筒香2年目へ「やること見えているから、焦らない」

筒香2年目へ「やること見えているから、焦らない」

  • 日刊スポーツ
  • 更新日:2021/01/14
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グラブをカメラに向かって突き出す筒香(撮影・為田聡史)

#愛を語ろう。レイズ筒香嘉智外野手(29)が日刊スポーツのインタビューに応じた。コロナ禍で異例のシーズンを強いられたメジャー1年目を踏まえ、2年契約の2年目となる今季への胸中を赤裸々に語った。衝撃のデビュー弾からスタートし、ワールドシリーズの大舞台まで経験。打率1割9分7厘、8本塁打、24打点の結果には目を背けず「こんなもん」と受け入れた。プロ野球選手としての価値観の変化を明かし、独特の感性で“愛”を説き、最後は自身の問いに自ら答えた。【取材・構成=為田聡史】

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今季は2年契約の2年目を迎える。3年目のオプションは所持していない。待ったなしの勝負のシーズンが待ち受ける。昨年の12月から関西地方で自主トレを続ける筒香は、メジャー舞台を体感した今、変化を実感していた。

筒香 僕の中で浅い部分も深い部分も変わったことがある。簡単には言いたくない。

“言いたくない”と言われれば、余計に聞きたくなる。次の質問をせずに沈黙を続けた。こちらの心中を察し、重たい口を開いた。

筒香 日本にいるときは正直、ちやほやされたり、寄ってきてくれる人がたくさんいた。日本にいると、気持ち良くないことというのはあまりなかった。周りから持ち上げられている違和感が日本では多々あった。アメリカには、それはなかった。大まかな枠で言うと、アメリカという地でプロという立場の本質が目の前にきた。そんな感覚だった。

覚悟を示し、続けた。

筒香 日本の価値観はアメリカで通用しないことがたくさんある。文化を学び、合わせることも大事。でも、深いところまで掘り下げたら、アメリカ人のまねをしなくてもいいと感じた。日本人には日本人の良さがある。日本人にしかできないことがある。私生活は柔軟に対応しなければいけないとは思う。ただ、日本人として変えてはいけないことというのは必ずある。そうしないと勝負にならない。

コロナ禍でレギュラーシーズンが60試合に短縮された異例のメジャー1年目は51試合に出場した。打率1割9分7厘、8本塁打、24打点。厳しい結果を突きつけられた。

筒香 こんなもんだろうと。ネガティブな部分だけじゃないけど、1年目はこんなもんですよ。

横浜(現DeNA)に入団したプロ1年目の2010年は出場3試合で打率1割4分3厘。11年前の経験が今につながる。

筒香 活躍しだしてからの僕のことしか知らない人が多い。エクササイズも人より出来るようになるのが遅い。めちゃくちゃ遅い。でも、ずっとやり続ける能力は人よりあるなというのを最近、気がついた。やり続ける、継続する強さがあるなと。

継続するための原動力となりえる「我慢」と「忍耐」を識別する。

筒香 僕のイメージでは、我慢と忍耐は違う。我慢は無理やりしていることで、その先に何も生まれない。忍耐というのは先のことのために今、我慢しているということ。忍耐は何かを成し遂げるために我慢することだと思っている。一時帰国した自粛期間中のトレーニングも忍耐だと思う。

昨年3月。メジャーキャンプが打ち切られ、開幕までの見通しが立たず、5月に一時帰国した。世界中がコロナ禍に見舞われ、多くの命が今なお失われ、多くのものが奪われている。

筒香 医療従事者の方々を思うと胸が痛い。野球選手の立場で「試合数が減った」「年俸が減った」というのは世の中の人に比べたら幸せだと思う。未来に向けてどこに種を植えるかが固まった人もいるし、植える場所すら奪われた人もいると思う。でも僕は奪われたという感覚はない。僕の未来への種は奪われていない。

急変した日常でもプロ野球選手として「未来」から視線を外さない。

筒香 コロナが良かったとは決して言えないけど、コロナによって気付いた人はたくさんいると思う。人間は身近な人、身近で起きていることというのは無意識に忘れる。日常というのは当たり前になっているから近いものほど見えなくなるし、感じなくなる。そこに気付いたということもあるし、生きる価値観を再認識する期間だった。

ソーシャルディスタンス、3密回避の「コロナワード」が世間で飛び交う。人と人の物理的な距離が心の疎遠を意味してはならない。信念を丁寧にひもといた。

筒香 人に矢印を向けること。やっているふりでは通用しない。結局は愛。愛があるということは本気で相手のことを思うこと。その結果が自分に返ってくる。自分のことを思っていると不思議と自分に何も返ってこない。自分のために人助けをしても、自分には何も返ってこない。本気で人に矢印を向けるから、結果的に自分に返ってくる。究極で言うと人が笑ってくれたらうれしいなと。

信念を貫いているから、自信と責任が生まれる。筒香の人生観に圧倒された。私は記者として、何を問うべきか見当たらなくなった。2年契約の2年目に臨む最後の問いは筒香本人から筒香への質問を投げかけてもらった。

筒香 僕が僕に聞くのであれば、「なんでそんなに焦っていないのか」と問いたい。

インタビューの最後の問いに促す間もなく自問自答に即答した。

筒香 いろんなことが見えている。やることが見えている。だから焦らないし、ガツガツしない。自分では結果が出ると思っている。何をすればどうなるというのが分かっているから、力むこともない。これは初めての感覚。その自信がある。プロ野球選手だから結果に責任を持つのは当然。去年は1割9分7厘しか打っていない。全然打ってないと言われて当たり前だと思う。でも、自分の中で明確なものが見えているから焦りもないし、冷静な部分で毎日が過ごせている。

逃げも隠れもしない。堂々と挑む。その言葉は、結果で証明する。

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