
水ゆるみ虫たちの活動も活発に。それを追うマスたち。さらに狙う釣り人(撮影:杉村航)
長野県のほぼ真ん中にある諏訪湖から流れ出した天竜川は、東西をアルプスに挟まれた伊那谷を流れます。途中、「川下り」でも有名な名勝地「天龍峡」を経て、静岡県で太平洋に注ぎます。総延長213kmのうち、上流部「天竜川漁協」が管轄する天竜川本流へ、フライフィッシング釣行に行ってきました。
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■解禁当初は撃沈…… リベンジ釣行へ
実は先月、解禁当初の3日間連続で釣りをしたのもこの川です。張り切って南へ北へ、めぼしいポイントを巡ってフライを流したのですが、初日最初に入ったポイントで一匹バラしただけ。ハリにかかるものは落ち葉と根掛かり以外、何もありませんでした。その前後で一番の寒気も入り、気温も水温も低い数日間でした。「本当に魚いるの?」疑ってしまいたいくらい……。けれど後日情報を集めると、釣れている人は何人もおり、しかも羨ましいようなモンスタークラスの大マスも!
それから1ヶ月あまり。一気に気温が上がり、信州もすっかり春めいてきました。意を決して再び天竜川へ。果たしてリベンジできるのでしょうか。
のんびり車を走らせていると、平日にも関わらず釣り人の姿がちらほら見えます。「最近調子が良さそう(=釣れている)」そんな情報は釣り人の間ですぐに広まります。SNSやブログなどの影響が大きいでしょう。釣り人を見かけないような川は釣れないのかもしれません。逆も然りだといいのですが……。
■気持ちも晴れ晴れとする釣り日和!

サイズこそ大きくはありませんが、天竜川育ちのニジマスが元気よく竿をしならせてくれました
狙っていたポイントには(朝イチには誰か流していたかもしれませんが)誰もいない様子です。朝9時前の気温は気温8℃、水温は9.3℃で、若干肌寒さを感じつつも快適なフィッシングになる予感がします。
川床の石を探ると、ほぼ百発百中でトビケラの幼虫であるクロカワムシが巣を作っています。さすが“ざざ虫”の本場です。もちろん、これをイミテートしたフライをティペット(ハリス)の先に結びました。
澄み渡った青空と中央・南アルプスの白い輝きを眺めながら、思い切りよくロッドを振るのはなんとも気持ちいい釣りです。正直、(またボウズになるのが怖くて)迷っていたのですが、来てよかったとしみじみと思います。
流れ込みの流心がぼやけるくらい、スイングが終わった瞬間に当たったと思ったら、次の瞬間にひったくるようにフッキングしました。ラインの向こう側でジャンプする魚影! 久々の展開に興奮です。引きの割にサイズは小さいですが、丁寧に寄せてきて浅瀬へ誘導してネットイン! 背中が隆起したような筋肉質な魚体です。ようやく個人的解禁が達成されました! 誰も見ていないのですが、小さめにガッツポーズ!
■春の水面にカゲロウが舞う
正午になるとますます気温は上がり、気温16℃、水温は11.6℃になりました。上流へ移動して流れ込みの開きへフライを泳がせます。一匹目同様スイングし終わる瞬間に「ズドン!」。先ほどよりさらに小さいですが、厚みのあるニジマスです。
この日は少々風が強めだったのですが、何やら風に乗って川上へ、今度は流れに漂いながら川下へ。よく見るとこの時期にしては大きめカゲロウの姿が目に入ります。ナミヒラタカゲロウのダン(亜成虫)でしょう。

水中から浮上し羽化、水面を流れゆくナミヒラタカゲロウ
まるで花びらが舞い、水面を流れるような様子です。釣りそっちのけで、すっかり見とれてしまいます。気のせいか、視界の端で、水面が割れてカゲロウが消えたような……。フライボックスの中から、それっぽいウェットフライを出して結んでみました。期待を込めて何度か流しましたが、まだタイミング的には早かったようで反応はありませんでした。
春の訪れを感じた一日。釣果も嬉しかったですが、釣りを通して季節の移り変わりをしっかりと実感できた本流釣行でした。ちなみに午後を過ぎたあたりから、花粉症の諸症状に襲われ、ロッドを振るよりくしゃみをしている方が多い状態に。これまた季節の移ろいを否が応でも感じずにはいられませんでした……。
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杉村 航