2022年6月23日最新データ!国民年金の納付率や受給額の実態

厚生労働省は2022年6月23日、2021年度の国民年金の加入・保険料納付状況を公表しました。
それによると、2021年度の現年度納付率(2021年度分保険料)は73.9%(前年度から2.4ポイント増)となっており、平成23年度の現年度納付率(平成23年度分保険料)から10年連続で上昇しています。
そこで今回はこのデータについて詳しく解説。そのうえで、年金の平均受給額の実態についても解説していきましょう。
【関連記事】「厚生年金だけで月平均20万円の年金収入」という羨ましい人は日本に何パーセントいるか
国民年金の加入者1431万人 18万人現状に
国民年金第1号被保険者数(任意加入被保険者数を含む。)は、2021年年度末で1431万人と、前年度末と比べ18万人減少しました。

出典:令和3年度の国民年金の加入・保険料納付状況について~ 令和3年度の最終納付率は 78.0% ~(令和4年6月23日)
一方、2021年度末の公的年金加入者数は6725万人。このうち、未納者数は106万人(約1.6%)となっています。
国民年金の保険料納付率を年齢別にチェック【最新データ】
2021年度の現年度納付率を、年齢階級別にみていきましょう。

出典:令和3年度の国民年金の加入・保険料納付状況について~ 令和3年度の最終納付率は 78.0% ~(令和4年6月23日)
20~24歳:71.77%
25~29歳:62.07%
30~34歳:65.85%
35~39歳:70.56%
40~44歳:74.27%
45~49歳:75.22%
50~54歳:75.94%
55~59歳:80.03%
55~59歳のみ、8割を超える結果となりました。
また、国民年金の保険料納付を全額免除または猶予された人は612万人となりました。昨年より3万人ほど増えています。
長引くコロナ禍の影響で、保険料の免除をする人が増えている可能性があります。
公的年金の仕組みをおさらい
国民年金の保険料についてここまで解説してきました。「そもそも年金とはどんな制度?」という人も多いのではないでしょうか。そこでここからは、公的年金の仕組みについて解説していきます。

日本の公的年金制度は、厚生年金と国民年金の2階建ての構造が基本です。
国民年金は、20~60歳未満の全員が原則加入します。支給開始年齢は65歳が原則です。
納付した金額に応じて支給金額が決まります。令和4年度の場合は40年間滞りなく保険料を納付していると満額6万4816円(日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について」)の年金を受給できます。
受給金額は納付額で変わってくるため、現役時代の年収で受給額の差は発生しません。
次に、厚生年金をみていきましょう。
会社員や公務員が加入するのが厚生年金です。
厚生年金の受給額は、現役時代の収入額や加入期間で変動します。収入額が高ければ高いほど、納付月数が長ければ長いほど年金の受給額は増えます。
年金保険料は、会社と折半で支払います。明細に記載されている保険料の倍額を納付していることになります。
【早見表】厚生年金と国民年金の平均受給額はどれだけ違うか
ここからは厚生年金と国民年金の平均受給額の実態をみていきます。厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、厚生年金の受給者数を1万円ごとに見ていきましょう。
【早見表】厚生年金・受給額別の人数(1万円レンジごと)

1万円未満:10万511人
1万円以上~2万円未満:1万8955人
2万円以上~3万円未満:6万6662人
3万円以上~4万円未満:11万9711人
4万円以上~5万円未満:12万5655人
5万円以上~6万円未満:17万627人
6万円以上~7万円未満:40万1175人
7万円以上~8万円未満:69万4015人
8万円以上~9万円未満:93万4792人
9万円以上~10万円未満:112万5260人
10万円以上~11万円未満:111万9158人
11万円以上~12万円未満:101万8423人
12万円以上~13万円未満:92万6094人
13万円以上~14万円未満:89万7027人
14万円以上~15万円未満:91万3347人
15万円以上~16万円未満:94万5950人
16万円以上~17万円未満:99万4107人
17万円以上~18万円未満:102万4472人
18万円以上~19万円未満:99万4193人
19万円以上~20万円未満:91万6505人
20万円以上~21万円未満:78万1979人
21万円以上~22万円未満:60万7141人
22万円以上~23万円未満:42万5171人
23万円以上~24万円未満:28万9599人
24万円以上~25万円未満:19万4014人
25万円以上~26万円未満:12万3614人
26万円以上~27万円未満:7万6292人
27万円以上~28万円未満:4万5063人
28万円以上~29万円未満:2万2949人
29万円以上~30万円未満:1万951人
30万円以上~:1万6721人
9万~12万円前後の層が多くなっています。一方で、少数ではありますが30万円以上の受給額の人もいます。受給額には大きなばらつきがあることがわかります。
【早見表】国民年金の平均受給金額はいくらか
ここからは、国民年金の受給額を見ていきましょう。
【早見表】 国民年金・受給額別の人数(1万円レンジごと)

1万円未満:7万4554人
1万円以上~2万円未満:29万3600人
2万円以上~3万円未満:92万8755人
3万円以上~4万円未満:284万2021人
4万円以上~5万円未満:466万3638人
5万円以上~6万円未満:776万979人
6万円以上~7万円未満:1483万5773人
7万円以上~:188万2274人
国民年金は、厚生年金ほどばらつきは見られませんでした。
厚生年金・国民年金から天引きされるお金を4つ解説
私たちが働いて給料をもらうとき、額面と手取りは違いますよね。具体的には、「税金」と「社会保険料」が天引きされます。
実は年金からも、こうした天引きされるお金が4つあります。
厚生年金・国民年金から天引きされるお金1. 所得税
給料に所得税がかかるように、一定額以上の年金にも所得税がかかります。公的年金は雑所得となり、65歳以上の場合は年金額が158万円を超えると課税される可能性が出てきます。
ただし、障害年金や遺族年金を受給する場合は非課税です。
厚生年金・国民年金から天引きされるお金2. 市区町村民税(個人住民税)
前年中の所得に対してかかる住民税。こちらも年金生活になれば、年金から天引きされます。
総務省の「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支」によると、65歳以上の高齢単身無職世帯では、直接税として6430円が記載されています。
平均のため個人差はありますが、税金が年金から天引きされることは理解しておきましょう。
厚生年金・国民年金から天引きされるお金3. 健康保険料
65歳以降に会社の保険に加入しない場合、国民健康保険に加入することになります。こうした保険料は、年金からの天引きで納めます。また75歳以上になれば今度は後期高齢者医療制度に加入しますが、こちらの保険料も年金からの天引きです。
これらの天引きについては一定の条件もあるため、納付書等の普通徴収になるケースもあります。しかし、それでも支払いの義務はあるため、実質年金天引きと負担は変わらないでしょう。
厚生年金・国民年金から天引きされるお金4. 介護保険料
65歳以降は介護保険料を単体で支払う必要があります(それまでは健康保険料に含まれる)が、こちらも年金から天引きされます。
介護状態になれば保険料の支払いが終わると勘違いする方もいますが、介護保険料の支払いは一生涯続きます。
介護を利用する際に自己負担が軽減される大切な制度なので、保険料の支払いは必須です。それでも少ない年金から天引きされることは、痛い出費に感じる方も多いでしょう。
超低金利時代の今日、銀行預金だけでは大きく貯蓄を増やすことは難しいでしょう。公的年金だけに頼らず、自力で老後資金を準備していく発想が重要です。たとえば、iDeCoは将来の年金を準備することができる制度です。
iDeCoは掛金が全額所得控除の対象であるうえに、運用益に所得税がかからないといった特徴があります。
人生100年時代の今日、豊かな老後生活を手に入れるためにも、まずはご自身のマネープランをじっくり考えてみてはいかがでしょうか。
参考資料
令和3年度の国民年金の加入・保険料納付状況について~ 令和3年度の最終納付率は 78.0% ~」(令和4年6月23日)
齊藤 慧