残念なことがひとつあります。

人格系と発達系とはおたがいに嫌い合うことが多いのです。

人格系には発達系が理解しにくく、発達系には人格系が理解しにくい。理解しにくいだけなら、そういうものだと考えれば済むはずなのに、どういうわけか、いつでもどこでも揉めています。

人格系から見ると、発達系は周囲に気配りをしているようには見えません。

「空気を読まない」

「場を乱す」

「周りを傷つける」

そんなふうに非難したくなります。

反対に、発達系からすれば人格系は過剰なまでに周囲と合わせることを気にして、細かいルールばかり押しつけてくるように見えます。

「空気ばかり読みすぎ」

「調和、調和ってうるさい」

「茶番劇もほどほどにしろ」

そんな文句を言いたくなってしまいます。

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二つの世界をお笑いの世界にたとえて「人格系はツッコミ」「発達系はボケ」と考えてみることもできます。この場合、ツッコミは私たちの常識の延長線上からものを言いますが、ボケはそこから飛躍しようとする存在です。

では、人格系は常識的で、発達系は非常識なのでしょうか。

もちろん、そうではありません。どちらもそれぞれのルールとリズムで生きていて嚙み合わないだけです。

じつは、人間どうしの諍(いさか)いのほとんどがここから生じています。それなのに、人格系と発達系はおたがいに必要不可欠なワンセットになってもいます。

なぜ、たがいに必要不可欠なのに諍いにまで発展するのか。その理由は、どんな人にでも備わっている、ある「心のしくみ」に潜んでいるのですが、そのお話は後半までお待ちください。

それより先に、発達系と人格系についてもっと知っていただきたいからです。

空気は読まない発達系

発達系の特徴は、目の前のことに熱中し没頭していることです。

つまり、我を忘れてしまいがちなのです。これは「私たちのなかにある純朴な子どもの部分」に相当すると言えばイメージできるでしょうか。

人はみな、子どもだったことがあります。当時の性質は、大人になっても誰もが持ち合わせているものです。

ただ、純朴な子どもとひと口に言っても、さまざまな側面があります。

素直でまっすぐで屈託がない子ども。

火がついたように泣きわめく、話が通じない子ども。

我慢のきかない粗暴な子ども。

無垢な魂ゆえに天使や聖者を思わせる子ども。

発達系は、このような子どもらしい部分がそのまま特徴になっています。

素直でまっすぐで屈託のない性格は痛快である一方で、たとえ真実でも態度がストレートすぎて場の雰囲気を著しく損なうこともあります。それが「空気を読まない」といわれる理由ですが、場の空気を読む前に気持ちが言葉や行動になってしまうのだから、仕方がありません。

考える前に言う、考える前に行動する発達系の特徴は、我慢のきかない粗暴さと重なります。短気で直情径行的な傾向は発達系の困った点で、いったん我を忘れると、話がまったく通じなくなります。その反面、熱くなりやすい情の厚さや気っぷの良さが頼りがいにつながることもあるので、一概にネガティブな面とも言えません。

怒りに対しても徹底的で、全力で集中、没頭します。そのような極端な怒りは、まっすぐな気持ちが重なると、義憤のような表れ方をすることもあります。

あなたの周りにも発達系は普通にいる

みなさんの身近にある場面で、発達系の特徴を考えてみましょう。

たとえば学校ではどうでしょうか。

中学生、高校生あたりの年代では、良くも悪くもユニークな存在です。少々落ち着きがなく、そそっかしい。忘れ物は頻繁にするし、通学の電車を上りと下りを間違えて乗ったり、気づくまでに長い時間がかかったりしてしまいます。気づいたら気づいたで、あわてて違う駅で降りたりして、なかなか目的地にたどりつきません。

極端に熱中するときがあっても、その熱中が長続きするとは限りません。熱中の対象が次々に変わることも多く、外から見ると極端な注意散漫にしか見えないこともあります。

結果的には非常に「マイ・ペース」です。ペースが速すぎたり、遅すぎたり、どこかへ行ってしまったり、周囲とはどうしてもズレてしまいます。しかし、本人はそのズレを気にすることはほとんどなく、屈託なく明るいのです。

その人なりの「マイ・ワールド」を持っていて興味関心が狭い範囲に集中しがちです。たとえば乗り物、化石、宇宙など、特定の領域に関する知識が詳細かつ精緻で、いわゆる「オタク」のレベルに到達するほどです。

知識だけでなく関連する物品のコレクションにも凝ります。学校の勉強でも、抜群にできる科目とその他の科目とのギャップが大きいのが特徴です。

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想像力が豊かで、鋭い直観を持っているので、マンガや小説の冒頭を読んだだけであらすじや犯人がわかってしまうことも多いようです。しかも、よせばいいのに口に出してしまうので、いわゆる「ネタバレ」をされた周囲は白けてしまいます。この直観がお笑いに向いたりすると、普通なら思いつかないような面白いひらめきが瞬間的に降りて来るようです。

ただ、そういう能力が裏目に出て、思い込みが激しくなることもあります。思い込みにもいろいろあります。単純なところでは漢字の読み方を間違えて覚えると修正できないという程度ですが、ドラゴンや妖精が実在するといつまでも堅く信じつづけているなどということもあります。

子どもらしい言語表現や地域の方言などはあまり使いません。難しい本の書き言葉やテレビの語り言葉、標準語を好みます。

生活習慣や対人関係などの広い範囲で、同年代の暗黙の了解に無頓着です。流行りの服装や髪型にほとんど興味を示さず、流行している若者共通の隠語などにもあまり関心を示しません。友だちと遊ぶことにもあまり楽しさを見出しません。

発達系はマイ・ペースでマイ・ルール

対人関係は「マイ・ディスタンス」です。ほとんどは離れていますが、唐突に接近してプライベートなことを聞きたてたり、相手がそっとしておいてほしいことを根掘り葉掘り聞いたりします。本人に悪気はありませんが、周りからは嫌がられることもあります。その反面、分け隔てない人懐っこさと映る場合もあります。

いったん相手を信頼すると、とことん信頼します。非常に誠実で、噓はつかず、気持ちは一途。自分から裏切ることはありません。大切な相手のためなら、かなりの程度まで自己犠牲的にもなれます。まっすぐに信頼しすぎて、かえって愛想を尽かされることもありますが、その純粋な気持ちが周りの胸を打ちます。

「マイ・ルール」が多めです。生活上の金科玉条が、しばしば幼少期からあります。朝は必ず「おはよう」と言う、食事の際はわざとらしいほどに会話を弾ませるなど、小さなことです。ただし、ときに周囲にも遵守を求めて煙たがられたりします。

どうしても言動が集団からはみ出し気味で、周りから注意をされがちです。しかし本人は頑固です。ときには「マイ・ルール」が強い信念になっていたり、譲れない倫理だと思っていることがあって容赦なく周りに押しつけます。おのずと衝突しがちになります。そこから粗暴な振る舞いにおよんだり、ひねくれたりします。いったん「キレる」と手がつけられないこともあり、その点でも徹底的と言えます。

職場や家庭での発達系

職場や家庭での発達系はどうでしょうか。

大人になっても、基本的な性格が「マイ・ペース」「マイ・ワールド」「マイ・ディスタンス」「マイ・ルール」であることは変わりません。

趣味の世界も徹底的なので、他の追随を許しません。鉄道やゲームの「オタク」だというのはよくあることで、旅行マニア、ギャンブルマニア、消防マニア、ご祈禱マニアなども多く、御朱印集めなども含む多種多彩な収集家でもあります。

楽しそうに目の前のことに打ち込み、思いついたらすぐ行動します。エネルギーに満ちあふれ、疲れを知りません。元気で声は大きく、オーバーアクション。そそっかしく、おっちょこちょいです。失敗をやらかしても、一瞬反省はしますが、すぐに忘れてまた同じ失敗をやらかしてしまいます。

基本的に物の管理や片付けは苦手です。鍵を落としたり、鍵をどこにやったのかわからなくなったりして大騒ぎになりがちです。よくよく探したらバッグのなかに入っているようなこともしばしば起こります。

「瞬間湯沸かし器」と呼ばれるほど突然怒りますが、熱しやすい代わりに冷めやすいので、ねちねちと尾を引くことはありません。喜怒哀楽が激しく、他人のことでも自分のことのように怒ったり喜んだりします。涙もろいことを隠さないので、面倒見のよさと受け取られて頼りにされます。親分肌と見られます。

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行動のパターンは単純で、竹を割ったような性格と言われます。自分の行動がさきざきどのような結果を引き起こすかについてほとんど眼中にありません。たいていは、行動してから考えます。あるいは、やってしまってからはっと気がつきます。

それで迷惑をかけたり、恨みを買うことになったりします。好きな仕事にも嫌な仕事にも一生懸命に取り組むのはよいのですが、馴れ合いを許さず、融通がきかないためその情熱が周りに認められることは少なくなります。いわゆる「遊び」の部分がないのです。曲がったことが嫌いで、自分の信念に向かって猪突猛進します。

言葉の意味を何通りにも解釈するのが苦手で、ものごとを文字どおりに受け取ります。たとえ話や比喩や皮肉がわかりづらく、周りとの間に誤解や齟齬が生じやすくなります。

さて、ここに挙げた特徴が自分に思い当たるという人は少なくないはずです。人格系に比べて少数派だとは言っても、発達系的な要素は誰もが大なり小なり持っているものです。

今回は2つの傾向(人格系と発達系)の概説と、特に【発達系】の特徴についてお届けしました。
発達系について、「私、このタイプだ!」「こういう人知ってる!」と思われた方も多いのではないでしょうか。

次回は、発達系とは正反対のタイプである「空気を読みすぎる【人格系】」の解説をお届けします。
どうして人格系と発達系は衝突するのか、その理由も明らかになります。
ご期待ください!

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